10周年感謝の集い@大阪!

おはようございます。渋澤健です。週末は、良い天気に恵まれたところが日本全国で多かったと思いますが、暑かったですね~!最近、春を楽しむ日々が少なくなっている感じがします。

さて、昨日は大阪で記念すべきキックオフイベントを開催しました!コモンズ投信(正確に言うとコモンズ30ファンド)の10周年を機に、コモンズの「お仲間」へ感謝をお伝えしたいという想いで伊井と私が同時に地方を巡る「対話」の場を設けるシリーズの第一弾です。実は、過去10年間、伊井と私が一緒に登壇するセミナーって、案外、レアなんです。(要は、言いたいことは、希少価値があるイベントである、と…w!)


10周年のイベントなので、過去の振り返りももちろんありますが、今回の地方巡回の感謝の集いの狙いは、むしろ、これからの未来のこと。「一人ひとりの未来を信じる力を合わせて次の時代を共に拓く」ことを存在意義としているコモンズ投信ですから、「今日よりもよい明日」のイメージづくりに務めたいと思っています。

また、伊井と私がマイクをずっと握っていることなく、ご来場された皆さんの参加型の「対話」の場に努めたいと思っています。以前からコモンズのセミナーに参加されている方々にとって「対話セッション」はいつものことですが、初めて参加される方々も少なくなかったと思うので驚かれたかもしれません(ごめんなさい!)。でも、すぐに、活発な意見交換が交わされる、ライブ感に満ちた集いになったと思います。

また、今回は夫婦でご参加いただいた方々、あるいは奥さまから「あなたが行って話を聞いてきて」と参加していだいた方などいらっしゃって、うれしかったです。


今回の大阪は感謝の集いの第一回目という位置づけであってので、【わたくしたちがこれから創りたい未来にに必要な要素のテーマ出し】にご協力をいただきました。


自分の健康や子どもたち教育、または将来の働き方など、やはり「暮らし」に関連するテーマが多かった感じがしますので、次回から、この大切なテーマについて深掘りと展開したいと思います。

また、「暮らし」とは自分の目の前に見える大切な要素でありますが、例えば、環境(温暖化)や財政赤字問題など、目先では見え難いテーマの議論の展開もしたいと思います。

次回は、6月8日(土)@広島です!どのように「今日よりもよい明日」の議論が展開するか楽しみです! ご都合がよい方々はご家族、お友達をお誘いいただき、是非ともお越しください!

「感謝の集い」シリーズが始まります!

おはようございます。渋澤健です。九州方面は大雨の災害等を被り、東京の週末は晴れで、涼しい風がちょっと強く吹いて爽やかな天気でした。温暖化の影響でしょう
か。不安定な天候が常になりましたね…

さて、お知らせです。コモンズ30ファンドの10周年をきっかけに、社長の伊井哲朗と一緒に地方を巡る「感謝の集い」を開催することになりました。過去の10周年を振り返ることより、これからの10年、「わたしたちがこれから創りたい未来」について皆さんと一緒に語り合いたいという趣旨です。


なので、会社説明や運用報告を主としている会にはならないと思います。その代わりに、コモンズ投信って、どうような想いで運営している運用会社かということを体感していただくことを目指しています。既存の受益者(コモンズのお仲間)には、是非とも、ご確認の意味でご参加していただきたいです。また、コモンズ投信のことを聞いたことがあって関心を持った方々にも、是非とも、コモンズのことをもっと知っていただきたいので大歓迎いたします。

伊井も私もかなりの回数のセミナー講師活動を年間に行っていますが、実は、この度10年間、二人のセミナーってあんまり開催したことないのです。そういう意味では、初の取り組みでもあります。

また、コモンズ投信のマーケティング部ではない会社の他のメンバーも参加してもらいます。「顔が見える」運用会社は、会社のトップやマーケティング部だけではなく、コモンズ投信の日々の運営をサポートしてくださる方々の顔も見えることが大切ですよね。いずれ、楽しいアットホーム的な会にしたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします!

「10周年感謝の集い」の第一弾は今月の大阪、そして、第二弾は来月の広島と日程が決まています。

【大阪】 5月26日(日)
お申込み → https://www.commons30.jp/seminars/detail/807

【大阪】 6月8日(土)
お申込み → https://www.commons30.jp/seminars/detail/809

自分たちの地域でも開催してほしい!というたくさんの声を寄せていただくところにその後も回りたいと思っています! 大勢の皆さんとご一緒できることを楽しみにしています!



<10周年イベントレポート>企業との対話パネルディスカッション「長期投資で経済リターンと社会リターンを結びつける」


「長期投資で経済リターンと社会リターンを結びつける」
旭化成株式会社IR室室長 濱本太司氏
エーザイ株式会社IR部ディレクター 竹井孝志朗氏
東京エレクトロン株式会社IR室室長代理 八田浩一氏
コモンズ投信株式会社代表取締役社長 伊井哲朗
コモンズ投信株式会社シニアアナリスト 上野武昭
コモンズ投信株式会社シニアアナリスト 末山 仁



コモンズ投信 代表取締役社長&CIO 伊井哲朗
伊井  最初にこれまでの各社との対話のエピソードを交えてご紹介させてください。エーザイは、私たちが2009年1月にコモンズ30ファンドの運用を開始して、まだ投資金額が1000万円ぐらいしかなかった時に、コモンズ30塾へのご登壇をお願いしたら、「是非、伺います」とおっしゃって下さり、担当役員の方をはじめ、私たちのお客様と共に初めて企業との対話が実現できた会社でした。
旭化成は当時、16あった事業を9つに絞るのに、選択と集中でどのように事業を再建していくのか。それから、グローバルトップを目指すとはどういうことなのかを教えていただいたことを記憶しています。
東京エレクトロンは、長期投資を実行するに際して、半導体製造装置のように非常に大きな波がある会社は無理だと言われていましたが、私たちはその波を乗り越えてでも成長を続けられる強い会社ではないかと考えて投資しました。結果として現在、私たちの想像を超える成長を続けていらっしゃいます。
ところで皆さんはIR担当者ということで、国内外のさまざまな投資家と会っていると思うのですが、皆さんの目から見て長期投資家がどのように映っているのか、あるいは長期投資の意義や期待するところについて教えていただけますか。

旭化成株式会社IR室室長 濱本太司様
旭化成濱本様  私たちは長期の経営理念として、「世界の人びとの“いのち”と“くらし”に貢献する」ということを掲げております。この理念に基づいて、選択と集中を繰り返しながら事業を変化させてきました。そして、「昨日まで世界になかったものを。」をグループスローガンに、もともと長期目線の経営を行ってきました。
企業が成長するためには、ステークホルダーの理解と支持が必要です。投資家のタイプは多様ですが、長期目線での成長を目指している私どもとしては、とりわけ長期投資家からのご理解と共に、要所でご助言いただくことに期待しています。

エーザイ竹井様  この10年間、エーザイを取り巻く経営環境や株価の状況は、非常にアップダウンが大きいものでした。それでも温かく見守っていただけたことに感謝をしております。
また、厳しいご意見も頂きました。オムロンと共に参加させていただいた統合報告書について意見し合うワークショップでは、参加された個人投資家の皆様から、私自身が想定していた以上に厳しいご意見をいただきました。自分では「これでも良い」と思っていたのですが、やはり投資家の方々から意見をいただき、ブラッシュアップを図ることが大事だということに改めて気付かされました。
それ以来、機関投資家を中心に、統合報告書に関してご意見を伺うためのミーティングを定期的に開催しております。

東京エレクトロン株式会社IR室室長代理 八田浩一様
TEL八田様  半導体業界は非常にボラティリティが高い業界です。最近でこそ状況が改善し、徐々にボラティリティは下がってきましたが、過去を振り返ると、景気が良かった次の年は売上が一気に半分以下になって赤字に転落する、ということもありました。
そういう状況を理解して、長期保有して下さる投資家の方々の存在は非常にありがたいと思っています。常に右肩上がりの業界はありませんし、一時的に下がったとしても、それは次の成長に向けて投資するチャンスでもあります。だからこそ、厳しい局面でも一緒に乗り越えてくれる長期投資家の存在は、心強くもあります

