<プレゼン抄訳>東レ株式会社「10年、20年視点の経営を目指す」

東レ株式会社 
IR室長 神山 健次郎 様
「10年、20年視点の経営を目指す」

私どもの企業文化と、それを実現するための経営力という観点から、2つの事例を挙げてみました。
まず経営方針の根幹を為すものとして、「新しい価値の創造を通じて社会に貢献します」という企業理念を1986年に設定しました。また経営基本方針として、株主の皆様をはじめとするステークホルダーと、それらの方々を包含する社会に目線を合わせて、新しい価値を創造し続けてきました。

弊社は素材メーカーであり、弊社が作った製品を、さまざまなメーカーがいろいろな形で加工し、最終製品に仕上げることによって初めて、皆さんの手元に届きます。したがって今後も、成長し続ける分野に継続して先端素材を提供すると共に、サービスを付加することによって、社会的課題を解決するモノづくりを進めています。たとえば、ボーイング787の機体に使われる炭素繊維や、リチウムイオン電池の材料などは、その代表的なものです。こうした素材を開発、製造することが、東レの社会貢献なのです。

私たちは、経営にあたって長期的視点を持つようにしています。今、長期ビジョンが進んでいるのですが、これは2020年を見据えています。10年後の世の中がどうなっているのか。社会的課題はどうなっているのか、それを解決するために我々はどうあるべきなのかを考え、それを3年ごとに刻んで、具体的な課題を設定し、取り組みを進めて生きます。

今、進めている中期経営課題では、第1にグリーンイノベーション事業で、地球環境問題、資源エネルギー問題を解決するための素材を伸ばしていきます。第2がライフイノベーション事業です。医療問題は日本だけでなく、他の先進国、新興国にも将来的に大きな課題になってきます。医療の質向上や医療現場の負担軽減を含めたイノベーションを、進めていきたいと考えています。
いずれも長期的な問題ですが、例えば今、我々の事業の中核となっている炭素繊維は、1960年代から研究を始め、1971年に事業化し、ようやくここまで伸びてきました。こういう10年、20年といった長期視点の経営を、これからも目指していきたいと思います。