ゴルディロックス経済の行く先は?

おはようございます。渋澤健です。昨日は、若干暑さが和らぎましたね。

熱くもない、冷めてもない経済のことを「ゴルディロックス経済」と言います。インフレによる加熱が見えないが、経済が順調に拡大している。まるで、おとぎ話のような状態を示しています。それが、現在の世の中の日米欧という先進国の一般的な経済観測です。

これは、下記のVIX指数(米株式のボラティリティ・インデックス、別名「恐怖指数」)からも見ることができます。


過去の推移と比べると、2017年は低水準に推移していますね。
一方、2008年の秋のリーマンショックには、この指数が急激に上層しています。世界中に恐怖が駆け回っていた時ですから。


「市場のボラティリティ(変動)が低いのは好ましい」という考えが一般的でしょう。

でも、そもそもなぜ市場が変動するかというと、”新たな情報を価格に「織り込む」試行錯誤が繰り返されているから”です。これは、市場の「価格発見機能」という現象です。価格を発見することが市場の役割です。

市場の変動が低いということは、
① 新たに価格に織り込む情報がない。
あるいは、
② 市場の「価格発見機能」が壊れている可能性
だと思います。

前者であれば、特に問題ないです。

でも、経済社会には常に新たな情報が生じますので、後者であれば、ちょっと気になります。

市場が先の情報を織り込むことは、まだ実際に起こっていないが、先に崖っぷちがあるかもしれないという認識を高めることです。実際には崖っぷちではないかもしれませんが、その感知能力は大事です。その能力を失ってしまえば、崖っぷちに差し掛かったときに初めて気づくことになます。

一方、投資で一番の利益が上がるときは「ショック」です。谷の底でしっかりと買えるときです。しかし、市場の価格発見能力が壊れているのであれば、その谷の底であるかもしれないという感知もできません。

経済および市場は「生き物」ですから、やはり、ある程度の動きがあることが自然であり、且つ健全な経済社会には必要なことです。

もし「価格発見機能」が壊れているとしたら、それはリーマンショック以降に先進国が実践した超金融緩和政策の仕業です。中央銀行が金利水準による間接的な誘導だけではなく、資産を買い入れるという直接介入に踏み込んだことが原因だと思います。

特に、日本国債は日銀が年間80兆円も買い入れる政策を取っていますので、需給関係で価格が維持されていて、新たな経済情報を価格に織り込むことが困難になっています。それは国債市場だけではなく、ETFの年間6兆円買い入れなどで、株式市場でも同じような傾向があります。

「ゴルディロックスと3匹の熊」というおとぎ話では主人公であるゴルディロックスの結末はハッピーエンドという感じではありません。ということは、ゴルディロックス経済の結末は・・・少なくとも、そのような状態がずっと続くということを前提としない方がよいでしょう。

そういう意味で、2万円近辺で動きが乏しかった株式市場に最近ちょっと動きが出てきたことは良い傾向です。

つみたて投資の場合、一定の金額を毎月買いますので、価格が上がると購入できる口数が減り、一方、価格が下がると購入する口数が増えます。市場が生きていて変動がある状態の方が、長期的につみたて投資を実践して良い結果が期待できます。