<9周年イベントプレゼン抄訳>      株式会社資生堂 代表取締役 執行役員社長 兼 CEO魚谷 雅彦氏              「世界で勝てる日本発のグローバルビューティーカンパニーになるために」

<基調講演>
株式会社資生堂 代表取締役 執行役員社長 兼 CEO魚谷 雅彦さま
「世界で勝てる日本発のグローバルビューティーカンパニーになるために」


こんにちは。魚谷です。
私は、資生堂の社長になる前、日本コカ・コーラの社長、会長を務めてきました。コカ・コーラでのキャリアは約20年ですね。

コカ・コーラという会社は、皆さんもご存じのように、グローバル企業です。そのため24時間働いているようなもので、その会長職を退いた時、家内は本当に喜びました。

その後、ブランドヴィジョンという会社を立ち上げて、そこで資生堂と出会い、ブランディングのお手伝いをしているうちに、「社長をお願いしたい」と言われました。

正直、驚きましたよ。140年に及ぶ資生堂の長い歴史のなかで、外部から社長を招聘したのは、初めてのことです。身が引き締まる思いでした。

メディアからは、「飲み物と化粧品は全く違う」などと言われたものですが、よくよく考えてみたら、私が商品を開発しているわけではないし、消費者の皆様に喜んでいただくという点では、コカ・コーラも資生堂も同じだと思ったのです。

社長に就任して、「資生堂を世界で戦える会社にする」というミッションを打ち立てました。


 社長就任の記者会見で、「身命を賭してやり抜く覚悟です」と言ったところ、友人から「命まで賭けちゃうのか」などとからかわれましたが、そのくらいの覚悟で無ければ、世界で戦うことは出来ません。

そして今、資生堂はグローバルで戦えるだけの力を持ち始めています。

会社の売上は、2017年度決算で1兆円に達しました。
資生堂にとっては20年来の悲願達成でした。
利益は創業以来最高です。従業員は全世界で4万5000人。
売上の57%が海外となっていますが、化粧品産業としては世界第5位なので、まだまだこれからです。
ちなみに、日本に次いで米国が2番目の売上でしたが、2017年に中国が2番目になりました。


資生堂の事業は化粧品だけではありません。
薬品事業や、資生堂パーラーでご存じかと思いますが、レストラン事業も展開しています。
実は、資生堂はレストラン事業の方が歴史は古く、化粧品はその後からなのです。

今から4、5年前、資生堂は構造的な問題を抱えていました。
国内事業は売上が減っており、シェアも落としていました。
それに対応してコスト削減など経営努力は行っていたものの、負のスパイラルに入っていました。
また海外事業に関していえば、先行投資した分の回収が出来ていませんでした。

この2つが大きな課題だったので、社長になった2014年に、とにかく現場の話を聞くことに専念しました。最初の100日で5000人の社員と対話しました。

資生堂には、ビューティーコンサルタントという店頭人員が1万人いるのですが、彼女たちは会社が抱えているさまざまな問題を、現場目線で理解しています。
営業担当も同様です。
問題は、それを声に出しにくい環境があることでした。
日本国内だけでなく海外も同様です。実際、中国法人のスタッフと車座になって話を聞くと、さまざまな問題点が浮かび上がってきました。

こうした問題点は、きちんと直視する必要があります。
そして、早急に手を打つ。そうしないと、後に禍根を残すことになります。
私の場合、外部から来た経営者だったので、組織の過去のしがらみに囚われることなく、改革を推し進められました。
6年かけて会社を良くしようと考え、最初の3年間で負の遺産を全て処理することにしました。たとえ利益を落とすことになったとしても、株主の理解を得たうえで断行する。他の役員の方からの賛同も得られ、速やかに処理が進みました。

それを終えてから、しっかり走る。2020年までに売上高1兆円、営業利益1000億円の目標を提示したところ、さすがにしり込みする声が出てきました。
その時点での売上は7500億円。
ただ、高みを目指さない限り、会社は良くなりません。
とにかく皆で力を合わせて頑張ろうと、一所懸命に走っていたら、2017年に売上1兆円を達成できました。やれば出来るだけの底力があるのです。

