<10周年イベントレポート> -講演抄録- 株式会社堀場製作所 代表取締役会長兼グループCEO 堀場厚氏「惚れられることで組織の求心力を高める」

<基調講演>
堀場厚氏(株式会社堀場製作所 代表取締役会長兼グループCEO)
「惚れられることで組織の求心力を高める」


堀場製作所 代表取締役会長兼グループCEO 堀場厚氏
堀場製作所のCEOをしております、堀場でございます。
私、京都観光協会の副会長をしております。分析計や計測器を作っている堀場製作所が、なぜ観光なのでしょうか。
それは、私たちのビジネスがグローバルだからです。現在も売上の6割が海外で、1割が日本のお客様を通じて海外に出ていっているので、製品の7割が海外の市場へ展開しています。
ビジネスのグローバル化と共に、従業員の国際色も強まってきました。現在、従業員数は8000人近くになっていますが、そのうちの6割が、外国人従業員です。
そのような会社ですので、私をはじめとして、役員はほとんど毎月、海外を走り回っています。結果、堀場なら海外の実情、あるいは事情をよく知っているだろうということになり、京都観光協会の副会長のポストに白羽の矢が立ったというわけです。
京都はご存じのように、人口150万人の都市なのですが、その1割に相当する15万人が学生です。京都の上場企業は、ほとんど東京に本社を移していないという特徴を持っています。ところが、京都から新幹線で30分程度の距離にある大阪の上場企業は、大半が東京に拠点を移してしまいました。
なぜこれだけの違いがあるのでしょうか。
それは、京都が観光地であるのと同時に、前述したように学園都市だからです。総人口の1割が学生なので、優秀な学生を集めることが出来るというメリットもあります。結果、それが京都企業の高い競争力につながっています。
また、なぜ京都企業はグローバル化が進んだのか、ですが、最近でこそ新幹線で2時間の距離にある東京ですが、昔は8時間、あるいは10時間くらいかかりました。京都にとって東京は非常に遠い場所だったのです。
すると、東京を中心とした関東圏への営業、あるいは政府との折衝を行うのにわざわざ8時間、10時間をかけるくらいなら、ニューヨークやロサンゼルス、ロンドン、フランクフルト、パリに行くのも同じじゃないかということになり、多くの京都企業は海外にマーケットを求めました。これが、京都企業がグローバル化した一番の理由だと思います。
わが社の場合、6割いる外国人従業員のうちフランス人が12%を占めています。実数で申しますと1000人くらいです。しかも、1000人のうち80名近くが博士号を保有しています。

なぜ、これだけのフランス人をマネージできるのか、ということに驚かれることもあるのですが、私が思うに、京都人とフランス人は似た者同士なのではないか、ということです。
たとえば「よそ者に嫌われる」のは、その代表的な事例でしょう。
なぜ、よそ者に嫌われるかということですが。やはり自分たちの価値観、歴史、ベースにこだわり、それらを非常に大事にしているからです。だから、多少批判的なことを言われたとしても、あまり意見を変えません
あるいは、人のまねをするのが嫌いで、常に一番でないと気が済みません大きさよりも中身であり、本物であるかどうかが問われます。
一方、大都市圏の価値観は売上が大きい、従業員が多いなど、とにかく大きいことは良いことだという風潮が強く感じられます。
本物であるかどうか、の価値観が京都にしか通用しないものなのかということですが、決してそうではありません。
今、私たちの売上が2000億円を超えてきました。コモンズ投信は10年前にわが社に投資してくださったのですが、この時、私たちの会社は、リーマンショックの影響もあり、1400億円あった売上のうち400億円も落ち込みました。絶対に赤字必至です。でも赤字にならなかったのは、事業ポートフォリオがうまく分散されていたからです。
具体的には自動車、環境、医用、半導体、科学への分散です。2009年の時は、自動車と半導体がガタガタになったのですが、医用と科学が貢献してくれて、赤字にならずに済みました。