伊井  私たちは長期投資を標榜し、ファンドを運用しているわけですが、それにはやはり受益者の皆さんのご協力が必要です。いくら私たちが長期投資をしたいと思っても、受益者の方々が短期の購入・解約を繰り返すと、資金の流出入が安定せず、結果的に長期投資が出来なくなるからです。
幸い私たちのファンドは、多くの方が、積立投資によって長期的に資産を託して下さっています。皆さんの資金がコモンズ投信を通じて、企業の長期的な付加価値を高める活動資金となり、成長の結果が果実となって受益者の元に還っていく、そしてまた投資する。そういうサイクルをしっかり回していきたいと思います。
さて、では次は、東京エレクトロン担当の末山さん、質問をお願いします。

コモンズ投信 末山仁
末山  これから5GやIoTが世の中の流れになり、データセンターもどんどん増えていくという状況の中で、半導体の微細化にも限界があるのではないかという声がよく聞こえてきます。本当に限界が来るのか、それはいつ来るのか興味は尽きませんが、半導体製造装置を作っているメーカーとして、このあたりをどう見ていらっしゃるのでしょうか。

TEL八田様  NAND(ナンド)フラッシュではすでに微細化が限界点に達しています。そこで今行われている進化としては、縦に進んでおります。縦にたくさん積むことによって、集積度を上げています。それが今、データセンターで使われているNANDフラッシュの実情です。
今後はDRAMやロジックデバイスにも微細化の限界が来るでしょう。ただ、これまで半導体は微細化だけで進化してきましたが、ここから先はNANDと同じように、違う方向に進むと考えております。例えば、人間の脳を模式した脳型コンピュータやその先に商用化されると言われている量子コンピュータは微細化ではなく、材料や構造の進化で実現されると思われます。
2045年にAIが人間の脳を超えるだろうと言われている「シンギュラリティ」に向かって進むでしょう。単に人間の脳を超えるだけではなく、人間ができないことをロボットにやってもらって、人間の生活を豊かにするような社会が来るのではないでしょうか。

伊井  これからの時代は車も家電も半導体という頭脳を持つようになっていきます。そういう状況では半導体の需要も用途もどんどん膨らんでいく、半導体は“産業のコメ”でありますのでこれからも長期で成長していくマーケットと考えています。では続いて上野さんから旭化成さんに質問をお願いします。

コモンズ投信 上野武昭
上野  旭化成は時代の変化に合わせて、先取りしてビジネスの重点を柔軟に変えてきているというイメージがあります。産業界全般に求められていることだと思いますが、業務改革や働き方改革に、御社ではITやデジタルをどのように活用していらっしゃるのですか。

旭化成濱本様  IT、デジタル革命をうまく活かし、業務改革、働き方改革、成長路線を描くのは必須です。足元では製造・開発の現場で優先的に取り組みを始めています。まず製造現場では、いわゆるIoTです。工程に各種センサーを取り付けて、そこから情報を収集し、工程全体のモニタリングおよび自動調整を実現しています。
また、開発の現場では、マテリアルズインフォマティクスといって、さまざまな素材を設計するに際して、さまざまな情報を活用しながらコンパウンドのレシピや触媒の開発に活かしています。また、各種特許や技術論文をビッグデータ解析して技術俯瞰マップを作り、次の開発、戦略に役立てるといった試みを行っています。

上野 これまではグーグルやアマゾンなどプラットフォーマーばかりが注目されてきましたが、これからはITを使う側がもっと注目されてくると考えています。

末山  エーザイさんに伺いたいのですが、認知症の新薬開発に挑戦されるなか、将来的に認知症は完治するのかどうか、仮に完治するとしたらいつなのかについて教えて下さい。あと、がん治療の新薬開発にも取り組んでいらっしゃいますが、がんも治る病気であるとお考えですか。

エーザイ株式会社IR部ディレクター 竹井孝志朗様
エーザイ竹井様  まずがんについては、国立がん研究センターが発表しているデータによると、10年間の相対生存率は平均で約60%に達しています。もちろん、がん腫によって高いケース、低いケースはあります。肝細胞がんやすい臓がんのように非常に生存率が低いものもありますが、すでにがんに対しては、一定の希望が持てる時代になっているのではないでしょうか。抗がん剤の開発は、製薬企業が最も力を入れており、まさに日進月歩です。いつになるのかをお約束はできませんが、全てのがんが治る時代は来ると私は信じています。
一方、認知症については、この15年間、アメリカでも全く新薬が開発されていない状況です。エーザイは、認知症の領域で2つの候補品について、臨床試験の最終段階であるフェーズⅢ試験を実施しています。エーザイが新薬開発に成功し、この状況を打開することができれば、認知症の治療がよくなる時代がより早く訪れるのではないかと考えています。逆にエーザイが失敗すれば、大勢の人が望んでいる時代の到来が、少なくとも5年は遅れるのではないでしょうか。多くの方々が希望を持てる時代になるよう、エーザイは今後も頑張っていきたいと思います。

伊井  20年前認知症の薬アリセプトが出されたとき、これで認知症の進行が遅くできる、いずれ治るのではないかということで世界が期待しました。日本の製薬メーカーがその領域に飛び出していったことをうれしく思いました。先日ひとつ新薬の開発を断念したとのニュースはありましたが、挑戦しないと成功はないのでどうぞがんばっていただきたいと思います。トップランナーとして業界を牽引していって欲しいと思います。
最後、長期というキーワードに関連して、持続性・サステナビリティについて考えを伺っていきたいと思います。

上野  これは化学メーカー全般に大きく関わってくることだと思うのですが、脱プラスティックや循環型社会について、化学メーカーでもある旭化成さんとしては、どう考えていらっしゃいますか。

旭化成濱本様  やはり化学メーカーとしては、環境に優しくという考え方は昔から持っています。そういうこともあり、再生繊維などのように天然由来の原料を使用するケースが増えています。
また昨今、海洋プラスティックの問題で、脱プラスティックの傾向が強まっていますが、一面的に捉えてプラスティックはすべてダメというような極論ではなく、もっと全般的に捉えて、プラスティックゴミをどう処理していくのかを考えていく必要があるでしょう。現に、プラスティックが人類にとって非常に便利なものであり、世界的に普及しているのも事実ですから、一企業ではなく、さまざまな業界、たくさんの国と共に取り組む必要があると考えています。
もちろん、メーカーとして3R(Reduce/Reuse/Recycle)として、製造過程で出る廃プラスティックを出来るだけ少なくする、出来ればリサイクルする、どうしてもリサイクルできないものについては、サーマルリサイクルといって、焼却をしながらその熱エネルギーを再利用するという方法を考えて目下、取り組んでいる最中です。

会場の様子
伊井  環境の問題は大きな問題で、コモンズ投信が企業の投資判断する際にも、そこのところの取組みはしっかり見させていただいています。これからの資産形成は、単なる経済的なリターンだけではなく、社会的なリターンとの総和が大事であることを先のセッションでもお伝えしましたが、持続可能な社会をつくることに多くの企業が取り組んでいけば、それは私たちが生活する社会にも直結していて、大きな社会的リターンとして返ってくるということが実感できるトークセッションとなりました。ありがとうございました。

~各社の企業プレゼンテーション(動画)~
旭化成株式会社プレゼンテーションはこちら
エーザイ株式会社のプレゼンテーションはこちら
東京エレクトロン株式会社のプレゼンテーションはこちら

<10周年イベントレポート> -講演抄録- 株式会社マネーフォワード代表取締役社長CEO 辻 庸介 氏「お金の心配が無くなる世界を創る」

<基調講演>
辻 庸介 氏(株式会社マネーフォワード代表取締役社長CEO) 
「お金の心配が無くなる世界を創る」

マネーフォワード代表取締役社長CEO
辻 庸介 氏
私はソニー、マネックス証券を経て、2年ほどアメリカのペンシルバニア大学ウォートン校で学び、MBAを取得しました。帰国してからは再びマネックス証券で働き、その後、起業しました。
私が証券会社にいた時、コモンズ投信が立ち上がったのですが、当時、独立系投資信託会社なんてほとんどありませんでしたから、いよいよ必要とされているものが出てきたということで、とても印象深かったことを覚えています。
マネーフォワードの創業は2012年ですから、かれこれ7年が経ちました。その前、9年間マネックス証券にお世話になっていた時、たくさんの投資信託が取り扱われていて、情報もたくさんあり、かつ手数料も割安になったのですが、それでも投資で損をする人が後を絶ちませんでした。「これは、やっぱりお金のことで悩む人は多いだろうな」と思い、こうした問題をテクノロジーの力で解決できないかと考えて立ち上げたのが、マネーフォワードだったのです。