今後、資生堂はどうなるべきか。
社長に就任して3年が経ち、そんなことを自ら問い直しました。

世界で最も信頼される美の会社になろうと思います。
信頼はとても大事なものです。
株主、社員、お客様など、全ステークホルダーと信頼関係を構築し、ESGを追求してまいります。

化粧品会社にとっての社会的価値とは何か。
さまざまなCSR活動を展開し、原材料を調達する際にもフェアトレードであることに留意しています。

ただ、それ以上に本業そのものに社会的価値、社会問題を解決する力があるのではないか、というのが私の考えです。
そこで、笑顔を作ってもらうための表情プロジェクトを展開しています。
お年寄りの施設などで、おばあさんにお化粧をして差し上げると、皆、元気になります。人生100歳時代ですから、歳を取っても笑顔でいられるのは、とても大事なことだと思います。
あるいは、ガン患者の方が治療で外見が変わってしまった場合、それをメイクでカバーするためのアピアランスケアにも力を入れています。

先日、3か年計画を発表しました。
私たちの商品ラインは、高級品から普及品までありますが、世界に出ていくと、高級化粧品で戦うことになります。
ライバルはエスティローダーやロレアルです。スキンケア商品は収益性が高いので、ここを狙うのと同時に、メイクアップやフレグランスにも力を入れていきます。
さらにEコマース。現在、売上の5%ですが、中国では25%がEコマース経由での売上です。
先般、この分野ではアリババと提携しました。
アリババのCEOであるジャック・マーが、「母や妻も資生堂を使っているよ」と言ってくれたのは、ご愛敬ですね。

今、米国でも構造変化が起こっていて、若い世代はEコマースを積極的に活用しています。というのも、インスタグラムを使って自分のメイクアップを発信しているのです。ここにはもっと食い込んでいきたいので、その分野に強い米国のベンチャー企業を買収しました。

そして、最後はやっぱり人です。
これから3年間で、世界で戦える人材を育てていきます。そのため、留学制度を復活させました。
ダイバーシティの観点から、2020年までに女性管理職比率を40%に引き上げます。
英語の公用語化も発表し、1700人が今、英語のレッスンを受けています。当然、費用は会社負担です。
また人材育成のための投資だけでなく、設備投資にも力を入れていきます。
失われた20年の間、新しい設備を作っていないので、既存の設備が古くなっています。
それを新しくするのと同時に、那須と大阪に新しい工場を建てています。合計で3000億円の設備投資になります。

今後、8%の平均成長率を維持し、2020年には売上で1兆2000億円の基本計画、将来的には世界第5位から第3位内の化粧品会社になることを目指します。

ご清聴ありがとうございました。

魚谷社長×渋澤トークセッションはこちら

<9周年イベントレポート>        魚谷社長×渋澤トークセッション     「ブランドを育てるということ」

<トークセッション>
魚谷雅彦氏(株式会社資生堂 代表取締役 執行役員社長 兼 CEO)
渋澤健(コモンズ投信会長)
「ブランドを育てるということ」



渋澤   売上1兆円達成、おめでとうございます。2014年に外部から社長に就任されたわけですが、資生堂に対する最初の印象はいかがでしたか。


魚谷さま   社長って偉いんだなというのが第一印象でしたね。
とにかくサポートするスタッフが凄い。社長就任が決まり、就任の挨拶をするわけですが、ある日、私のところに封筒が届いて、それを開けてみると、なかに挨拶文が入っていたのです。自分で書くから結構ですよと言いましたけどね。あと、出張も大名行列。
そういう過去の慣習を全部やめました。経営会議での役員の発言内容も、事前に部下が原稿を書いて、役員はそれを読み上げるという国会答弁ばりでしたが、それも止めてもらい、5分で良いので自分の言葉で発言してもらうようにしました。
あとは「階段ツアー」といって、社長に就任した時、本社の全フロアを挨拶して回りました。
これも止めてくれという意見はあったのですが、消費財の会社ですから、社長が社長室でふんぞり返っていてはダメだし、あれだけ大きな会社になると、社長が変わったことを知らない社員もいますからね。

渋澤   逆に、さすが140年の歴史を持つ会社だと思ったことはありますか。

魚谷さま   海外の競合関係にある会社に行って、経営者に会いたいと言うと会ってくれます。資生堂は海外でとても尊敬されているのです。海外で培った信用基盤は、とても素晴らしいものがあります。

