コモンズ30塾統合レポートワークショップASVレポートを読み解く「味の素」をお招きして
2022年11月29日(金)、投資先企業味の素をお招きし、統合レポートワークショップを開催しました。
味の素株式会社は、今年4月に藤江太郎氏が新社長として就任されました。
西井前社長が取り組まれたASV(Ajinomoto
Group Shared Value)経営と、「アミノ酸のたはらきで食と健康の課題解決」という「志」を引き継ぎ、味の素グループの企業価値を飛躍的に向上させることが使命であると明言しています。
今年からこれまでの「統合報告書」をASV経営の考え方やそれに基づく活動を伝えるための報告書と位置づけ「ASVレポート」へと改称しました。
味の素(株)ASVレポートより抜粋 |
当日は、IRグループ長の梶さまとレポーティンググループ長の伊沢さまより同社の概況や創業来の取り組みについてお話しいただきました。
IRグループ長 梶さま |
レポーティンググループ長 伊沢さま |
私たちにとっては、冷凍食品などでおなじみですが、食品事業は売り上げの7割で、3割はアミノ酸など食品原料を販売する事業などとなっています。
また、食品事業においての海外売上比率は7割に上り、なんと、冷凍餃子の売り上げは、海外での売り上げが日本を上回るまでになっているそうです。
また、我々が目に触れる機会は少ないのですが、医薬品の製造受託事業やなども行っています。また、アミノ酸を作る過程でできた副産物から生まれた半導体材料は今や、事業利益率50%を誇る高収益事業に育っています。
今回のASVレポートでは、まず、新社長に就任された藤江社長のメッセージをしっかり出されたとのこと。また、非財務の強みや資産が会社全体の強みにつながっているのかをストーリーとして伝える、ということに注力され、特に人的資産への取り組みについてはより重点的にページを割かれたそうです。
トークセッションでは、経営や会社の変化や、人的資産への取り組みを中心に話が進みました。
西井前社長時代からの改革が、藤江社長に引き継がれ、例えば意思決定のスピードが増していること、また議論がよりフラットになってきており、組織横断的な取り組みがどんどん生まれてきているそうです。
アナリストの末山からは、同社のESGへの取り組みは日本企業の中でも特にトップグループであると評価しているが、特に「S」については従業員エンゲージメントをKPIとして持っている点は他社にも例が少なく、また高い目標に対してどう取り組んでいるのかという質問をさせていただきました。従業員エンゲージメントの測り方自体を少しずつ進化させていることや、会社の取り組みへの共感や働き甲斐を高める工夫を行っているとのことでした。
その後、会場では実際の統合レポートを手に取りながら、社員の方にも議論にはいっていただきワークショップを行いました。
「伺った話だと若手の活躍が目覚ましいと感じたが、ASVレポートの中では若手があまり登場していない」
「無形資産(人的資産等)への取り組みが、ROICにどうつながっているのか、工夫は見られるが、やはり読み解くのは難しいと感じた」
といった声が出ていた一方、
「(今日対話をさせてもらっている)社員さんの熱意がすごい」
といった対面だからこそのライブ感のある対話となりました。
セミナー後に寄せられた声としては
「自分にあった固定観念が取り払われた感覚です。超大手企業にこれほどの成長性がありこれほどのチャレンジ精神があることを初めて知りました。」
「パーパスの浸透の努力、特に「講話」から「対話」への変化が印象に残りました。」
など同社の変化を感じる対話の場となりました。
ぜひ、アーカイブ動画もご覧ください。
https://youtu.be/9CBl_tpIpmM