会社を立ち上げた当初、会社は、Mission/Vision/Valueが大事だと思ったのですが、これはソニーやマネックスで学んだことです。なので、まずはそれをしっかり決めようと思い、創業メンバー6人で議論して決めました。

Missionは「お金を前へ。人生をもっと前へ」
私たちのサービスを通して、お金をポジティブに使っていただけるようになり、人生がポジティブになることに少しでもお役に立てたらという想いです。

Visionは、すべての人の「お金のプラットフォーム」になる。

Valueは、私たちが大事にする3つの価値として、User Focus、Technology Driven、 Fairnessとしました。
とにかくユーザーにとって価値あるサービスを愚直に作る。それもワクワクするようなテクノロジーを活用するということでTechnology Drivenで行く。そして会社は、ユーザー、社員、株主、社会、取引先など、いろいろな方のおかげで成り立っていますから、そうした方々に対して、できるだけフェアでありたいということです。新入社員にも、常にこの3つを大事にしようと浸透させています。

講演会場の様子
創業当時のエピソードですが、当時、お金の課題をテクノロジーで解決しようと思って、食べログやクックパッドのお金版を作ろうとしました。創業メンバーといろいろアイデアを出し合ったのですが、アイデアだけでは価値が生まれないということに気付き、とにかくプロトタイプを作ろうということになりました。世の中に出せば、誰かが使ってくれて、そこに価値が生まれると思ったのです。

講演の様子
その頃、「オープンにすればすべては良くなる」という、フェイスブックのザッカーバーグの言葉に感銘を受けまして、お金についても上手に運用している人、上手に家計をやりくりしている人、節約している人の手法を皆が真似すれば、きっと皆、お金の達人になれるのではないかと考えました。それに基づいたサービスを開発したのですが、
結果は大失敗、大惨敗でした。1日のユーザー数が10人、20人だったのです。これはダメだねということで、このサービスはすぐにやめて、今のビジネスモデルに移行しました。自分のお金を簡単に見える化する『Money Forward ME』 というサービスです。今750万人ぐらいの方に使っていただいています。

それと共に、確定申告も簡単に出来るようにしてほしいというニーズがあったので、確定申告と会計関連のサービスを作りました。ここから発展して、給与、請求書、マイナンバー、経費、勤怠など、会社のバックオフィスを効率化させるサービスも提供しています。『Money Forward クラウドシリーズ』で、数十万社以上の方に使っていただいております。
こういった2つのメインサービスに加え、金融機関からの要望でサービスを開発するビジネスを展開したり、今後は会計のデータを活用してAI融資が行えるようなサービス展開も視野に入れつつ、サービス開発を行っています。
業績は、売上高が順調に伸びており、昨年が前年比で58%伸び、今期も55%~65%伸ばそうと頑張っております。世の中全体が今、パッケージソフトからクラウドサービスにどんどん変わりつつあります。クラウドサービスは解約が非常に少ないので、右肩上がりで着実に伸びている次第です。
講演の様子
一方で、売上は伸びているのですが、まだまだ投資が必要なので、赤字が続いています。
マネーフォワードのサービスは、最近話題になっているSaaSモデルと言われる、サブスクリプションモデルです。ユーザーが、自分の使いたい分だけ使えて、少額で始めることができ、いつでも解約できるというサービスです。私達の場合、週に2回、新しい機能を次々にアップデートして、提供します。ユーザーとしては、例えば消費税率が変わる時、パッケージソフトを買わずとも、アップデートしていくので手間がかかりません。初期手数料も無料なので、簡単に使うことができます。こちらに入る収入は少額ですが、大勢の人たちが使い続けてくれれば、ライフタイムバリューが上がっていくので、収益の予測可能性が立ちやすいビジネスモデルです。

将来のビジョンについては、マネーフォワードを使っていればお金の心配がなくなるという世界を創りたいと考えています。皆さんお忙しいので、なるべくお金のことを考えずに任せておけばお金はだんだん増えていくし、最適なソリューションも教えてくれる。結果的に、単なるツールにすぎないお金に振り回されずに、自分のやりたいこと、家族のやりたいことができるような世界に、少しでも近づければいいなと思っています。

 -マネーフォワード・トークセッション- 「長期投資家が支える企業の成長」

<10周年イベントレポート>トークセッション「寄付は未来への投資」


【トークセッション】未来を信じる力を合わせて~寄付は未来への投資~

一般社団法人日本知的障害者水泳連盟専務理事・コーチ 谷口裕美子氏
認定NPO法人PIECES代表理事 小澤いぶき氏
コモンズ投信株式会社マーケティング部 馬越裕子

「寄付は未来への投資」

馬越  まずそれぞれ自己紹介をお願いします。

認定NPO法人PIECES代表理事 小澤いぶき様
小澤様  私たちの団体は、子どもたちが孤立しない寛容な社会を目指して活動しています。私が子どもの精神科医をしていた時、子どもたちが孤立して社会のことを信じられなくなる明日よりも、子どもたちの周りに人の想像力から生まれる優しいつながりに溢れる未来をつくっていきたいと思い、このNPOを立ち上げました。

谷口様  日本知的障害者水泳連盟でコーチをしています谷口と申します。専務理事もさせていただいています。団体の名前のとおり、知的障害の選手たちが、この連盟に所属をし、水泳の活動を通して社会に参加していくことをお手伝いさせていただいております。来年はいよいよ東京でパラリンピックが行われるので、選手が輝く笑顔で皆の前に立てるよう、日々努力しています。

馬越  私たちは長期的な視点で投資や寄付をさせていただいていますが、きっとお二人も長期的な視点で子どもたち、あるいは選手たちと対峙していらっしゃると思います。今の活動内容について教えていただけますか。

小澤様  子どもたちが孤立しない状態とは、子どもたちの日常の中に「ああ、この人には頼っていいんだ」と思えるような安心感や、やさしい関係が、営みとしてあることだと思うのです。そういう文化を築き上げたいと考えています。もちろん今日、明日で出来ることではなく、長期的な視点が必要ですし、私たちだけで出来ることではなく、一人一人の市民が子どもたちに関わっていくことが大事だと思います。

馬越  いぶきさんが寄付先に選ばれた時、虐待死というとても悲しい事件が重なってしまいました。

小澤様  そうですね。私たちが生きていく中で、普段はあまり意識しないのかもしれませんが、人のつながりの中で生きています。困った時に助けてと言える、あるいは何だか嬉しい時に、嬉しさを共有する、新しい世界への扉が開かれる。誰かと何かを共有し合えたり、頼り合える、そういったつながりがない環境では、孤立が生まれやすくなります。改めて、人と人が頼りあえる関係性を再構築する必要があるのではと考えています。

馬越  谷口コーチは、知的障害者水泳の選手たちに対する指導は、どのように行っているのですか。

一般社団法人日本知的障害者水泳連盟
専務理事・コーチ 谷口裕美子様
谷口様  2020年の前年ということで、今年の秋には世界選手権が行われます。ちょうど、代表合宿を行っているのですが、いろいろなタイプの選手がいます。
会話が成り立たない、会話は出来ても頭の中が混乱してしまう、話しているうちにやるべきことを忘れてしまう、という具合なのですが、何度も何度も繰り返しているうちに、徐々に出来なかったことが出来るようになります。これは他の指導も同じだと思うのですが、言葉を変えてみたり、彼らが興味を示すものをうまく絡めて説明したりするなど、工夫をしてコミュニケーションを図っています。

馬越  コモンズ投信に対して、どのようなことを今後、期待されていますか。

小澤様  私たちは、一人ひとりが子どもたちの日常に何らかの形で関わり、まわりの道をつくっている当事者でもあると考えています。子どもたちにとって「よき隣人」として、良い関係を築いていけるような仕組みをつくろうとしています。その私たちの活動の伴走者として、寄付してくださる方や、コモンズ投信さんのような企業が連鎖していくことで、強い信頼で結びついた関係が出来るのではないでしょうか。子どもの応援者がどんどん増えていくことによって、信頼できる社会が築き上げられると思います。