渋澤   ブランドを育てるうえで大事なことは何ですか。

魚谷さま   良いものを作ればお客様は喜んでくれるというのは間違いです。もちろん商品開発は大事ですが、良いものを作れば後は何とかなる、ではなく、全体を管理したり、企画したりすることにも力を入れないと、ブランドは育ちません。


渋澤   美で世界を変えるということをおっしゃっていますが、資生堂にとっての美とは何ですか。

魚谷さま   資生堂は明治5年に福原有信が、西洋型の調剤薬局として銀座で創業しました。明治5年で、西洋式の医薬分業システムを確立したのです。
2代目の福原信三は薬学を学ぶため、コロンビア大学に留学しました。
この方が、株式会社資生堂の初代社長で、この時、会社が大きく発展しました。
こうした資生堂のルーツを見ると、和と洋を上手に組み合わせることで、新しい付加価値を生み出してきたことが分かります。
世界で認められるため、他のグローバル企業の真似をしてもダメだということです。
細かいところまで作り込む、日本ならではの商品、サービスを、海外のお客様に売ることができる、外国人スタッフがいるところに、資生堂の凄さを感じます。




渋澤   異なるものを組み合わせる力ですね。30年目線で考えた時、アナログとデジタルの領域は、どうなっていると思いますか。

魚谷さま   今の10代が40代になっているわけですよね。つまりスマホを使いこなしている世代が購買の中心層になります。
きっと、メーカーとお客様の立場が、大きく変わるかも知れませんね。
たとえば商品開発をするにしても、メーカー側がマーケティングを行って顧客ニーズを吸い上げ、売れそうな商品を開発するのではなく、お客様の側からメーカーにニーズを伝え、メーカーはそれを汲んで商品開発を行うという時代が、すぐそこまで来ているように思えます。
ただ、カウンセリングという形で、お客様と接する機会は、無くならないでしょう。


渋澤   組織が好奇心を失わず、活性化を続けていくうえで心がけていることは何ですか。

魚谷さま   社員は優秀でも、組織の風土で力を発揮できなくなっているケースは、結構あります。だから、私の仕事はしがらみでがんじがらめになっている社員を開放させること。
社員の心に、やる気を起させるための火を点けるのです。

そのためには、社員も役員も一丸となって、一緒にやる。
お客様の声を聞く。トライ・アンド・エラー・アンド・トライです。

そして、お客様にワクワクしていただく。でも、お客様にワクワクしてもらうためには、まず自分たちがワクワクしなければなりません。遊び心が大事です。


伊井   長期投資に対して、どのような考えをお持ちですか。

魚谷さま   透明性を持つこと。株主の方との対話が大事です。
何事も誠実に前向きにオープンに取り組んでいくことを、投資家の皆さんに、きちんと伝えるようにしています。
それが出来ると、今度は社内取締役と社外取締役との関係も上手く行くようになります。今期は業績が落ちるけれども、将来に禍根を残さないために、この問題を処理しようとか、大きな設備投資をしようとか、これまで幾度となく大胆な改革案を役員会で提案しましたが、全面支持でサポートしてくれます。
だから、とにかく経営に透明性を持たせて、株主の方との対話をきちんと行う。
それが資生堂の成長につながりますし、それを支えるのが、長期投資を行って下さる投資家の方々だと認識しています。


渋澤   本日はありがとうございました。
同時開催の"こどもトラストセミナー”にて
「資生堂を応援したい!」というこども投資家さんから
「しせいどうのしゃちょうさんへ」のお手紙のサプライズ!



