コモンズ投信「企業価値研究会」-SDGs
おはようございます。渋澤健です。
コモンズ30ファンドの投資の理念は「30年」「30社」「対話」でありますが、その実践として、「30年」が象徴する持続的な価値創造を「30社」投資先企業にお呼びかけして、「対話」をするコモンズ投信「企業価値研究会」を去年から設けています。先週は、その二回目を開催したところ、ほとんどの企業からお返事をいただき、当日は日程の都合が良くて参加された企業は約半分の14社でした。
当研究会は、基本的に企業の非財務的な「見えない価値」の見える化について意見交換することを目的としており、今回のテーマはSDGs(持続可能な開発目標)でした。
2015年に開催された「国連持続可能な開発サミット」で掲げられた2030年までの「持続可能な開発目標(SDGs)」は、2000年から2015年まで適用されたMDGs(ミレニアム開発目標)とは異なり、先進国が途上国を援助する開発目標ではなく、先進国自身も含む持続的な経済開発の目標です。
MDGsは8つの目標にまとまっていましたが、SDGsでは全部で17の目標と169のターゲットもあります。大企業であっても、中小企業であっても、一個人であっても、SDGsに取り組むことができる莫大なメニューです。
研究会では、UNDP(国連開発企画)駐日代表の近藤哲生さんに冒頭にSDGsについて講義をお願いしました。MDGsのように専門家の行動目標ではなく、SDGsは全ての人々の成果目標であり、政府だけに持続性という世界的課題を任せるのではなく、民間も意識的に取り組むべき共創という内容のお話しをいただきました。
その後、各社のSDGsの取り組みのディスカッションの時間を設け、その活動を企業価値へとつながる見える化の工夫を共有しました。
今回は、企業のIR担当、CSR担当のご参加をいただきましたが、CSR担当であればSDGsは毎日の仕事で考えていることです。一方、IR担当の場合、日本の機関投資家はもちろんのこと、欧米大手のESG系の投資家とのミーティングであっても、話に出るほとんどの内容は「G-ガバナンス」であり、「E-環境」 「S-社会」への取り組みについて聞かれないということのようなので、日常のお仕事で使わない部分の頭の体操になったと思います。
コモンズ30ファンドを「ESGファンド」と掲げたことは、設定来の8年と間、いままでありません。でも、「30年」目線の企業の持続的な価値創造を投資対象にすることと、ESGの関係はかなり重なっています。
コモンズ投信は世界的にESG投資家として有名なわけでもありません。しかし、他の有名なESG投資家が「G」に関する対話が多いのであれば、我々はSDGsのように「E」「S」について長期投資家として対話のテーマにすることは意味あると思います。世界的には「メダカ」のような存在ですが、メダカであるからこその動きができるはずですから。
価値を創る。仮に経営者であろうが、従業員であろうが、取引先であろうが、顧客であろうが、社会であろうが、株主であろうが、そして、「株価」であろうが、価値を創ることにはメリットがあり、つながる共通の接点になるでしょう。