谷口様  共生社会という言葉があるものの、やはり知的障害者である彼らが自立して生きて行くのは、非常に難しいことです。それを支えている家族、周りの方々がいて、そういう人たちを応援して下さる人のつながりが大事だと思います。コモンズ投信さんのみなさまのように、人のつながりを大切にしてくださる方々や社会に受け入れられていることが必要ですね。

馬越  ありがとうございます。最後にひとことずつお願いします。

小澤様  私は、子どもたちが自分の人生の当事者であることを諦めないですむ社会とは、私たちひとりひとりがこの世界の当事者であることを、諦めない社会でもあると思っています。子どものこと、自分のこと、そして世界のことを諦めないという点でつながりながら、子どもたちの日常に優しさが生まれて、その優しさが連鎖していく、そんなうねりを生んでいけたら嬉しく思います。

谷口様  知的障害者は先天性の障害です。選手やそのお母様、お父様とお話をさせていただくと、やはりお母様が一番悩まれています。「この子とどうやって向き合っていこう」、「私たちが亡くなった後、この子はどうやって生きていくのだろう」といったことです。
私たちが水泳を通してお手伝いしている理由は、そういう社会的弱者である彼らが、水泳の大会で勝つと非常に嬉しい顔をする。それは子どもだけでなく、ご両親も同じです。この活動を通じて、そういう子どもたちが少しでも社会の注目を集め、皆が支え合うような社会を築く原動力になればと思います。

馬越  ありがとうございました。

当セッションの冒頭でこどもたちが寄付について発表してくれました!
関連動画
(東京)コモンズSEEDCap&POINT寄付報告-第6期コモンズPOINT授賞式

<10周年イベントレポート> -マネーフォワード・トークセッション- 「長期投資家が支える企業の成長」


<トークセッション>
辻庸介氏(株式会社マネーフォワード代表取締役社長CEO) 
伊井哲朗(コモンズ投信株式会社代表取締役社長) 
原嶋亮介(コモンズ投信株式会社運用部アナリスト)

「長期投資家が支える企業の成長」

コモンズ投信代表取締役社長 伊井哲朗
伊井  起業しようと思ったきっかけとは何だったのですか。

辻様   起業したいとは思ってなかったのですが、アメリカに留学した時、フェイスブックやGoogle、アマゾンといった新しいサービスが次々に出てきて、世の中が大きく変わっていく様を見てきました。
ところが日本には、そういう変革を起こす人が非常に少ないという印象を強く持つようになりました。それで、ビジネススクールでの勉強が終わった時、もうインプットはいいんじゃないか、そろそろ世の中にとって役に立つアウトプットをしないと、日本という国全体が前に進まないだろうと思ったのです。

伊井  辻さんの目でご覧になられて、日本の金融業界のここがおかしい、こんな課題があって、このように変わっていくのではないか。そこでどのようなビジネスチャンスがあるのか、という点について教えていただけますか。

マネーフォワード代表取締役社長CEO 辻庸介様
辻様   当時、銀行はなぜ午後3時に窓口を閉めてしまうのだろうとか、初めて株式投資をする時、有名な会社の株式を買ったのにどうしてこんなに株価が下げてしまうのだろうという、分からないことのモヤモヤがあって、そこに日本は少子高齢社会によって年金制度がもたなくなる、日本経済そのものがダメになるといった話もあって、私たちはどうしたら良いのだろうという疑問が非常にありました。それらお金の問題を解決するために、金融機関としてもっと出来ることがあるのではないか、それもテクノロジーの力を使って新しいサービスを生み出すことによって、社会課題が解決できるのではないかと思いました。

伊井  マネーフォワード担当アナリストの原嶋さんからも、辻さんに質問してもらいましょう。

コモンズ投信アナリスト 原嶋亮介
原嶋  今、お金の姿かたちが大きく変わろうとしています。電子マネーや仮想通貨、QRコード決済など、デジタルを用いた決済手段が増えるなかで、お金の課題も変わっていくと思うのですが、その点については、どのようにお考えですか。

辻様   日本人の支払いって、現金決済がまだ80%もあって、キャッシュレス決済は20%に過ぎないのですが、それでも最近は「〇〇ペイ」といったQRコード決済が注目を集めるようになって、現金を用いない決済手段がどんどん増えています。恐らく5年後、10年後を想像すると、現金決済はかなり減っているイメージを持っています。
もともとお金自体、デジタル的な特性を持っていて、インターネットをはじめとするテクノロジーとの相性が良いので、キャッシュレス化は自然な流れといっても良いでしょう。将来的には画像認識や音声認識が進むので、店舗に入って欲しいものを手にとったら、財布を出さずに決済が完了して、そのままお店を出られるという時代になると思います。お金の存在を意識せずに済む時代が来るのでしょうね。

原嶋  そういうなかで、御社としては今後、どのようなサービスや取組みを検討していらっしゃるのでしょうか。

辻様   いろいろチャレンジはしています。たとえばお金の運用とか、家計の節約方法などについて、3つくらいの選択肢を出して、これをすれば、こう良くなるといったアドバイスを提案し、実際のアクションまでつなげていけるようなサービスを作れないものかと考えています。

伊井  サービスを作るのにエンジニアが必要ですが、日本国内ではもうエンジニア不足という話も聞きます。人材採用という点で、海外は視野に入れていらっしゃいますか。

トークセッションの様子
辻様   弊社はベンチャー界隈では採用力はある方だと思うのですが、やはり、他のテック企業と人材の取り合いになることもあります。そのため、エンジニアが働きやすい環境を整えていくのも大事だと考えています。
あとは日本国内だけでなくグローバルに採用することです。インドやベトナムは理系人材が非常に多く、仕事ぶりも真面目なので、積極的に採用しています。私たち経営陣は語学に堪能な人間が多いので、グローバルな人材確保を視野に入れて、どんどんチャレンジしていきたいと思います。

伊井  今のベンチャー企業の経営者を見ていると、昔のようにカリスマ性があって、トップダウンで物事を進めていくというタイプが減ってきて、どちらかというと組織は非常にフラットで、理念を大事にしている経営者が増えているように思えます。辻さんご自身、経営者としてどういう点に注意してマネジメントをしているのですか。

辻様   今はインターネットで一斉に情報共有できる時代なので、ピラミッド型よりもフラット型の組織の方が、意思決定が早いという面があります。私達も一度、ピラミッド型に変えてみたことがあるのですが、あまりうまくワークしなかったので、結局フラット型に戻しました。チームごとに優秀な人に来てもらい、チームに権限委譲して、僕に聞くよりも、どんどん作ってリリースし、お客様の反応を見る方が改善のスピードも速まります。ですから、大事なのはチームをどう作るか、そこに優秀なメンバーを集められるかということで、そうしたことにマネジメントの重きを置いています。いざという時は僕が決めないといけないのですが、基本的に日々のことは信頼できるチームリーダーに判断を任せ、彼らの裁量でチーム経営をしてもらいます

会場の様子

伊井  ガバナンスについてですが、社外取締役に結構うるさ型の人を入れていらっしゃいます。成長企業では珍しいケースだと思うのですが、これはどういうお考えによるものなのですか。

辻様   弊社は社内の取締役が7名、社外取締役が4名で、社外取締役については東芝CEOの車谷暢昭さん、日本ペイント会長の田中正明さん、Draper Nexusパートナーの倉林陽さん、プロノバ代表取締役社長の岡島悦子さんに入っていただいております。皆さん、経営者として大先輩の方々なので、非常に良いアドバイスをいただいております。
以前、オフィスを移転させるのに、1年半前に契約をする必要があり、それを相談したのですが、一瞬で否定されました。いわく「1年半後に絶対発生するコストを、ベンチャーである君たちが今、意思決定するのか。ベンチャーはスピード感が大事なのだから、固定要素をつくるべきではない」と言われ、その場で止めたことがあります。