<9周年イベントプレゼン抄訳>       コマツ「ダントツをキーワードに新たな成長ステージを目指す」

<企業との対話プレゼン>
コマツ
経営管理部 IRグループGM 横尾和浩さま
「ダントツをキーワードに新たな成長ステージを目指す」

当社はダントツ商品、ダントツサービス、ダントツソリューションによって、顧客に対する付加価値の増大を図るとともにビジネスにおける事業領域を拡大し、成長を目指しています。

では、ダントツとは何か、ということですが、2、3年は他の企業がその技術を真似しようとしても、追いつけない類の商品、サービスのことです。
具体的には、ハードとソフトを組み合わせることによって、製品、サービス、ソリューションの価値を高めます。これをやらないと、日本のメーカーは世界で戦えないでしょう。
ソリューションの事例の一つにICT建機とスマートコンストラクションがあります。
ICT建機は、人工衛星による位置情報などを使って建機の位置を特定し、実際に施工する際の操作をサポートします。

このICT建機を活用するため、測量ドローンやソフトウェアなどをパッケージ化し、レンタルするのが、スマートコンストラクションです。
建設現場は今、慢性的な人手不足に陥っており、今後、さらに深刻化するでしょう。
だからこそ、ICT建機を用いて作業現場を効率化する必要があるのです。

もう一つの事例である無人ダンプはオーストラリア、カナダ、チリの鉱山で稼働しているのですが、高さ7メートル、総積載量300トンという巨大なダンプが、無人で動いています。

鉱山現場は過酷な環境に加え、ヒューマンエラーに起因する重大な人身事故のリスクもあります。
無人ダンプを遠隔操作することで作業者の負担が減り、安全性も大幅に改善します。
また無人なので、コストも大きく下がります。
こうした次世代の建機を、サービスやソリューションと共に提供し、次の成長ステージを目指してまいります。

*横尾さまのスピーチ動画はコモンズTVでもご覧いただけます。

焦る必要ないつみたて投資


おはようございます。渋澤健です。

週末は全国的に春が広まりましたが、株式市場では再び冬型の嵐が吹き始めましたね。



主な原因は二年目に入ったトランプ大統領の焦りです。自分の支援者層が喜ぶと思っているのか、経済専門家の主要スタッフの意見を払い除けて、鉄鋼とアルミニウムの輸入品関税や中国による知的財産の侵害があるという理由で制裁措置を署名しました。

中国も「全ての選択肢を視野に入れている」と後退りしない姿勢を見せています。世界第一と第二の経済大国の貿易戦争へ展開すると株式市場では動揺が走り、年末の減税法案の設立による「ゴールディロックス相場」の追い風への期待が、トランプの茶番劇であっさりと裏切られました。

一方、日本では働き方改革関連法案の成立など安倍政権が目指している政策の道筋が見えなくなっています。森友学園に関する決裁文書の改ざん問題により、鉄板と思われていた安定政権の行方に疑問視が増え始めています。

しかしながら、長期投資の視点であれば、特に嘆く必要はありません。



季節が変わるように、順境のときもあれば、逆境のときもある。そのときに、焦らず、動揺せず、こつこつと積み立て投資を継続することが大事です。



土曜日には帯広で開催されたセミナーで、AIIOT、バイオなどの発展による第四次産業革命における働き方の変化や将来に備える資産形成について、ソフィアバンク代表の藤沢久美さんと対談しました。その話の流れで、現地でお世話になっているAさんがご自身のつみたて投資の実績を会場で共有していただきました。

うれしいことに、コモンズ投信と最初に出会った2010年から、平均で毎月7000円を積み立てくださっているそうです。コモンズでつみたて投資を開始した翌年の2011年には大震災・原発事件など日本の経済社会が大きく打撃を受けました。ところが、Aさんはめげることなく、こつこつとつみたて投資を継続しました。

その結果、(株式市場が大幅に下落した後の)土曜日の朝の段階でマイ・コモンズでご自身の口座を調べてみたら、月7000円の長期投資が、百万円ぐらいの残高に積み上がっていたと笑顔で教えていただきました。

目先がわからない。そんなときこそ、つみたて投資です。焦る必要、全くありません。時間が味方になってくれます。順境の後には逆境が訪れるかもしれませんが、逆境の後には順境が訪れます。

未来を信じる力を合わせること。それが、コモンズ投信の長期投資です。

春の嵐にも負けず

コモンズ投信 伊井です。
2月の上旬に起こった米国発の世界的な株式市場の急落は、一ヵ月を経過してもなお続いています。

株価や日米の不安定な政治情勢を見ていると心配される方もいらっしゃるかもしれませんが、世界的な景気や企業業績はまだまだ順調です。

先日も米国のFRB(連邦準備制度理事会)は、米国の実質GDP成長率の予想を、2018年は2.7%、2019年は2.4%とし、それぞれ0.2%、0.3%の大幅上方修正を行ったところです。