私どもの社是は、「おもしろおかしく」。英語だと「Joy and Fun」になるわけですが、その価値観に惚れてM&Aに応じて下さった海外企業はたくさんあります。20数年前からM&Aを行っていますが、フランスの会社2社、ドイツ2社、米国1社を買収してきました。
こうして外国人従業員の比率が6割まで増えたわけですが、みなさんの感覚で言うと、買収に対して、あまり良いイメージがないのではないでしょうか。それこそ札束で頬を引っ叩いてというイメージが思い浮かんでくる人もいると思いますが、私たちが買収した5つの海外企業は、先方から堀場製作所の傘下に入りたいといってきてくれました。企業文化を変えるには5-6年はかかるのに、先方から来てくれればM&Aの翌日からオペレーションに入ることができるのです。
大事なのは、「惚れられる」ことです。堀場で勤めたい、堀場の傘下でオペレーションしたいと思われることが大事なのです。つまり企業の大切さとは、財務諸表、損益計算書など目に見える数字で示せないものをどれだけ持っているかが勝負だと思います。
会社を買収する時、デューデリジェンスといって買収する会社の内容をチェックするのですが、これを私たちは全部自前でやっています。堀場の社員を私はホリバリアンと言っているのですが、ホリバリアンが現地に行き、現地の弁護士、公認会計士と一緒に買収予定の会社の現状を解析していきます。そして、その報告が私のところに上がってきたら、私がその会社を訪問し、マネージしている人たちと面談します。特に我々は製造業ですから、研究開発部門に綿密なヒアリングを行います。その時、彼らがどれだけのものを持っているのかを判断します。私の感覚で申し上げますと、数字で把握できる部分と、目に見えない財産の部分とで、半々くらいの比率で判断します。この「会社を見極める目」を重視しています

堀場製作所は毎年140~150人の新卒社員が入社してきます。それと同時に、その半分近くの人材を、中途入社で採用しています。当然、新卒の社員は自社で育てていくわけです。一方で堀場で働きたい、この会社で社会に貢献するような仕事をしたいという優秀な才能を持った人たちを外部から集めることによって、今の堀場製作所は成り立っています。かつ、その3分の2近い従業員は外国人で、その3%程度は博士号を持っています。
こういう人たちが、ぜひ堀場でユニークな製品を開発し、世界一のブランドで勝負したいと考えています。そして、安いから買うのではなく、製品そのものに高い付加価値があるから買うのだというように、自社製品を高めていくことが極めて重要だと思います。

-対談- 堀場製作所堀場厚氏 × コモンズ投信会長渋澤健
2019年4月19日金曜日

<10周年イベントレポート> -対談- 堀場製作所堀場厚氏 × コモンズ投信会長渋澤健

<トークセッション>
堀場厚氏(堀場製作所代表取締役会長兼グループCEO)
渋澤健(コモンズ投信取締役会長)
「一人ひとりの力を合わせてスーパードリームチームをつくる」


 渋澤  企業を買収する時、数字に現れる価値と、現れない価値があるということですが、御社の価値で外から見えていない、理解されていないものとは何ですか

堀場様  ホリバリアンですね。日本の従業員は3000名なのですが、5つのマーケットで世界一のシェアの製品を供給しようとすると、開発、エンジニアリング、生産、営業、サービスにおいて、従業員1人あたりの生産性が高くないと、絶対にカバーできません
また自動車、半導体、医療用、工業用、研究開発など、堀場製作所が製品を供給している様々な分野において、それぞれ要求されることや言葉や価値観が違います。そのため、自動車なら自動車、半導体なら半導体という、それぞれの分野の言語でコミュニケーションを取らなければなりません
たとえば20数年前ですが、フランスの医療用関係の会社を買収しました。すると次の日、私はフランスの医療用関係企業のトップになるわけです。お医者さんのところに行った時、ちゃんとその業界の言葉で話をしないと、「トップのくせに何もしらない」と思われてしまい、製品を買ってもらえなくなる恐れがあります。
ただ、人間はひとつ柱をしっかり持つと、他の分野について話をする時も、その柱を応用して話が出来ます。だから、自分の柱をしっかり持つようにと、ホリバリアンには常に言っています。
そうして育ってきた人財(人材のざいはホリバでは財産の財といっています)の優秀さは、なかなか外部からは分かってもらえるような、分かってもらえないような部分だと思います。

コモンズ投信取締役会長 渋澤健
渋澤  私たちも、企業の見えない価値で最大のものは何かいうと、勤めている人なのではないかと思います。
堀場製作所の例では、堀場さんのお姿は見ますが、そこで働いている従業員一人ひとりの人物像はなかなか見えてきません。どの企業も「最大の財産は人です」と言うのですが、企業のバランスシート上に、人はどこにも載っていません

