リンナイの見えない価値

おはようございます。 渋澤健です。

先週の金曜日(23日)の午後に、コモンズ30ファンドが2011年から投資しているリンナイ瀬戸工場を見学しました!名古屋地域だけではなく、東京、大阪、金沢など各地からの「お仲間」にご参加いただき、とてもうれしかったです(^^♪



同社の執行役員・工場長の松本和彦さんが我々を温かく出迎えていただき、会議室でのブリーフィングから始まりました。


工場内の写真撮影はNGということでしたが、同社の売り上げの5割強を示す主力製品である給湯器を製造する工程を見学するツアーは1)熱交換器・切削という前工程 → 2)塗装・板金・プレス → 3)組み立てという後工程の3つの棟を順番に回りました。前工程は男性職員がほとんどでしたが、後工程になると女性の比率が上がったことが興味深かったですが、組み立ての方がきめ細かな作業が要求されることなどが理由のようです。

製造業の会社の心臓部である工場を見学できたことは、本当に貴重な体験でした。「4S」である整理、整頓、掃除、清潔が行き届いてる現場であり、自前主義へのこだわりを感じました。リンナイの「品質」への徹底した企業理念が、文字や数字では表すことができない感覚で伝わってきました。

何よりも、ご案内していただいた方々の笑顔が印象的でした。本当に自分の仕事、そして、会社を誇りに思って愛しているんだという気持ちをヒシヒシと感じました。

工場見学を経て、名古屋へ移動。頼もしい助っ人の皆さんのおかげで短時間で、会議室の準備が整いました。ありがとうございます!


工場見学から同行していただいた取締役・専務執行役員・経営企画本部長の小杉將夫さんからリンナイの企業文化について中心にお話を伺いました。リンナイの社名の由来は、輸入コンロが放つ青い美しい炎に惚れ込んだ内藤秀次郎氏と同僚の林兼吉氏が名古屋瓦斯(現・東邦ガス)から1920年に独立する際に、「ナイ・リン」より、「リン・ナイ」の方が語呂が良いというところから決まったようです。



我が家で「リンナイ」といえば、数年前のキッチンのリノベーションに購入したガス・コンロです。すごく、気に入っています。今から4年ぐらい前に名古屋で日経新聞主催のセミナーで登壇した際に控室で内藤弘康社長とお話しをしたときに、リンナイのDELICIAで炊くご飯は最高ですとお聞きしていたのですが、その時は、ホントかなと思っていました。自分の常識では、ご飯を自宅で炊くのは電気炊飯器という存在が常識でしたから。

でも、半年ぐらい前のある日。妻がご飯を炊こうと思って電気炊飯器のスイッチを入れたら、反応がなし。急に故障して困った妻は、しょうがなく、ガス・コンロでご飯を炊くことにしました。その機能があったことは知っていましたが、それまで使ったことがなかったのです。

ところが、その炊けたご飯が、最高に美味しかったのです。一粒一粒、プリッとした感じがして。それ以来、我が家のご飯は毎日、リンナイのガス・コンロで炊いています!

このような優れた製品を持っているリンナイですが、実は、売上の5割強が、自分が日々、あまり意識を配っていないところにあります。給湯器です。

日本ではお湯を溜めるタンクを使わないタイプが一般的ですよね。温度設定が自分の好みに合わせて、いくらでもお湯が出てくることが当たり前だと思います。ただ、私が子供の頃に暮らしたアメリカではお湯を使い過ぎると切れて、冷たい水になってしまうことがありました。なぜなら、アメリカではお湯を溜めるタンク型が常識だからです。

タンク型の給湯器がほぼ100%のところ、リンナイはタンクレス給湯器のマーケット構築に努めています。米国内では年間に800万台以上の給湯器の市場があるようで、かなりの商機になります。ただ、リンナイの米国向けの売り上げは順調に伸びているところ、タンクレス給湯器のシェアはまだ4%ぐらいに留まっているようです。まだ、お湯はタンクから供給するという常識に捕らわれているようですね。また、リンナイのようなコンパクトな給湯器で熱いお湯がエンドレスに供給できることが理解できないようです。

しかし、リンナイは、これを30%ぐらいのシェアまで拡大できると見込んでいて、その大部分をリンナイが獲得したいと努めています。根拠は、オーストラリア市場もかつてタンク型が常識のところ、7~8年でシェアを30%まで拡大することができて、そのほとんどがリンナイのタンクレス給湯器というところにあります。水資源が足りない地域環境ですし、熱交換効率性のエコというリンナイの強みに魅力が高まったようです。

対話セッションも設け、伊井とアナリストの上野も入ってもらい、私が司会をつとめました。ここで、リンナイが大切にしている企業文化などについて話を掘り下げました。

特に印象に残ったところは、品質へのこだわりや4Sに加え、「全員参加」という「手づくり感」を重視しされていることでした。確かに、工場では、もっと自動化できる工程があったように思いましたが、同じラインに複数の製品が流れてくるので人の手づくりの柔軟性も活きてくるようです。


セミナーの後は、簡単でしたが、楽しい懇親会も同じ会場で設けました。


そして、楽しい会話で弾んであっという間に会場の完全撤収の時間が迫っている時、なんと、私たちの「お客様」も、小杉さんも、ご一緒に片付けてくださって、短時間で会議室を現状復帰できました! さすが、コモンズの「お仲間」です! 感謝です!


リンナイと比べるとコモンズ投信は、整理・整頓・掃除・清潔という4Sは全く及ばないです。しかしながら、全員参加の手づくり感では、かなり良い線行ってるんじゃないかと感激しました(^^♪ そういう意味でも、コモンズとリンナイの相性は良いと言えますね!(笑)


企業の財務諸表をいくら読み込んでも、企業説明会に何回も通っても、今回のように企業の「見えない価値」を体験できることはありません。

企業の持続的な価値創造を支える企業の「見えない価値」の見える化。これが、コモンズ30ファンドの投資理念である「対話」が目指しているところです!とても貴重な機会を頂戴したリンナイの皆様に、心より御礼を申し上げます。