経済の基礎的な条件がしっかりしていれば、遠からず株式市場の春の嵐も落ち着いてくるでしょう。
そもそも当社のコモンズ30ファンドザ・2020ビジョンの2つのファンドは、いずれも丹念な企業調査に基づいて投資先を選んでいます。

世界で貿易摩擦が再燃したり、為替が円高になったり、ビッグデータの活用に一定の規制がかかっても、成長が続けられるような優れた企業をそれぞれのファンドの視点で選んでいます。
その結果、相対的ではありますが、年初から荒れ模様な株式市場でも安定した運用を続けています。

では、どんな企業を選んでいるのか。
当社では投資先企業をお招きしてのセミナーを行い、そのレポートも当社HPに掲載しています。

直近では、今月の9周年のイベントにお越しいただいた企業との対話の掲載も始まりました。
まずは、ザ・2020ビジョンの投資先からマネーフォワードの瀧取締役の講演と対話の模様を掲載したところです。

近未来の金融の変化を捉え、優秀な人材を確保し、日々、サービスの向上を行い、会員数を直実に伸ばしていく。

こうした外部環境の変化には影響を受けず、非連続な成長を目指している同社の伸び盛りの様子を、是非、下記リンク先からご確認ください。

○株式会社マネーフォワード 取締役執行役員兼Fintech研究所長 瀧俊雄さま
「お金のわかりにくいところを分かりやすくする」
https://park.commons30.jp/2018/03/9_22.html

「本格的なキャッシュレス時代の到来を背景に何倍もの成長を目指す」
https://park.commons30.jp/2018/03/92020.html


株式市場を見るのではなく、投資されている企業を見ていれば安心感につながるはずです。
私たちは、両ファンドを通じて、優れた企業への投資を丹念に行ってまいります。
引き続き、ご期待ください!

<9周年イベントプレゼン抄訳>      マネーフォワード            「お金のわかりにくいところを分かりやすくする」

株式会社マネーフォワード
取締役執行役員兼Fintech研究所長 瀧俊雄さま
「お金のわかりにくいところを分かりやすくする」


マネーフォワードは、資産管理を見える化する会社です。
お金の体重計と思っていただいても良いでしょう。
管理をしないとダイエット出来ないのと同じで、家計も、きちんと帳簿を付けると良くなります。

未来のお金を考える時、フィンテックの概念はとても大事です。
たとえばスマートフォンが人々の人生を大きく変えています。
実は私は今日、夫婦で初めて中野に来ました。せっかくだから、何か美味しいものを食べようと思ったのですが、残念ながら私には中野の美味しいお店に関する情報がありません。
昔なら、中野に詳しい人に聞いて教えてもらいました。
今は食べログを使えば、そのお店の評判まで分かります。
冷蔵庫の買い方も変わりました。
昔は、ビッグカメラのような家電量販店で店員さんの話を聞き、ある程度、自分で納得したうえで買っていました。
今は少し違います。家電量販店で説明を受け、カカクコムで最も安い値段のお店を探してから、そこで買うという、少しえげつない買い方が出来るようになりました。
もちろん、納得感はこちらの方が高いと思います。
しかし、金融商品は納得して買うのが難しい分野です。
自分が加入している保険は、自分にとって本当に正しい入り方なのか、納得の仕方が分からない状態で加入している方も多いと思います。
マネーフォワードは、フィンテックによってそれを解決するために活動しています。


ウーバーイーツというサービスを使ったことがありますか。
さまざまなレストランの食べ物を宅配してもらえるシステムなのですが、注文はスマートフォンで簡単にでき、支払いはスマートフォンに登録されているクレジットカードで済ませられます。
人間って便利さを享受したくなる生き物なのですね。
アマゾンのサービス無くして、生きていけないと思っている人、結構いらっしゃるでしょう。
つい10年くらい前は、アマゾンのサービスもここまで充実していませんでしたし、注文した商品が届くまでの時間も、もっとかかっていたと記憶しています。
それでも皆、便利なサービスだと思っていました。
それが今では、扱う商品が大幅に増え、配達されるまでの時間が大幅に短縮されたにも関わらず、もっと便利にならないかなと思っている私たちがいるわけです。
このように、スマートフォンの登場によって、私たちの生活は大きく変わりました。
それを、お金の分かりにくいところを分かりやすくするために応用できないかというのが、マネーフォワードの試みです。