伊井  最後に、日本の個人投資家に対して何かアドバイスがあれば、お願いできますか。

辻様   まず私たちのビジネスはサブスクリプションなので、新規獲得コストを踏めば踏むほど、直近の業績は赤字になります。将来のライフタイムバリューは、解約率が悪化しない限りは上昇していくので、将来の成長を考えると、どんどん投資した方が合理的です。
そういう性質ですから、短期的な観点で黒字を出せと言われると、その時点で成長が止まることになります。なので、このビジネスモデルを理解していただき、長期投資家の方々に支援していただけるのは、非常にありがたいことです。ロンドンや香港、シンガポールの投資家は、それを理解しているので、「あ、もっと投資した方が良いですね」という答えがすぐに返ってきます。日本でもそういう長期投資家がたくさん出てくれば、大きなチャレンジが出来る企業も増えていくでしょう。
やはり僕たちがソニーやトヨタにならないと、日本経済は良くならないので、投資家の方たちと一緒に頑張っていければと思います。

伊井  ありがとうございました。

関連記事
-講演抄録- 株式会社マネーフォワード代表取締役社長CEO 辻 庸介 氏「お金の心配が無くなる世界を創る」

人生100年には「未来を信じる力」が必須

おはようございます。渋澤健です。

土曜日は、足利銀行の発祥の地である足利市でセゾン投信の中野晴啓さんとご一緒にセミナーを開催しました。満員御礼の会場は、金融機関主催のセミナーなのでシニア層がもちろん多かったですが、若手や女性もかなり参加していただきました。数年前と比べると、この変化は明らかであり、つみたて投資に認知度が広まり、ちょっと流れが変わってきている感じがしています。


日曜日の午後はダブルヘッダーでした。まず、Impact Makers' Cross Talk Japan-Indiaというセミナーで、以前から注目しているインドの社会的インパクト投資ファンドのAavishkaarの日本代表の橋本芳樹さんとのトーク・セッションに登壇しました。


社会的インパクト投資ファンドとは、経済的リターンをもちろん目指しながらも、社会的インパクトも同時に目指すというファンドです。インドで20年前にUS$100から現在は世界経済フォーラム(ダボス会議)でも注目されているAavishkaarの投資委員会の選考プロセスとは投資候補の社会的インパクトが最初に承認されないと経済的リターンの討議に入らないようです。投資対象に社会的意義があるのであれば、経済的なリターンも確立できるであろうというロジックです。

非公開株式投資のプライベート・エクティファンドなので、上場企業に投資するコモンズ30ファンドとは異なる性質のものですが、「今日よりよい明日」を目指す上では参考になる考え方であると思いました。

トーク・セッションを経て、日経Wの「お金の学校 定年後の生き方編」に駆け付けました。私が担当した「レッスン」のテーマは、「人生100年に向かう現役世代のお金の使い方」でした。人生100年ですから、やはり「未来を信じる力」=長期投資は必須ですね。


また、渋沢栄一の言葉を借りながら、「できる・できない」の軸だけではなく、「やりたい・やりたくない」の軸を意識すべきという話もしました。せっかくの人生100年ですから、「できない」と諦めるのではなく、「やりたい」ことを実現させたいですね。

また、91歳まで人生を全うした渋沢栄一は『論語と算盤』で「常に学問を進めて時代に遅れぬ人であったならば、私はいつまでも精神に老衰ということはなかろうと思う」と指摘しています。

学問とは「問い学ぶ」ことです。つまり、すぐに答えが見えなくても、問いつづけること。つまり、イマジネーション、想像力を活かすことが、人生100年で大切な心構えということだと私は理解しています。つまり、これも「未来を信じる力」ですね。

令和時代のコモンズ投信

おはようございます。渋澤健です。

GWの大型連休はごゆっくりされたでしょうか。ゆっくりするぞーと気合いを入れていた自分ですが、ゆっくりどころか、日が早く通り過ぎてしまった感じがします。

さて、令和の時代の幕が上がりました。仲間たちとコモンズ投信を興して10年前に設定したコモンズ30ファンドが掲げた長期投資とは一世代を象徴する「30年」。平成時代に慣らし運転して、いよいよこれからの令和時代がコモンズ投信の長期投資の本番という意気込みを感じています。


令和時代の日本社会では高齢少子化が加速することは確実です。AI・ITの発展によって、これまでの常識や成功体験が通じない世の中にもなります。世界情勢は落ち着きを見せないでしょう。このように世の中が著しく変化する最中、企業経営の革新は待ったなしです。それは、コモンズ投信という会社においても同じです。過去の延長線上では未来を描けない。

これからの日本社会では世代交代が急速に早まります。過去の成功体験を持っている世代から、これからの成功体験をつくる世代へのバトンタッチが令和時代の企業の持続的な成長の重要なカギになります。

仮に30年ぐらい続くと想像した場合、令和が幕を閉じる時代のコモンズ投信はどのような会社になっているのでしょうか。間違いなく、その時には会長である私も、社長である伊井も、コモンズ投信の経営を仕切っていないと思います。正確に言うと、仕切るべきではないでしょう。30年後のコモンズ投信は、次世代へきちんとバトンタッチをできていなければなりません。

そういう意味では長期投資の表現は進化していると期待している一方、コモンズ投信を設立したときのスピリットが承継されてほしいという想いはあります。その想いとは何か。

ぜひ、機会があったときに私や伊井に問いかけてみてください。それは「一人ひとりの未来を信じる力を合わせて次の時代を共に拓く」コモンズ投信にとって、とても大事なことだと思います。

私が抱いている30年後のコモンズ投信のイメージは先月、私が世話人している「ほほづゑ」という財界文芸同人誌の100号記念イベントの際に、改めて確認することができました。

その会場に「ほほづゑ」刊行来の全ての号(年に4回)が展示されていたので、私が入会した50号を探しました。懐かしい思いで自分が入会した2006年に書いた自己紹介文を改めて読み直したところ、こんなことが書いてありました。

『私のこれからの新たな勘違いは「空間を造る」ということです。「お金儲け」の営利の世界と「社会貢献」の非営利の世界が融合できる空間。運用会社を通じて個人投資家と企業経営者が対話できる空間。日本のすばらしい感性を海外で発揮できる空間。夢のような勘違いばかりです。しかし、ここにもたくさんの新たな出会いがあるのではないかとわくわくしております。』


コモンズでは「宇宙人」と思われている私ですが、実はただの「勘違い」野郎なんですねw。

でも、令和時代のコモンズ投信2006年にイメージしたような「空間」づくりの本番に入り、その意志が次の時代のコモンズ投信の方向性を担う同志に伝わっていたら、わくわくしている老人に自分はなっているな。そんなことを、令和時代の幕が上がる現在に考えています。ちょっと先走った話で恐縮ですが。

これからも、引き続きどうぞよろしくお願いいたします。「今日よりも、良い明日」を目指しましょう!

<10周年イベントレポート> -講演抄録- 株式会社ベネッセホールディングス代表取締役社長 安達 保 氏「ベネッセはこうして創業以来の危機を乗り越えた」

<基調講演>
安達保氏(株式会社ベネッセホールディングス代表取締役社長)
「ベネッセはこうして創業以来の危機を乗り越えた」

ベネッセホールディングス代表取締役社長 安達保氏
2016年10月にベネッセの社長に就任しました。もともとカーライルというプライベートエクイティファンドにいたのですが、2003年にベネッセの社外取締役を拝命し、それ以来、ベネッセの事業に関わってきたのですが、2014年に顧客情報の漏洩事件があり、前社長が退任したことで、私が代表取締役に就任したという次第です。

社長就任当時は、ベネッセも非常に苦しい状況に立たされていました。ざっくりした数字で申し上げますと、売上全体の4割強が国内教育事業で、そのうち約半分が進研ゼミという通信教育事業でした。進研ゼミは小学生、中学生、高校生が対象で、さらに未就学児を対象にした「こどもちゃれんじ」があり、これらを合計して一時期400万人以上の会員がいたのですが、情報漏洩事件の影響で会員数が激減し、私が社長に就任する時には243万人になっていました。
進研ゼミは、固定費が非常に高いビジネスで、売上が固定費を超えれば大きな利益が出る反面、固定費を下回ってしまうと大赤字になってしまいます。事件の影響で会員数が激減し、大赤字を抱え、ベネッセというブランド価値が毀損し、社員は自信を失いかけていました