堀場様  そこで働いている人の礼儀を見ると、分かります。従業員の礼儀がピシッとしている時は士気が上がっていますから、業績も良くなります。
ところが、会社の業績が良くなると慢心が出るのでしょう。徐々に礼儀が悪くなり、それが業績の悪化につながっていきます。M&Aをする時、相手先がどういう会社なのかを見るわけですが、設備やオフィスを見るのではなく、そこで働いている人が、どのような応対をしているのかを見るようにしています
まあ、海外企業の場合、日本のように礼儀云々という話はあまりしないのですが、職場の空気感にそのようなものが滲み出てきます。この“空気”を読むことが大事ですし、これからの時代は空気を読むというか、肌感覚のセンスが重要になってきます。
このことは経営だけにとどまらず、たとえばこの技術は本物かどうかを見分ける時にも有効です。そして、これは決して知識があるからどうにかなるというものでもありません。もちろん知識は必要ですが、それを使って何を新たに生み出すかが大事なのです。何かを生み出そうとする創造力、クリエイティビティを養う教育が行われていないところに、日本が弱体化する原因があると思います。現に堀場製作所でも、日本に比べてフランス、イギリス、ドイツの子会社の方が、新たなアイデアによる製品が生まれやすくなっています。日本人は、すでにあるものを改良したり、製品の質を高めたりすることには強いのですが、全く新しいアプローチになると途端に弱くなります。日本全体が地盤沈下しているのは、ここに最大の原因があり、それを悪化させないようにするためにも、京都における教育システムを変えていこうと考えています

渋澤  以前、御社に対話をお願いした時、ダイバーシティ担当の方が「ステンドグラスプロジェクト」のお話をされていて、感動した記憶があるのですが、もう一度、それを話していただけませんか。

堀場製作所代表取締役会長兼グループCEO 堀場厚氏
堀場様  ステンドグラスは、恐らく皆さん、教会の壁を飾っている、さまざまな彩を持った綺麗なガラスというイメージだと思います。ところが、ステンドグラスに顔を近づけてじっと見ると、意外と歪で、あまり磨かれていないことに気付くと思います。そういうものの集合体がステンドグラスなんですね。いろいろなガラスが組み合わされていて、どれかひとつが抜けると、おかしなステンドグラスになってしまう。これを堀場製作所の人財に当てはめて話すのです。一人ひとりのホリバリアンが大事であり、ダイバーシティなどさまざまな活動をするにあたって、一枚一枚のガラス、一人ひとりのホリバリアンが、ステンドグラスというチームの一員でさえあれば光ることができる、そういう組織にしたいと思います
また、スーパーマンやスーパーウーマンはいらないという話もしますね。社会はそれらを求めてしまいがちですが、皆がそうなるのはまず不可能です。でも会社の良いところは、何かひとつ良いものを持っていれば、一人ひとりが組み合わされることによって、スーパードリームチームが作れます。まさに多様性なのですが、堀場製作所は昔から海外の人たちと一緒に仕事をしてきたこともあり、肌に沁み込んでいます。

渋澤  堀場さんが創業者で御父上の堀場雅夫さんの後を継いで社長になられたのが、1992年でした。社長になった時の苦労話はありますか。

堀場様  社長になる2、3年前から2代目社長をサポートする専務として会社全体をみるようになっていたのですが、やはり社長とそれ以外は全然違います。
私が社長になった途端、減収減益になりました。で、3年目に偏頭痛になったのです。針に行っても整形外科に行っても全然治らない。どちらかというと私、楽天家だと思っていたのですが、社長になって3年も減収減益が続くと、知らずしらずのうちに精神的に追い込まれたのだなと思い、創業者だった自分の父に、「意外と僕デリケートやった。減収減益で偏頭痛になったみたいだし、これは何かせんとアカンかな」と言ったら、「だいたい物事を改革しようと思ったら、そんなもんや。目先の成績は落ちる。でも、信念があって続けられるなら、いつか結果が出るだろう」と言ってくれたのです。
ああ、そうかなと思って続けていたら、95年から上向き始めました。まあ、偏頭痛の原因は、実は精神的ストレスではなく、スキーで転び、軽いむち打ちのようになっていたからというのが真相だったのですが。