そもそも、隣の人とお金の話をした経験はあるでしょうか。
自分の収入、持っている資産、借金の額など、全てを話せる人は、まずいないでしょう。自分のお小遣いについてオープンに話せるのは、高校生くらいまでだと思います。
それ以降はタブーです。
そのうえ、経済や金融の話になると、訳の分からない専門用語が次々に出てきます。
「確定拠出年金」なんて、呪文の言葉です。
しかも、運用に関して勉強したからといって、高い運用成績が上げられる保証もありません。ますます、お金の世界がミステリーになっていくわけです。

グーグルでも何でも良いのですが、たとえば「17歳 お金」と入れて検索すると、「17歳の高校生です。親バレせずにお金が欲しいのですが、家のものをメルカリで売っていいですか」という質問が出てきます。
家のものを勝手にメルカリで売るな、という感じですが、年齢を20歳にすると税金の話がメインになり、50歳は「下流老人」という脅し文句が並びます。
そして80歳になると、もう何もかも割り切るのか、「借りたい」という話が増えます。

このように、お金の悩みというか、人間が生きていくうえでお金の話は切っても切れない関係にあることを、改めて認識するわけですが、その時、もっと自動的に貯蓄できる時代になるべきではないのかと思うわけです。
そういう観点で、マネーフォワードはサービスを展開してまいります。

*瀧さまのスピーチ動画はコモンズTVでもご覧いただけます。

次ページは:トークセッション「本格的なキャッシュレス時代の到来を背景に何倍もの成長を目指す」

<9周年イベントレポート>        2020年、その先へトークセッション    「本格的なキャッシュレス時代の到来を背景に何倍もの成長を目指す」

<トークセッション>
瀧俊雄(株式会社マネーフォワード取締役)
伊井哲朗(コモンズ投信代表取締役社長&CIO)
鎌田聡(コモンズ投信シニアアナリスト兼ポートフォリオマネジャー)
「本格的なキャッシュレス時代の到来を背景に何倍もの成長を目指す」

右からマネーフォワード瀧さま、鎌田、伊井


伊井   先ほどのプレゼンテーションを聞かれて、なぜ2020ビジョンがマネーフォワードに投資しているか、お分かりいただけたと思います。IPOして間がない若い企業は、社員が楽しそうに働いています。本当に忙しそうですが、ニコニコしている。正直、マネーフォワードの方にお会いするたびに(ザ・2020ビジョンで投資する)持ち株が増えております(笑)。

鎌田   まず、10年後の資産運用業はどうなっているのでしょうか。AIは専門分野のコスト下げるとすれば、ファンドマネジャーやアナリストの価値は相対的に下がるはずです。瀧さんとしては、これをどう見ていますか。


瀧さま    投資ってわかるようでわからないものですよね。人間は、放っておいて投資家になるケースはないと思うのですが、資本主義の時代に生きていて、投資家になれるのにならない人は大勢いらっしゃいます。そこに漸進的にでも連れていくための投資導入業は、今後も十分にニーズはあると思っています。
ただ、アルファ(超過収益)を得るための資産運用業に関していえば、今後はAIが、非常に高度な頭脳を持った、アルファを取りに行く人たちの頭脳をコピーするわけですし、加えてAIは眠りませんから、この分野は厳しくなるものの、資本主義が大きくなれば、この分野の規模そのものは拡大していくと考えています。


鎌田   昔は100人いないとできなかったサービスが、AIをはじめとするテクノロジーの進化によって、1人か2人で出来るようになりました。
結果、ベンチャー企業の立ち上げが増える。この時、社員がフリーになって新しい会社を立ち上げた時、大企業のノウハウが流出して抜け殻になる恐れはないのでしょうか。



