<講演抄録> ユニ・チャーム株式会社代表取締役社長執行役員 高原豪久氏 「人間の生涯に寄り添う商品をつくりグローバルに展開する」

<講演抄録>
ユニ・チャーム株式会社代表取締役社長執行役員 高原豪久氏
「人間の生涯に寄り添う商品をつくりグローバルに展開する」

ユニ・チャームは今期が57期で、すでに58期が始まっています。
設立は1961年。実は私が生まれた年と同じです。従業員数が2万2千人。私が父親から社長を禅譲してもらったのが2001年だったので、今年の6月でちょうど16年になります。おかげさまで順調に成長しています。
私どもの事業は、人間が赤ちゃんとして生まれ、シニアとして生涯を卒業していくすべての過程で、何らかの関わりを持つ商品を提供しています。また人間だけでなく、ペットの生涯にも関わる商品を提供しており、これがユニ・チャームの最大の強みだと考えています。なかでもシニア向けの商品は、超高齢社会の到来もあり、業績の牽引役になっています。

ユニ・チャームというと、紙おむつでアジア市場に早く参入して、業績を伸ばしてきたというイメージが強いと思うのですが、最大の強みは、人間やペットの生活に隙間なく密着した商品を提供できている部分にあります。
海外への事業展開は、1984年の台湾からスタートし、現時点において、私どもが商品を製造、販売している国は80か国以上にまで広がりました。2016年度の海外売上比率が58%。為替変動の影響があるものの、連結売上の約6割が、日本以外の国になります。
たとえば高齢者市場。日本が1番大きいと思われがちですが、実は高齢者人口で見ると、中国は日本の4倍ですし、インドも2倍です。また、日本の赤ちゃんの生まれる数を1とすると、中国は17倍、インドは23倍です。なので、日本で培ったビジネスモデルを、そのまま横展開していくだけで、ユニ・チャームにはまだ大きなポテンシャルがあるのです。
特に人口増加が著しいアジアでは、これからしっかり事業を進めてまいりますので、将来的には海外の売上比率が8割くらいになるかも知れません。こうしたなか、日本の市場では、シニア向けやペット向けが成長エンジンになっていくと考えています。

それと同時に、事業を通じて国際的な社会課題にも積極的に取り組んでまいります。そもそもユニ・チャームの商品を使われる方は、必然的に女性が多くなるわけですが、弊社で働いて下さっている方も女性が大勢いらっしゃいます。なので、女性の労働環境を改善することで、女性の地位向上に貢献できますし、ジェンダーの平等、ピンクリボン運動、さらには認知症予防を目的としたウォーキングの普及など、草の根的な活動にもしっかり関わってまいります。

また、働き方改革についても、在宅勤務制度の導入をいち早く進めていますし、報酬制度についても、特に30代、40代という子育て世代に対するサポートを、しっかり打ち出しています。

そして、使用済み紙おむつの再資源化にも取り組んでいます。使用済み紙おむつを、燃料や紙おむつ以外の製品に変えることは、すでに行ってきましたが、もう1度、紙おむつに戻すという技術は、これまでありませんでした。それも安全かつ清潔で、量産できるという条件を満たす必要があるのですが、この特許技術を確立し、鹿児島県の志布志市で、使用実験をスタートさせています。2020年には、それ以外の自治体でも活用できるように取り組んでまいります。


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