渋澤  事業を進めていくうえで、どういう点を重視していますか。

堀場様  経営者で一番大事なことは、自分の実力だけで事業が成り立つなどとは思わないことです。
誰も同じですが、人間は24時間365日しか時間がありません。もし私一人で仕事をしていたら、こんな業績は絶対に出せません。それでも会社はきちんと数字を出してくれます。
昨年買収した、フューエルコンというドイツの会社は、燃料電池の試験装置をドイツで開発し、ドイツ国内では8割のシェアを持っているのですが、私たちの傘下に入ってきてくれました。これによって今、最も脚光を浴びている技術を持った会社が、堀場製作所に入ってきてくれました。今から2年前、フューエルコンという会社の名前など、私は知らなかったのですが、フューエルコンはすでに堀場製作所を知っていて、自分たちが持っている技術を世界一にするためには、堀場製作所の傘下に入った方が良いという判断を下しました。
これ、絶対に私の実力ではありません。それでも彼らは来てくれました。持っていなかった技術を、M&Aによって手に入れられたのです。
なぜ、M&Aによって得た技術を日本に持ってこないかというと、企業体の裏にアカデミア、つまり大学があるからです。産学連携がきちんと出来ていて、かつワークしています。日本では一時期、アカデミアの独立という点で、企業と一緒に研究するのは良くないことだという風潮があり、結果的にアカデミアの力が失われていきました。
それに対して危機感を持っている大学も多く、そういうところと一緒に研究開発をしたり、中国の大学とも産学連携を行ったりしています。この動きは今後も続けていきたいですね。

渋澤 ありがとうございました。
対談終了後、こどもトラストセミナーに参加したこどもたちから
「しゃちょうさんへのてがみ」を受け取る堀場氏

-講演抄録- 株式会社堀場製作所 代表取締役会長兼グループCEO 堀場厚氏「惚れられることで組織の求心力を高める」

<10周年イベントレポート> -トークセッション- コモンズ30ファンドと共に歩んだ10年の足跡

<トークセッション>
岡田紀子氏(シスメックス株式会社コーポレートコミュニケーション本部長)
伊井哲郎氏(コモンズ投信代表取締役社長)
末山仁氏(コモンズ投信運用部シニアアナリスト)
「コモンズ30ファンドと共に歩んだ10年の足跡」

伊井  シスメックスは、コモンズ30ファンドの組入銘柄のなかで最も値上がりした会社であり、ファンドの運用成績にも大いに貢献していただいたわけですが、御社自身もこの10年ですばらしい成長をされたと思います。この10年を振り返って、どのような点が印象的ですか。

シスメックスコーポレートコミュニケーション本部長
岡田紀子氏
岡田様  海外の売上がとても好調に成長しました。中国を新興国に入れるかどうかにもよりますが、中国を含め新興国全般が非常に伸びてきたと思います。今後、中国だけでなくインドネシアやインドなど、人口が多くヘルスケア分野が大きく伸びる可能性の高い市場がいくつもあるので、今後の成長に期待しています。


伊井  今、世界中で人口が毎年約7000万人ずつ増えていますので、多くの方々が検体検査など、ヘルスケア分野に対する関心がますます高まっていくでしょう。しかも、売上の約8割がグローバルシェアでナンバーワンという驚くべき成長ぶりですが、それを実現するには大変なご苦労もあったと思います。こうした苦難を乗り越えて成長し続けられる秘訣は何ですか。

岡田様  安定した売上が得られるビジネスモデルです。一度機械を購入していただくと、検査ごとに必要となる試薬だけでなく、サービス&サポート費用も発生しますので、それが安定した売り上げにつながっていきます。
しかもヘルスケア事業は、リーマンショックや米中貿易戦争のような大きな混乱が生じたとしても、影響を受けにくいという特徴があります。こうしたことが、厳しい環境でも成長できる秘訣だと思います。

伊井  これからの10年について伺いたいのですが、担当アナリストである末山さんは、シスメックスの今後10年を考えた時、どこに注目、あるいは期待しているのでしょうか。

コモンズ投信運用部シニアアナリスト 末山仁
末山  注目しているのはゲノム医療。それと血液検査のリキッドバイオプシーに期待しています。
また川崎重工と合弁会社をつくり、そこで外科医用の手術ロボットも手掛けていて近々、これがマーケットに出てくることが期待されています。これらを含めて、岡田さんとしては、どのような成長ストーリーをイメージしているのでしょうか。