瀧さま    製造業のように大きな資本が必要で、それに対して細かいメンテナンスが必要なものに人類が払う価格は、減っていると思います。
たとえばコマツは無人ダンプを運用していますよね。あの巨大な機材が遠隔操作で動いているわけですが、いずれその操作自体もAIで行うようになるでしょう。
こうして大規模資本のメンテナンスの必要性が低くなった時、大企業の規模感が変わる可能性があります。その最も激しい事例が銀行です。
銀行が、責任ある形で情報を右から左に加工して渡す仕事がロボティクスの対象になるとしたら、3万人の行員が1万人になることも十分に起こりえます。
こうして細かいメンテナンスが不要になれば、そこに払っていたお金が浮くわけで、それを新しいサービスに転用できるかどうかが、ポイントになります。
その変化に気付いている人が、新しい産業に移っていくのでしょう。

伊井   つみたてNISAで、若い人たちの資産形成を進めていく必要性が言われていますが、結局、個人金融資産の60%は60代以上の人が持っていますが、高齢者はAIについていけません。
一方で金融機関が対面で行っていたサービスをAIに置き換えたら、ますます高齢者はどうしたら良いのか途方に暮れてしまうでしょう。その辺をどうお考えですか。

瀧さま    1つはソフトウェアやデータを綺麗にすることでAIが機能してきましたが、今は、それがIoT(モノのインターネット)などがモノを動かすことに応用され、人手が無くてもなんとかなるようになりました。
従来の人間がオペレーショナルにやってきたことをカバーする部分の付加価値は、相対的に減っていくでしょう。ただ、人が人たらんとする部分は、非合理性が商品になる面があるので、残る可能性はあります。
マッキンゼーが昨年出したレポートによると、日本は観察された50数か国の一番上で、29%の仕事が15年以内に無くなると書かれています。肝心なのは、それによって浮いた時間、付加価値があるはずだということで、自分が欲しいものは何かということを表明したり、時間を割いたりすることが大事だと思います。

伊井   高齢者向け金融サービスのイメージはどうですか。

瀧さま    たとえば野村証券が直面している最大の課題の一つは、お客様に高齢者が多いことだと思います。80代の人に複雑な債券を売るのはもはや制度上大変困難なことですが、一方でそれを買いたい人もいます。2025年になると、日本で認知症に罹る人が700万人くらいになると言われています。その方々に対しては、周りの人が意思決定する必要があります。
息子や娘が父親の口座を使って、いずれ口座のお金は遺産になるわけですから、子供がプロのアドバイスを受けて資産運用する世界があるのではないかと考えています。
もうひとつは、もうGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人:日本の公的年金のうち、厚生年金と国民年金の積立金の管理・運用を行う機関)だけでは頑張り切れない部分があって、公的年金制度だけでは高齢社会を乗り切れないのは自明です。
なので、運用しながら適切に取り崩すことを97歳目標に行い、それ以降は公的な保険を利用できるようにするといった形に変えていくことが必要ではないかと思います。
そもそも年金は、うっかり長生きしてしまった時の備えとして考えられたものですから、誰もが受け取れる制度設計ではありませんでした。それを改めて考える必要があるでしょう。

鎌田   キャッシュレス時代で現金が無くなり、かつシェアリング経済でさほどお金を持たなくても、充実した生活が出来るようになると、お金を稼ごうという動機で働く意識が薄くなり、貨幣経済が無くなり、株価や資産運用が別なものになるのではないかと考えることがあるのですが、どう思いますか。


瀧さま    キャッシュレスになったとしても、デジタル日本円がそのまま流通するだけだと思います。スウェーデンやデンマークのように、ほとんどの取引が銀行口座から携帯電話番号を知るだけで他人に送金できたりするわけですが、それで良いのではないかと考えています。早くそういう時代が来て欲しいですね。
それによってマネーフォワード利用者は、まだあと何倍くらいにも伸びる予定なので。
日本から現金をなくしていきたいと思います。たとえば時計の中に電子マネーのスイカ入れたり、ANAや新幹線のチケットを入れたりできますが、地方の金融機関に出張行った時など、「今日、僕これだけで来たんです」と言って(時計を)見せると、普段アプリに関心のない人でも、興味を示してくれます。それが当たり前の時代になるでしょう。