もちろん悪いことばかりではなく、明るい材料もありました。国内教育事業で進研模試という、高校生を対象にした、大学入試のための模試を行っている事業ですが、ここでGTECというスコア型英語4技能検定、つまり読み、書き、聞き、話すという4技能に関するテストがあり、徐々にマーケットを広げていました。今年度は125万人が受けており、大学の入試にも使われます。
またClassiという、教育現場を支援するICTプラットフォームがあり、これも徐々に広がりつつあります。これは簡単に言うと、教師と生徒がこのプラットフォーム上でさまざまなコミュニケーションが取れるシステムです。今、全国の高校の約半分、およそ2000校が導入しています。

その他、国内教育事業においては東京個別指導学院や鉄緑会という、東京大学に合格した学生の6割が学んだという塾の運営があり、その事業も順調に拡大しています。
あと、未就学児を対象にした「こどもちゃれんじ」ですが、中国で非常に伸びています。2016年には会員が100万人を超えました。日本の会員が約80万人ですから、日本国内の事業よりも大きくなっています。
そして教育事業とは別に、ベネッセの事業にとって第二の柱ともいうべき介護事業の売上が、全体の25%に達し、利益も100億円に届くような事業になっています。

ただ、いくつか看過できない問題点があったのも事実です。
語学事業のベルリッツは、世界中の英語を勉強している人の中ではナンバーワンのブランドなのですが、その競争力が後退していました。留学の支援事業として、サウジアラビアの学生を大勢、アメリカに留学させるという事業を展開していたのですが、原油価格の暴落によってサウジアラビアの財政が苦しくなり、アメリカに留学させることが困難になってしまいました。これが非常に大きな赤字要因になっていました。

このように、いくつか元気のよい事業はあったのですが、ベネッセにとって大きな収益の柱だった通信教育事業の落ち込み、そしてベルリッツの赤字が重なり、全体で見るとかなり厳しく、社員の士気も落ちていたのが、2016年に私が社長に就任した時の状況です。
では、どうしたら社員が元気を取り戻し、会社の業績も回復するのか。そのために私は3つの方向性を提示しました。

第一人々の豊かな生活を支える、無くてはならない会社として、圧倒的なブランドにしようということです。当時、多くの社員が自信を失っていましたので、世のため、人のためになる事業を行うことで、社会に無くてはならない存在になろうということです。

第二もう一度、日本の優良企業になろうということです。2016年は営業利益も大きく減り、貧すれば鈍するではありませんが、全体に余裕がなくなっていました。なので、再び利益を上げて、本当に正しい投資をし、会社を伸ばしていこうと考えました。そのためにも、優良企業に返り咲く必要があったのです。

第三「よく生きる」というベネッセの企業理念を見つめ直し、原点に戻ってもう一度頑張ろうということです。

会場の様子
そのうえで、事業面でいくつか手を打ちました。

まず「既存事業の立て直し」ということで、進研ゼミの事業見直しです。通信教育事業は長い歴史があり、やり方をわかっている社員も多いので、自分たちの強みをもう一度見直して、しっかりやっていけば、情報漏えいにより失った会員を取り戻せるはずだと考えたのです。お陰様で2017年4月には会員数の減少に歯止めが掛かり、2018年4月には再成長のサイクルに入りました。ベルリッツをどうするかについては悩みましたが、いろいろ中身を精査すると、経営に問題があることに気付きました。ここに良い経営者をつれてくれば、間違いなくターンアラウンドができると思いました。そこで、外部から新しいCEOを招聘し、新しいチームを作り、大規模な構造改革を行いました。

加えて、「事業の選択と集中」ということで、ノンコア事業であるコールセンター事業を行う子会社をセコムに売却しました。

「社内風土の改革」にも着手しました。これが一番重要だったと思うのですが、とにかく現場を回り、大勢の社員と議論を交わし、よい取り組みは全社員にメールで周知し、皆が少しでも自信を取り戻せるような工夫をしました。

また、これはこれからの話になりますが「第3の柱の創出」ということで、教育、介護に続く事業を私が社長をやっている間に創っていきたいと思っています。

これらをベースにして、2017年に中期経営計画を発表しました。
2018年度が1年目、2019年度が2年目です。数字としては、2020年度に売上5000億円。営業利益350億円を目指します。さらに2022年度には、売上6000億円、営業利益600億円が目標です。
それに加えて、非財務的目標として、サステナビリティ活動に力を入れていきます。SDGsという、国連が採択した17の開発目標を中心に、社会課題の解決を図っていきたい。ベネッセは、もともと教育や介護といった社会課題の解決を仕事にしてきましたから、SDGsに対して高い親和性を持っています。社員の意識も非常に高いので、ここにより一層力を入れていきたいと考えています。

最後に瀬戸内海の直島についてお話をしたいと思います。直島は瀬戸内海の小さな島ですが、30年以上前から現代アートを通じて、地域づくりを行ってきました。今、世界的にも注目されている場所になっています。各国から年間100万人くらいの観光客が見えられて、地元の人たちが案内したり、一緒にコミュニケーションしたりなど、新しいタイプの地域活性化が行われています。
ベネッセがなぜ直島で現代アートの美術館やホテルを経営しているのかという質問を受けることがあります。ベネッセのコア事業とは何の関係もないだろうということですが、私はこう考えています。
AIやデジタル化が社会全体に浸透するなかで、逆にAIやデジタル化が進まない分野があります。教育はその最たるものでしょう。感性を養うという部分は、やはり人間ならではで、それはアートの世界とつながるものがあります。それを体現できるのが直島であり、ベネッセの企業理念である「よく生きる」を実験する場であると考えています。
ご清聴ありがとうございました。

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-対談- ベネッセ安達保氏 × コモンズ投信会長渋澤健

<10周年イベントレポート> -対談- ベネッセホールディングス安達保氏 × コモンズ投信会長渋澤健

<対談>
安達保氏(株式会社ベネッセホールディングス代表取締役社長)
渋澤健(コモンズ投信株式会社取締役会長)
「対話力があるからこそ可能になった長期投資」


渋澤  ベネッセは、コモンズ30ファンドのかなり初期から投資している会社です。「よく生きる」という言葉にあるように、人間の生涯における、さまざまなステージで巡り合う仕事をされている会社です。コモンズ投信もロゴが親子をかたどっているようにファミリーを支える会社でありたいと思っています。そういう2社が投資というかたちでもタッグを組めば何か素敵なことが起こせるのではないかという期待もありました。
また、私たちが投資で大事にしているのは「対話」です。この点において、ベネッセは対話感が優れた会社であるということも重要な要素でした。
コモンズ投信取締役会長 渋澤健
顧客情報の漏洩事件があった時、私たちはこどもトラスト(未成年口座)をお持ちの受益者に、事件に関する意見を募りました。なかには非常に厳しい意見もありましたが、一方で進研ゼミがなくなると困りますという意見や、社員さんのことが心配ですという声もありました。それをベネッセの担当者に渡した時、きちんと受け取って下さったのが印象的でした。この会社はきちんと対話できるという確信を持ったのです。
安達さんがベネッセの代表取締役社長に就任された時、現場を回って、いろいろなお話をされたということですが、その時と今とでは、どういう点が変わってきたと思われますか。

安達様  社長に就任した時、社員の方々と話をしましたが、ベネッセは、この手の対話をすると、多くの社員がアンケートを書いて感想を述べてくれます。最初の洗礼とでも言いますか、非常に厳しいことを書かれていました。「前の社長と言っていることが変わらないのでは?」とか「この人は本当にベネッセの価値観を理解しているのだろうか」といった厳しい意見の羅列で、正直そのアンケート読んでいると、暗くなりました。その後もこのような会を続けてきました。ただ、つい最近の創業日の朝礼で私がサステナビリティの話をした時、皆の賛成、共感という熱っぽさが伝わってきました。
ベネッセホールディングス代表取締役社長 安達保氏
今から思うと、2年半前は不祥事の影響で、会社が疑心暗鬼であり、社長に対する信頼もありませんでしたし、なかなか同じベクトルに進んでいなかったというのが正直なところです。
この2年半で、ほんの僅かですが、私への信頼も少しは高まったのかなとは思います。加えて、どの方向に進めば良いのかについても、徐々にコンセンサスが取れてきたのではないかと思います。

