サイバーダインスタジオ訪問ツアーレポート②

ツアーレポート①はこちらからお読みください。


前半のスタジオ見学、HALの原理体験を終えた後は、CFO宇賀様のプレゼンとチーフポートフォリオマネージャー糸島との対談です。


宇賀様には「サイバーダインが創りたい未来」というタイトルで20分程度のプレゼンを行っていただきました。

冒頭、「サイバーダインの将来に向けては、今ある技術をどう伸ばすか、ではなくて今後起こる高齢化(社会課題)に対してどんな技術が必要になるかを考え、技術をあてはめていく」というお話からスタートしました。

また、HALについては、既に利用が進んでいるドイツでは、運動機能を失った患者さんが、HALをを装着してリハビリ”治療”を行ったことによって、今ではHALを外した状態で歩けるようになるまで回復したという事例が動画を使って紹介されました。

単に身体を補助するのではこうはいきません。脳からの信号をしっかり四肢に伝える機能を回復させること、がHALの技術なのです。

また、サイバーダインは単にこうした機械の開発にとどまらず、国際規格の標準化に向け政策的な取り組みも行っているというお話もありました。

その他の製品群の紹介としては、腰に巻きつけて使うことによって重い荷物を運ぶ建設現場などで活躍するロボットや、同様に介護施設などで介助者が利用できるロボットの紹介もありました。
建設現場では、労働者の高齢化が進んでおり、これから急速に人手不足が予測される分野です。
こうした状況下で足腰の負担を大きく軽減する補助ロボットの普及が望まれます。


さらには、今後、HALを使った医療行為に適用できる保険の開発を想定したAIGジャパンとの提携
のお話もありました。高齢化は日本が一番進んでいますが、世界の先進国がすべからく直面している課題でもあり、AIGというグローバルで保険事業を展開している企業との提携はそうした世界を見据えたものと言えるかもしれません。

加えて、なんとサイバーロボットは清掃ロボットの開発まで行っておりました。
建物の内部の形状をセンサーで記憶し、自分で地図化して、自分で自由に動く(ルート設定などを自ら行う)ことができるというロボットで、この春から羽田空港に採用されているそうです。

さらには再生医療分野にも同社は研究開発の域を拡大しています。
なぜ、そこまでやるのかということですが、脳から電気信号さえも流れないような重度の(脊髄損傷など)患者さんに対して、その神経細胞を再生させるという取組を京都大学や慶応大学と組んで行っているそうです。ただ、神経細胞を再生させただけでは実際には機能しないのでそこにHALを組合わせていくという構想だそうです。

その他、HALをはじめとするサイバニクス技術を活用した革新的な製品(医療用・福祉用、介護作業用、バイタルセンサーなど)を創出して「重介護ゼロ®社会」を実現すること、そしてそれらから生み出されたビッグデータを自ら開発するスーパーコンピューターで解析することで、政府が10年後の実現を目指す「Society 5.0(超スマート社会)」においてサービスプラットフォーマーとしての地位を確立することなどのお話がありました。

専門的な話もありますが、とてもわかりやすく具体例を挙げてご紹介いただきました。


続いて、糸島との対談です。


最初、糸島からは直球の質問です。
「目先のサイバーダインの株価の動向はアメリカでHALが承認されるかにかかっている。個人的には来年の半ばごろではと思っているが」という問いがありました。
すでに提出すべき書類はすべて提出済みで、今後はどういった分野で承認されるかが年明けぐらいから見えてくるのでは、という回答がありました。

その後は、AIGとの提携の話や、バイタルセンサーの開発などがどのように会社の利益につながっていくのか、という点、さらには国内でのHALの稼動状況など少し足下の質問もさせていただきました。

AIGとの提携やバイタルセンサーの開発は"未病"(予防医学)という領域への活用というお話でした。

最後に、糸島からは、首相官邸主導で進められている「未来都市会議」でも取り上げられている高齢者の自立支援を例に、サイバーダインが今後、社会でどのような役割を果たしていきたいかという質問をさせていただきました。

ここでは、宇賀様がプレゼンの冒頭お話されていた、「今ある技術をどう伸ばすか、ではなくて今後起こる社会課題に対してどんな技術が必要になるかを考え、技術をあてはめていく」ことが改めて説明されました。山海社長は常日頃、「社会の役に立てばなんでもいい」とおっしゃっているそうで、自分たちの技術を社会に役立てたいという強い想いをお聞かせいただきました。

この後、会場からも質問を受け、すべてに真摯にお答えいただきました。



非常に専門性の高い話ながらも、宇賀様にはとてもわかりやすくご説明いただきましたし、参加された皆様も熱心に聞き入ってくださいました。

終了後の感想では、
・サイバーダインの未来を知ることができ、今後高齢化社会において、活用できる技術を開発、製品化のノウハウを所有しているユニークな企業と感じました。
・技術が世界でもトップであること。技術の向上だけでなく、ガバナンスがしっかりしていること(がわかりました)。
・大変参考になりました。高齢化する日本に明るい未来をもたらす数少ない会社だと確信しました。

といったお声を頂きました。

またこちらのツアーについて、アナリストの視点から、ザ・2020ビジョンの月次レターでもご紹介しています。


最後に、今回のツアーに参加頂いた皆さま、ご協力頂いたスタジオの皆さま、宇賀様、本当にありがとうございました!