岡田様  川崎重工とは、50%ずつの折半出資でメディカロイドという会社をつくり、手術支援ロボットの開発を進めています。これは2019年度中の発売をめざしています。現状、手術支援ロボットで上市されているのは米国企業の製品のみです。川崎重工は産業用ロボットで圧倒的な地位と技術力を持っていますし、私たちは医療分野でサービス&サポート、あるいは病院の先生方とのコネクションを持っています。それらを組み合わせれば、きっと面白いことができるのではないかと考え、日本初の手術支援ロボットの開発を開始しました。

伊井  この10年間、私たちはシスメックスに投資し続けてきました。岡田さんにはコモンズ30塾にも登壇していただきましたし、昨年は子供たちも一緒に、機械の生産工場であるアイスクエアにお邪魔しました。その工場は非常に清潔感があり、地元の方々がイキイキ働いているのが印象的でした。この時、参加してくださった子供たちに、「シスメックスに投資し続けても良いか」という質問をしたのですが、この時、子供たちの結論としては、「これからの社会を考えると、シスメックスは世の中になくてはならない企業である」ということでした。

末山  私も一度、アイスクエアに行ったことがあるのですが、本当に清潔感あふれる工場ですね。何といっても名前がアイスクエアですからね。○○工場ではなくアイスクエア。何となく働きやすいイメージが浮かんできますね。

伊井  岡田さんには、コモンズ投信への期待を伺いたいと思いますが、いかがでしょうか。

岡田様  あの親子セミナーはとても楽しかった思い出として覚えています。あの時は工場の中を見学していただき、最後に血球計数器を製造する最終工程で部品をはめこむ作業を、親子でやっていただきました。非常に和気あいあいとした雰囲気が出ていて、とても良かったと思います。医療に関わる製品が、世の中でどのような役割を果たしているのかということもわかっていただけたようで、それは実に有意義だったと思います。
またこれからは、個別化医療が台頭してくるでしょう。遺伝子の変異を見て、各人にどのような抗がん剤が合うのかを把握して、個々人に合った医療サービスを提供する。それによって、健康で長生きできる社会を創るお手伝いが出来ればと思います。

伊井  現代社会においては2人に1人がガンに罹患すると言われています。シスメックスの血球検査を使って将来、どのくらいまでガン治療のサポートができるようになるのでしょうか。

岡田様  ガンといっても広いのですが、今は検体検査と遺伝子検査があって、身体から取り出した血液を検査する免疫検査で、ガンになった時に出てくるたんぱく質をマーカーで測るというのは、すでに世界でもあります。ただ、これからはガンになった時、遺伝子を検査し、診断に活かしていくことに、国立ガンセンターと共に取り組んでいます。

伊井  もうひとつ、エーザイと組んでアルツハイマーの分野でも研究を進めていらっしゃいますが、進捗状況はいかがですか。

岡田様  研究開発段階ですが、アルツハイマーを治す薬は、残念ながら今のところありません。ただ、進行を遅らせる薬はあります。そして将来は治す薬ができる可能性も大いにあると思っています。私たちのビジネスは診断のところに関わっているのですが、その診断には頭に針を刺し、脳骨髄液を取り出して脳の中のたんぱく質を測ることで、アルツハイマーであるかどうかを診断します。ただ、この方法だと患者さんの身体的負担が重く、費用も高額です。なので、それを血液から判別する方法ができないものかと考えて、血液中にしみ出てきた脳の中のたんぱくを測る研究を、エーザイと共同で行っています。ガンは徐々に治る病気になってきましたので、次はアルツハイマーの治療に貢献することによって、健康で長生きできる社会をつくることに貢献したいと思います。

伊井  ありがとうございました。

10周年コモンズフェスタ~未来を信じる力~ 開催レポート(京都)