渋澤  現場の声が安達さんのところまで上がってくる仕組み、取り組みはどのようなものなのですか。

安達様  まずアンケートです。広報経由で、何か会が開かれた時は必ずその感想を教えて下さいと社員に周知されます。また、これは会社のカルチャーかも知れませんが、社員もかなり細かく感想や意見を書いてくれます。
またラウンドテーブルに行く時は、上司と部下で来ないでくれと言ってあります。それは、上司に気を遣うことなく、現場の声をきちんと吸い上げるためです。また、私が出したメールへの返信もよく来ます。

渋澤  日本の大企業になると、社長の顔を見たのは入社式以来なんてことが普通に起こります。その点、ベネッセの取組みはとてもいいですね。
ところで、ベネッセの株式は配当利回りが高いという印象でしたが、昨今はM&A戦略を推進するため、配当を下げました。何か社内的な変化はありましたか。

安達様  配当下げたことで、社員が何かを感じているかというと、それはほとんどないでしょう。業績が下がっていたので、減配もやむなしという認識だったのではないでしょうか。キャッシュフローから考えると、高い配当によって内部留保がどんどん取り崩されていましたから、この会社を永続的に成長させるためには、配当の方針を変えるのはもちろん、必要な投資をきちんと行っていく必要がありました。それは私だけでなく、社員も同じ認識だったと思います。

渋澤  こどもちゃれんじの海外展開のポテンシャルはいかがですか。

安達様  しまじろうは、子供が育っていく成長の過程をサポートする、たいへん良い教材だと思います。生活習慣は、国によって異なる部分はありますが、世界共通の部分も非常に多いと思うのです。だから、生活習慣を学ぶことのできる非常に質のよい教材という意味では、どこの国でも使ってもらえるポテンシャルはあると考えています。しまじろうは生後3ヶ月からを対象としてますが、中国などでは生活習慣だけでなく勉強も提供してほしいというニーズがあります。私たちは時代の変化やお客さんのニーズの変化によって、サービスや商品も変えていく必要があります。


渋澤  介護についてですが、どのような方向を目指しているのですか。

安達様  入居しておられる方、一人一人にとって、その方らしい生活を提供することです。「ベネッセの介護」は“徹底的に、とことんその人に寄り添う”ということを一番に考えて大切にしています。そのような価値観を持っていることが、ベネッセの介護で働く人たちの要件で、M&Aで事業拡大することは、すぐにはこの価値観を共有することが難しいので、やはり自分たちで一から作っていくことが多いです。

受益者とともに行った直島ツアー(2014年2月)
渋澤  直島の話がありましたが、30年前には何もなかった島ですよね。今は現代アートの島として有名になりましたが、これから資産としてどのように活用しようと考えているのですか。

安達様  AIやデジタルが広まったとしても、それらに取って変わらないもの、それは感性や感じることだと思います。その象徴的な場になるとすれば、それは非常に良いことで、社員にも、ベネッセが直島を持っていることに誇りを持ってもらってよいと思っています。直島は日本よりも海外で知られています。海外にベネッセのブランドを発信していくための、非常に大きなツールになると思います。

しゃちょうさんへの手紙
渋澤  例えば今日のような会場でサステナビリティについてお話しすると、とても勉強っぽい感じになるのですが、直島では時間がゆっくり流れていて、そこには「体で感じるサステナビリティ」があります。また、現代アートなどを見ていると、それこそ、よくわからない。正しい答えがないです。しかし、これこそ、これからの教育に必要なことではないかと思うのです。正しく答える力ではなく問う力。これからの教育事業の一端を担うベネッセが直島という資産をお持ちなのは大変意味があると思っています。本日はありがとうございました。

<10周年イベントレポート>よりよい未来へ「想いを込めて使うお金」



<パネルディスカッション>
上杉英太氏(株式会社堀場製作所管理本部経営管理部IR担当副部長)
鬼丸昌也氏(認定NPO法人テラ・ルネッサンス理事/創始者)
深尾昌峰氏(全国コミュニティ財団協会会長)
伊井哲朗(コモンズ投信代表取締役社長CIO)
原嶋亮介(コモンズ投信運用部アナリスト)

コモンズ投信 伊井哲朗
伊井  さて、ここからは、このようなお金の循環について、それぞれの立場からご意見や役割についてお話を伺っていきたいと思います。まずは民間企業である堀場製作所の上杉さんから、お願いします。

上杉氏  私、2009年のリーマンショック直後からIRを担当していますので、その後の右肩上がりの中でIRを担当してきました。
10年前の状況は今と全く違っていて、ESGという言葉はありませんでしたし、仕事といえば、ひたすら業績について説明するだけでした。当時から見えない資産について注目していたのは、コモンズ投信くらいだったと思います。投資した企業と一緒に成長しようというコモンズ投信の考えに感銘を受けたことを覚えています。

伊井  次にNPOの立場ではどうかお話を伺いたいと思います。鬼丸さんは、お金の循環や、お金の持つ力について、どのようなお考えをお持ちですか?

鬼丸  テラ・ルネッサンスというNPO法人を運営しております。もともとは、立命館大学の4年生の時、テラ・ルネッサンスを1人で立ち上げました。当初はカンボジアの地雷除去の支援や、地雷被害者の生活を立て直すための支援活動をしていたのですが、今はアフリカ3カ国で、子供時代に兵士だった人たちの職業訓練や、識字教育、あとは起業の計画を立ててもらい、自分たちでビジネスをして、稼いだお金で自分たちの生活をより良くしていく、社会復帰の支援に取り組んでいます。年間予算が2億5千万円くらいで、大半は皆さんからの寄付や会費、国際機関などの助成金で組織を運営しています。
鬼丸昌也氏(テラ・ルネッサンス)

紛争後の地域で活動すると、あることを感じることがあります。お金には変化を促進する性質がある、というのがそれです。良い方向に変化を促進することもあれば、悪い方向に変化を促進させることもあります。アフリカのコンゴ民主共和国では、コンゴ紛争によって540万人が亡くなり、5000人近い子供たちが兵士として戦っています。
紛争の原因は、レアメタルや貴金属、石油で、それを違法に開発するため、外国から大量の武器と資金がこの国に流れ込んできます。それによって多くの人たちが、傷ついています。これリアルで見た時、お金に変化を促進する性質がある以上、私たちはお金を使って、どういう社会を作るか、どういうものを子供たちに残すかという意思が、今一番必要だろうと思いました。

伊井 何に、どういう風にお金を使うのかによって、今も未来も変わっていく、ということですね。深尾さんはどうですか?

深尾  全国コミュニティ財団協会の会長を務めております深尾です。普段は龍谷大学で教員をしています。あと、社会的投資の金融会社も経営しています。

深尾昌峰氏(全国コミュニティ財団協会)
22歳の時に、NPOがもっと仕事がしやすくなるための基盤、たとえば法律や仕組みをつくるNPOを立ち上げました。そのようなNPOを支えるNPOを作って活動していく中で、「社会変革をしたい、困っている人を助けたいという志を持ってNPOを立ち上げても、なかなか活動資金が集まらない」という現実がありました。それを解決するために、志のあるお金を、そういう人たちに何とか届けられないものかということで設立したのが、コミュニティ財団です。2009年、京都で鬼丸くんたちと、京都市民とで、京都地域創造基金という財団法人を作りました。市民の間で「地域に根ざしたこういう取組、こういう人を応援したいよね」という気持ちがあっても、行政としてはなかなかサポートできない部分があります。なので、民間で民間をサポートできるような仕組みを作り、今では全国にこれをモデルにしたコミュニティ財団が30くらいできました。要するに寄付の仲介です。京都で立ち上げた京都地域創造基金は、6億円ぐらいのお金を仲介できました。
このような仕組みを回していくことで、社会を良くしたいという志を持っている人たちが参加できる仕組みを、これからもつくっていきたいと思います。

伊井  私も自らの仕事の役割と責任として、投資家がどのような企業に投資するかというのも持続可能な未来をつくることに繋がっていると確信しているわけですけれど、企業のIR担当からみて投資家のESGに対する関心はどうですか。国内外の投資家の違い、あるいは短期的な視点の投資家と、長期的な視点の投資家の違いはありますか。