伊井   中国はインターネットにつながっている人口が8億人。スマートフォンでキャッシュレス決済する人が7億人というように、物凄くキャッシュレス化が進みました。

瀧さま    中国はシェアリングエコノミーの進み方がとても速いですね。所有にお金を払わず、サービスに払う。従来、自動車を所有するには大きなストックが必要でしたが、これからは乗れれば良いという時代になるでしょう。その時、決済をいちいち現金でするのは面倒極まりないので、やはりキャッシュレス化はどんどん進んでいくと思います。
恐らく2、3年後には、日本にも現金を必要としない社会が広まっているかも知れません。

伊井   本日はありがとうございました。
企業との対話でのブースの様子

マネーフォワードのアプリを示しながらご説明される様子

瀧さまのプレゼンテーション抄訳はこちら

HAPPY DAY TOKYO 2018 しあわせをふやそう

おはようございます。渋澤健です。

昨日、日曜日に東京タワーの近くにある都立芝公園でHAPPY DAY TOKYO 2018が開催されました。毎年、この時期に国際幸福の日を祝うイベントで、今回で6回目になります。今年もコモンズ投信は協賛させていただきました。


世の中に「しあわせをふやそう」という願いで、子供たちに夢を膨らました風船に描いてもらい、他とつなげるブースを設けました。




次々と子供たちが立ち寄ってくれて、夢を膨らまして、つなげてくれました。



長期投資とは「未来を信じる力」です。


その一人ひとりの力を合わせることができれば、


次の時代を共に拓くことできる。


これは、コモンズ投信のミッション、存在意義です!


笑顔が多い一日でしたが、特にうれしかったのは去年と同様に、コモンズの「お仲間」(受益者=お客様)も「スタッフ」という名札をかけてブースに入っていただき、朝からずっと一緒にお手伝いしていただいたことでした。こんな、しあわせな運用会社は他にありません!


また、とてもナイスなサプライズ。昨日、57歳になった私を皆さんと一緒にお祝いすることができました。(^^♪ どうもありがとうございます! おかげさまで、ハッピーな一日を過ごすことができました!



ショート・スライドショー 
「夢を膨らまして、つなげよう」

9周年フェスタ御礼

こんにちは。

コモンズ投信 伊井です。

先週土曜日、【9周年コモンズフェスタ】を無事に開催することが出来ました。
遠くは、九州や北陸からもご参加いただくなど250名ほどの方々にご参加いただき心から御礼申し上げます。
当日は、出来立てホヤホヤの当社のミッション『一人ひとりの未来を信じる力を合わせて、次の時代を共に拓く』を説明するところから始まる運用報告(コモンズ30ファンドとザ・2020ビジョン)を行い、ここでは昨期の運用報告とともに先月からの波乱相場で強さを発揮している両ファンドについて説明させていただきました。

そして午後の部は、資生堂を復活させ世界トップブランドへ押し上げている魚谷社長の素晴らしいトークから始まりました。
お客さまからも「資生堂のグローバル展開がよくわかり、また難しい時代のリーダーの模範と思った」などの感想もいただきました。
こどもトラストセミナーに集まった子供たちから、魚谷社長に資生堂を応援する手紙をサプライズでお渡ししましたが、魚谷社長の嬉しそうな笑顔も印象的でした。

続いて、三菱商事、コマツの両IR部門(株式の広報)トップからの説明、各ブースに分かれてのお客さまと企業との直接対話。その後は、ザ・2020ビジョンの組入上位銘柄(2018年2月末時点)でもあるマネーフォワードの瀧取締役から、金融の新しい時代をユーモア交え、詳しく説明いただきました。




後半は、私たちが創業以来取り組む、社会への投資「寄付のしくみ」。
両ファンドの応援先であるmore trees(モア・ツリーズ)、日本知的障害者水泳連盟にご登壇いただき、それぞれ環境問題や共生社会についての示唆をいただきました。


最後は、懇親会になだれ込む、盛りだくさんな一日でしたが、まさにコモングランド=共有地に皆さんが集まっている光景は、私たちのミッションそのものを見ているようで、個人的にもとても嬉しかったです。

ホワイエでは、「未来を創る私のアクション」コーナーを設けましたが、お子さま連れでご参加くださったご夫婦は「たくさん笑って大人も子供もたくさん学びます」、コモンズで永年つみたてをしてくださっている方は「ワクワクする投資を伝える!」といったメッセージを残してくださいました。



ご参加頂いた皆様に、心より感謝申し上げます。