10周年コモンズフェスタ~未来を信じる力~
開催レポート(京都)
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コモンズ投信が、第1号ファンドである「コモンズ30ファンド」を設定して10年が経ちました。
同ファンドが設定されたのは2009年1月。リーマンショックの影響が色濃く残された時で、スタート時の設定額は1億1814万円、お客様の数は153人という小さな、小さな規模での船出でした。
それが今は、大勢のお仲間と出会い、「コモンズ30ファンド」の純資産総額(公募)が約158億円、「ザ・2020ビジョン」の純資産総額(公募)が約40億円で、お客様の数は約8000人にまで成長しました(2019年3月末時点)。
また昨年は、金融庁の求めで投資信託の販売金融機関が公表した、『比較可能な共通KPI』で、運用損益別顧客比率(販売会社で取引しているお客さまのうち、どれくらいの方が利益が出ているか)の数字が97.7%となり、公表した金融機関の中で最高位となりました。これは必ずしもコモンズ投信の運用能力が一番優れていた結果にのみよるものではなく、長期積立投資を啓蒙し続けたきたコモンズ投信、そして何よりも私たちコモンズ投信を信じて長期積立投資をコツコツ続けて下さった大勢のお仲間の力の総和によるものです。
さて、コモンズ投信は次の10年に向けて新たな旅に出ます。それに先立ち、京都と東京で恒例の周年イベントを開催しました。まず、京都で行われた「10周年コモンズフェスタ~未来を信じる力~」の様子をレポートします。
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【レポート目次】

■基調講演
 -講演抄録- 株式会社堀場製作所 代表取締役会長兼グループCEO 堀場厚氏
 「惚れられることで組織の求心力を高める」
 -対談- 堀場製作所堀場厚氏 × コモンズ投信会長渋澤健

■企業との対話
 -プレゼン抄訳- シスメックス株式会社「豊かな健康社会づくりを目指して」
 -トークセッション- コモンズ30ファンドと共に歩んだ10年の足跡

■未来を信じる力を合わせて
 トークセッション


<10周年イベントレポート> -プレゼン抄訳- シスメックス株式会社「豊かな健康社会づくりを目指して」

<企業との対話>
シスメックス株式会社IR・広報部IR課長 表具佑樹氏
「豊かな健康社会づくりを目指して」

シスメックス株式会社IR・広報部IR課長 表具佑樹氏
みなさんこんにちは。シスメックス株式会社IR広報部の表具と申します。
またコモンズ投信の皆さま、本日は10周年おめでとうございます。私どもシスメックスを投資先として選んでいただき、株価の値上がりが一番高かったということで、ちょっとプレッシャーを感じておりますが、20周年、30周年を迎えた時も、同じように言っていただけるように頑張ってまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

会社の概要について簡単に説明させていただきます。
私どもシスメックスは、主にヘルスケア業界でビジネスを行っております。お医者さんが患者さんを診る時、問診、診察・治療、そして完治というプロセスがあるわけですが、私どもシスメックスが手掛けているのは、「検体検査」といわれる領域です。
病気や健康診断で病院に行った時、採血された経験のある方は多いと思うのですが、その血液を測定・分析するための装置や試薬を作っています。具体的には血液の中にある赤血球などの細胞を測定しています。その他、尿検査やHIV並びに肝炎など免疫検査のための製品も作っています。
上場来の業績推移は、お蔭様で非常にきれいな右肩上がりです。好調な業績に支えられて、株価も順調に値上がりしています。しかも、2000年以降は海外における売上高が急速に伸びています。直近20年、海外の売上が堅調だったことが、シスメックスの経営基盤を強固なものにしました。

シスメックスの経営には3つの重要なポイントがあります。
安定した収益性。
成長を支える競争優位性。
高い海外売上構成比
以上について簡単に説明いたします。
第一の安定した収益性についでですが、私たちのビジネスは、プリンターとインクの関係に喩えることができます。
プリンターを買ったら、間違いなくセットでインクを買われるでしょう。したがってプリンターが継続的に購入されている限り、インクやカートリッジの売上も上がります。
私たちのビジネスモデルは、最初に検査をするための装置を販売します。すると、この装置で血液を測るために必要な専用の試薬を、継続的にご購入いただく形になります。この機械は平均で5~8年程度使われるので、一度機械を購入していただければ、5~8年程度は間違いなく試薬の収入が入ってきます。かつ2年目になると保証期間が終わるので、サービスサポート、メンテナンスの費用もいただくことになります。これらによって景気に大きく左右されることなく、長期的に安定した収益が得られるのです。


第二の競争優位性については現在、世界シェア、ナンバー1の分野を3つ持っています。
売上構成比をみると、ヘマトロジーといって血液の中の細胞を数える検査が62%。尿検査が7%。そして血液凝固検査が16%となっているのですが、これら3つの分野で、世界シェア、ナンバー1です。特に血液検査に関しては、市場シェア52%を誇っております。
第三のグローバル展開ですが、私たちは世界70か所以上に拠点を設けています。そして拠点がない国では、代理店を通じてビジネスを展開しており、結果的に現在190カ国以上で製品、サービスなどを提供しております。