上杉英太氏(堀場製作所)
上杉氏  やはり企業文化などの非財務情報に関しては、ヘッジファンドなどはほとんど質問してきません。一方、長期目線のファンドは、積極的に財務以外の情報についてもヒアリングしますし、経営トップの意見を直接聞きたいというリクエストが、結構あります。最近は特に、海外の投資家でも企業の経営方針や、投資をどこに重点をおいているのか、などの質問が増えてきました。また日本でも、スチュワードシップコードやコーポレートガバナンスコードが制定されたことで、環境は良くなったと思います。
堀場製作所は分析計測機器、なかでも自動車の排ガスや工場排水などを分析する環境計測機器が多いので、昔からSRIや社会貢献ファンドには注目していただいており、投資して下さっている投資家は、どちらかというと長期目線だったと思います。
事業内容がそういうものですから、堀場製作所には今もCSR部がないのです。環境計測機器の製造を生業にしているので、事業成長そのものが堀場製作所のCSR貢献であるという考え方です。

伊井  2月からコモンズ投信の運用チームに入った原嶋さんにも意見をもらいたいと思います。彼は企業でIRの仕事からコモンズ投信のアナリストへ転身というキャリアの持ち主です。

原嶋亮介(コモンズ投信運用部アナリスト)
原嶋  5年前、コモンズ5周年イベントに日東電工としてブースを出したのが、コモンズ投信との出会いです。当時思ったのは、ここまで個人投資家に丁寧に対応している金融機関はないなぁ、ということでした。コモンズ投信が、個人投資家の想いを企業に、企業の想いを個人投資家に、相互対話を促すことによってよりよい関係を築こうとしていることに感銘を受けました。こういう会社に自分も加わって力になりたいという気持ちが湧きあがり入社した次第です。

伊井  インベストメントチェーンの中で一番重要なのは、この会場にいらっしゃる皆さん、つまり資金の出し手アセットオーナーといいます)です。皆さんの想いが出発点です。ここで実際にお金の出し手となる方のお話も聞いてみましょう。コモンズ投信のお仲間で本日のイベントでボランティアをして下さっている中小路さん。どういう気持ちでコモンズで投資そして寄付をしていらっしゃるのでしょうか。

中小路  コモンズ投信で資産運用をしていて、SEEDCapを受賞されたNPOに個人的にも寄付をさせていただいております。大事なのは、繋がることと共感だと思います。これを実感できれば、自然とコモンズ投信が目指している資金循環の輪が広がっていくのではないでしょうか。
中小路様
あとは、民間企業とNPOが実際に共感し繋がっていけば、もっと日本で投資も寄付も広がっていくのではないでしょうか。

伊井  今日のテーマは「投資は未来を信じる力」でしたが、最後にお三方、一言ずつお願いします。

上杉  今日のイベントには堀場製作所とシスメックスという2つの企業が参加していますが、両社とも「はかる」装置を世の中に提供しています。
私は、「はかる」ことがあらゆるイノベーションの始まりではないかと思います。例えば自動車の排ガスを測ることによって、よりクリーンなエンジンを開発するというイノベーションに繋がっていきます。最近は、電気自動車が主流になったら排ガスが出ないので、その時、堀場製作所はどうするのか?といったご質問をいただくこともありますが、その時は、電気自動車の効率的な開発をサポートするパートナーとなって社会に貢献していければと思います。

深尾  寄付の仲介という仕事をしていると、寄付したい人たちの想いは様々だということに気付きます。例えば、財務情報や成果に関して、きちんとした報告書がないと嫌だという方がいらっしゃる一方、報告など無くても頑張って取り組んでくれればそれで良いとおっしゃる方もいます。その点では、多様な選択肢を示せるようになることが大事だと思います。
あと、日本には寄付文化がないと言われていますが、それは違うと思うのです。実は「やり方がわからない」のではないでしょうか。たとえば京都などは、小学校を寄付で造ったという歴史もあるくらいで、町を自治してきたわけです。なので、共感をつなぎ、参加できる場を創ることが出来れば、自然のうちに人やお金が集まるのではないかと思います。

会場の様子

鬼丸  寄付も投資も、未来に繋ぐものなのだと思います。私の尊敬する方が、「人間は未来に恋する動物である。未来を想うことができる動物は、唯一人間だけなのだ」と言いました。だからこそ私たちはお金を通じて、もちろん100年後、200年後は生きていませんが、私たちの意思を未来の人々に渡すため、投資や寄付を行うのだと思います。ただ、深尾さんがおっしゃるようにやり方が分からないから、投資や寄付に対して消極的にならざるを得ないのが現実でしょう。その意味では、投資と寄付を繋いでいるコモンズ投信の役割は、とても大事だと思います。

伊井  最後、鬼丸さんに見事にまとめていただきました(笑)どうもありがとうございました。

<10周年イベントレポート>インベストメントチェーン ~投資と寄付で未来を繋ぐ~

インベストメントチェーン
~投資と寄付で未来を繋ぐ~
コモンズ投信株式会社 代表取締役社長&CIO 伊井 哲朗

コモンズフェスタ2019京都の最後は、お金をどう回していくのかをテーマに進めていきたいと思います。
コモンズ投信は、皆さまから大切なお金を預かり、運用によって増やしていくのと同時に、寄付活動を通じて社会的なリターンも追及します。社会起業家の方々あるいは障害者スポーツの方々を応援することを通じて、社会的な課題を発見しそれを解決しようというチャレンジです。

~・~~・~~・~~・~~・~~・~~・~~・~~・~~・~~・~
コモンズ投信の寄付のしくみは、形式的には金銭的なリターンを求めない寄付ですが、コモンズの想いとしては、よりよい世の中を次世代へつなげる利他の「長期投資」です。
当社が受け取る信託報酬の1%程度を目処とする金額を寄付します。
コモンズSEEDCap(シードキャップ)はコモンズ30ファンドの受益者の皆さんと一緒に社会課題の解決に取り組む社会起業家を応援する寄付プログラム、コモンズPOINT(ポイント)はザ・2020ビジョンの受益者の皆さんと一緒に障がい者スポーツのチャレンジャーを応援する寄付プログラムです。
~・~~・~~・~~・~~・~~・~~・~~・~~・~~・~~・~

こうした支援によって社会的課題が解決すれば、社会全体が非常に安定します。社会が安定すれば、企業もしっかり成長できます
日本にいるとなかなか実感できせんが、例えばイギリスを見て下さい。BrexitでEUから離脱すれば、一部の企業は、イギリスから出て行ってしまうでしょう。そうなると社会が不安定になります。米国だって、さまざまな社会的課題を抱えており、それが企業の安定的な成長に支障を及ぼします。逆に、社会的な課題が解決されれば、結果的に企業は長期的に成長できるでしょう。企業の経営者は、先行きの見通しがしっかり持てた時にこそ、その力を発揮できますので、安定した社会をつくることが大事です。
金融は、身体における血液ですから、頑張って事業に取り組んでいる人に、お金をしっかり回すことが金融の使命です。
それと同時に、社会的な課題解決に取り組んでいる方々に、お金が回っていくようにするのも、金融の本来の役割であります。
こうした金融本来の役割を果たすことで、最終的にお金を提供した皆さんのところにリターンが返っていく。最終的にはみなさんの夢の実現だったり、不安を解消することにつながったりしていくものと思っています。

昨今、そういった資金の循環を「インベストメントチェーン」などと言います。投資に際して、何でもいいから儲けてくれということになると、利益は出ているけれども、たとえば環境に悪いことをしている会社に投資することも考えられます。あるいは兵器を製造している会社に投資した場合、戦争が起これば会社が儲かって株価が上がりますが、果たしてそれで良いのかという疑問も生じてきます。
そうではなくて、社会を良くしていく会社に投資をし、その結果、環境がよくなる、あるいは世界的な紛争が解決するのが理想です。

コモンズ投信が生み出すお金の循環

私たちは皆さんの大事な志の入ったお金の運用を託されています。
こういう運用をしますということをお伝えし、それに共感していただけたら、ファンドを購入していただき、民間企業や、社会起業家にお金が流れ、それが経済的リターン、そして社会的リターンとして返ってくる。この循環によって私たちの暮らしが良いものになっていくものと信じています

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