「あきらめないところです。」~ほうぼくツアーNo.1~

11920日、認定NPO法人抱樸のスタッフのみなさんのご尽力により、「奥田さんと現場をあるくほうぼくツアー@北九州」を開催することが出来ました。
昨年秋の社会起業家フォーラムに、認定NPO法人抱樸 理事長奥田さんが登壇。

そのご縁からの企画となりました。
19日の炊き出し、夜回りから始まり、20日の各施設見学など、コモンズ投信のお仲間(ファンド受益者)、社会起業家、関心を寄せてくだった方、コモンズ投信役職員、総勢10名ほどが参加した充実のツアーとなりました。

19日夜 炊き出し)
北九州空港から車で移動し、19時半過ぎに小倉駅ちかくの公園に到着。
すでにテントが貼られ人々が集まっていました。


抱樸スタッフなのか、ボランティアの人なのか、支援を求めて集まってきた人なのか、誰が誰だかよくわからない状況ながら、薬、洋服、食品などがそれぞれのテントで段取りよく配られていきます。



そして、秩序よく列を守ってそれぞれが必要な物を手に入れた後に、テントの前にイスとテーブルが並べられました。
あたたかなお茶やインスタントコーヒーを手に、ますます支援される側、する側がごちゃまぜに。
どちらが相談していて、相談にのっている方なのか。
ますますわからなくなる星空カフェですが、参加している人々の表情はやわらかく、笑顔が多いです。



ふと全体を見渡すと、なんと星空美容室も存在していました。
床屋さんを務めていた方にお話を聞いてみました。
「何か困っていることはありませんか?」と突然話しかけてみても、だいたいの人は、そんなに急には正直な答えを返してくれない。
ただ、髪の毛を切ってみようか、という目的で席につくと、不思議と、自分たちの状況を話し出してくださる方が少なくないそうです。

また、奥田さんが大きな声でみなに呼びかけている声が聞こえてきました。
「住居関係の補助申請ができるようになったけれど、わからないことがあったら、一緒にやろう」

この「一緒にやろう」、の声がどんなに心強いだろう、とその時思いました。
申請ができるよ!の声掛けは、大きな救いの手であると同時に、申請を理解して実行するのが難しい人にとっては、つきはなす言葉にも変わることも残念ながらあるのではないかと。
 
(パトロール)
炊き出し終了後は、小倉駅周辺の町中を、やはり、暖が取れる洋服、毛布、薬、食品をもってパトロール。


2つのチームに分かれて、炊き出しに現れなかった路上生活者の安否確認をしながら、町中を歩きます。

建物の中の駐車場、橋のたもと、それぞれに風をしのげる場所を探して寝床をつくっている人たちに、親しく声をかけていきます。
「足りなくなった薬ない?」「寒くない?」「ご飯はいる?」
印象に残ったのは、答える側の路上生活者の表情が柔らかい。

パトロールの終わりには、その日いっしょにまわったボランティアのメンバーで、一言ずつ感想を共有しあいました。
岡山で同様の支援活動をしている若手活動家のみなさんもその日参加されていたのですが、どうやらわたしと同じ印象を抱いたようです。
「ぼくたちは、どうも、支援する側、される側の立場で話をしていたように思います。
何かしてあげられることがある、といった態度、何なら、あなたの生活をもっといい方に変えてあげる、という姿勢が、かえって、相手を頑なにさせるのではないかと。」
 
確かに、抱樸での対話は、まずは相手をそのまま受けいける、少なくとも受け入れる努力から始まっているように感じた初日の夜でした。

ソーシャル・エンゲージメント・リーダー 
馬越裕子

「あきらめないところです。」~ほうぼくツアーNo.2~につづく