シスメックスブースの様子
次に今後の成長戦略についてですが、ポイントは3つあります。
第一は新興国におけるヘルスケア市場の拡大です。世界人口の多くは新興国に偏在していますが、GDPに占める新興国の比率は3割未満です。つまりヘルスケア業界にとって新興国は、これからさらに大きなマーケットに拡大していくポテンシャルを持っています。したがって、私たちはエジプトやトルコ、ミャンマー、ガーナ、コロンビアなど、世界の新興国に新たな拠点を開設している最中です。

第二は患者さんの身体的負担が少ない検査の実現を目指しており、新しい技術を開発しているところです。たとえばガンの検査をする場合、今のところは細胞を取り出して検査する生検が主流ですが、私たちの取組みは、それを血液検査で実現するというものです。これを「リキッドバイオプシー」と言います。これが実現すれば、患者さんの身体的負担はかなり減ります。


第三は、ゲノム医療です。昨年12月、私たちは日本企業として初めて、ガンのゲノム診断に関して、厚生労働省から販売・製造の認可をとることができました。これによって、100以上の遺伝子を同時に診断できるようになります。その結果、ガン患者さんのどの遺伝子に異常があるのかについて、1度に100以上の遺伝子を診断できるようになります。

個人投資家で賑わうシスメックスブース
私たちはビジネスによって得た利益を、社会に還元していきたいと考えています。神戸マラソンの特別協賛や、社員のボランティアによる献血活動、ガン関連のチャリティラン、そしてフィギュアスケート選手のサポートとしては、坂本花織選手と三原舞依選手に所属していただいております。事業における成長だけでなく、社会における貢献活動も重視して、私たちは活動しているのです。


-トークセッション- コモンズ30ファンドと共に歩んだ10年の足跡

【お客さま事例紹介】田中さま(仮名)のコモンズストーリー

こんにちは。

コモンズ投信で仕事をしていると、お客さまの人生の転機やチャレンジに立ち合わせていただく機会があります。
そんなお客さまの人生の一幕をご紹介する『コモンズストーリー』。


今回は、コモンズ投信でつみたて投資してきたお金を息子さんの20歳の誕生日にプレゼントしたお客さまのインタビューを紹介します。
息子さんはコモンズのお金をブラジル旅行資金に役立てることができたそうです。

~田中ゆうこさん(仮名)のコモンズストーリー~

 - 息子さんとのコモンズストーリーを教えてください。

現在息子は20歳。大学2年生です。コモンズで息子名義でつみたてを開始したのは2014年8月。息子が15歳のときでした。4年間、コモンズ30ファンドとザ・2020ビジョンを、それぞれ5000円ずつ積立てていました。2018年8月に晴れて20歳になったので、それを機にコモンズの口座とファンドを渡しました。4年間、月1万円の積み立てで、渡したとき65万円くらいだったと思います。「君がチャレンジに使えるといいなと思ってつみたててきたものだよ。だからこれはあなたが決めて使っていいものだよ。あと、早くからこういったものを知る、慣れることも大事だと思うから、渡します。」と言って渡しました。
少し緊張している感じに親には見えました。受け取った時は、「将来にとっておく」と言ってました。あとから聞いたら「信頼されてるみたいで嬉しかった」そうです。

彼の将来の夢は観光業に関わること。そして大学1年の後半にブラジル一人旅を計画。その資金にコモンズの残高の一部を充てることに。彼にとって縁のある人たちを訪ねる旅でしたが、留学のための奨学金をとるため勉強に励みながら、バイトでは不足していた分を、コモンズ30ファンドとザ・2020ビジョンが補ってくれたようです。

 - 彼の使い道についてどう思いましたか?

時間がたくさんあるという学生ならではの財産と共に、一人旅というチャレンジに使ってくれたことは嬉しいことでした。たくさんの素敵な出逢いと、地球の反対側の景色をその目にしてこれたことは、彼の人生におけるはじめての自分への投資としては、大成功だったのではないでしょうか。帰ってきたときの表情をみてそう感じました。
自分自身で旅行を自力でアレンジしたことで自信を得られたということもあるのでしょうね。今回の旅は一生の宝になったのではないかと思いました。
また、自分でコモンズの口座の管理者を親から本人に書き換えたり、ファンドを売ったりすることも、またもうひとつの新しい経験でした。その様子も、はじめてのチャレンジでドキドキしているようにも見えましたが、コールセンターの方々に優しく対応していただき、自力ですべて対応していました。
改めて、こどもたちというのは、挑戦を積み重ねて成長するのだなと感じましたし、親だけでなくいろいろな制度、人々にサポートしていただいて、こどもたちは大人になっていけるのだと思いました。

 - 息子さんへのメッセージをどうぞ!

お金のことは知ることが大切。自分はどうやってつきあっていきたいのか、自分なりの価値観を育てて探ってみてね。きっとあなたの夢とあなたが暮らす未来の世界に繋がるよ。

 - 最後にコモンズ投信へのメッセージもいただけますか?

プレゼントがきっかけで始めたこどもトラスト!あの時始められていてよかったです。途中子育て&家事&仕事に忙殺される時期を経て(その間はつみたては続けてるだけのほったらかしw)、いざこどもが巣立つ時、お金とのつきあいが始まる時に、つみたててきたものだけでなく、コモンズの考え方も含めて、こどもに手渡せたこと、とてもよかったです。後は小さな失敗をしながらも、自分なりの付き合い方を見出していってくれたらと思いますので、引き続きよろしくお願いいたします。

田中ゆうこさん(仮名、女性・東京都・40代)


息子さんは、65万円のうち30万程度を売却して旅の資金にあてて、残りは運用継続中&つみたても継続中、とのこと。
こんな素敵な親子のストーリーのお役に立てたことをコモンズ投信としてもうれしく思います。

私達はいつでも仕事も子育てもがんばる現役世代の皆さまのお役に立ちたいと思っています。
こどもたちへの応援資金だからこそ、長い時間を味方につけて、コツコツしっかり、お金と想いを育てる一歩を踏み出しましょう。

第2回をお楽しみに!!


2019年4月18日木曜日

投資信託は渋沢栄一の「合本主義」の現代版


おはようございます。渋澤健です。先週、新一万円札の刷新で渋沢栄一の肖像が使われることが発表されました。渋沢栄一がクロースアップされる週となりましたが、日本経済新聞コメンテータの梶原誠さんは良いところに目を付けたと思います。

2019/4/13 2:00日本経済新聞 電子版

実は、資本主義の父といわれる渋沢栄一は「資本主義」という言葉を使った形跡がありません。「合本主義」という言葉を使っていました。会社を支配する大株主より少数株主のの方が会社が創造する価値を多数へ分配できて、結果として、国が富むと考えたからです。

渋沢栄一とガチンコの関係だったといわれる三菱財閥の創始者である岩崎弥太郎は才能ある経営者が資本も掌握して会社を舵取るべきと考えたようです。理がある考えで、現在の世の中でも同じような経営者・投資家の存在があります。

一方、栄一はあくまでも合本主義によって会社の利益が多数へ還元され、国が富むことを目指していました。一人ひとりが富むことによって、国が富む。民間力の向上がなくして、国力が高まることがないという考えです。渋沢栄一は、強烈な「未来を信じる力」の持ち主でした。

渋沢栄一が日本初の銀行である第一国立銀行を創立した際の株主募集布告で指摘しています。「銀行は大きな河のようなものだ。銀行に集まってこない金は、溝に溜まっている水やポタポタ垂れている滴と変わりない。折角人を利し国を富ませる能力があっても、その効果はあらわれない。」 
            
これは銀行に集まってくる「お金」だけではなく、少数株主という「滴」にも同じことが言えます。一滴一滴の滴が、共感によって寄り集まり、共助によって互いを補い、「今日よりもよい明日」を共創することが渋沢栄一が提唱した合本主義であると、玄孫(孫の孫)である私は解釈しています。

投資信託とは、小口であっても複数の会社の少数株主になれる金融商品です。

ただ、「機能」としてだけの投資信託ではなく、
「今日よりもよい明日」を共創するという「意味」も必要になると思っています。

投資信託を通じて、様々な出会い、気づき、自己実現、成長、つながり、そして、感謝。
このような「意味」がある投資信託、すなわち、合本主義の現代版をコモンズ投信は目指しています。

ぜひ、ご一緒にコモンズのお仲間にお入りください!



2019年4月15日月曜日