未来予想図 3:『CYBERDYNE』という会社
未来予想図3:『CYBERDYNE』という会社
2016-12-07-WED
「ザ・2020ビジョン」運用開始以来、ファンドで投資を続けている『CYBERDYNE』社が開発したロボット治療機器「HAL」。
身体機能を改善・補助・拡張・再生することができる世界初※のサイボーグ型ロボットです。
(※)WIPO(世界知的所有権機関)にて、本国際特許はNotable Inventionに認定
具体的には、身体にHAL®を装着することで、「人」「機械」「情報」を融合させ、身体の不自由な方をアシストしたり、いつもより大きなチカラを出したり、さらに、脳・神経系への運動学習を促すシステムです。仕組みを簡単に説明しよう思います。
HALは、脚や腕などの身体に装着することで、身体の不自由な動きを補助したり、いつもより大きなチカラを出したりするだけでなく、脳・神経系への運動学習を促す世界初のサイボーグ型ロボットです。 HALは、脳から発せられた微弱な電気信号を読み取ることができる独自開発(特許取得)されたセンサーによって、装着者の「どんな動きをしたいと考えているのか」を正確に認識することができます。そして、その認識した信号に合わせて、HALはモーターを自動的に制御して装着者の動きを補助します。しかし、HALの機能はそれだけではありません。脚や腕などを思うように動かせない 人に健常な 動作を習得させる機能も備えています。実は後者の機能こそ、HALの凄さといえるのです。人が身体をスムーズに動かすには、脳が一方的に筋肉へ指示を発するだけでは足りません。脳は自身が発した信号によって、どのように身体が動作したかを確認する必要があります。 つまり、HALを装着して、”歩けた”という感覚を脳にフィードバックすることが極めて重要なのです。これにより、脳は”歩く”という動作を改善させていくために、信号の出し方を自ら学習することができるようになります。そして最終的には、HALなしでも、”歩く”という動作が できるようになるのです。動作に対する正解を脳に教えてあげることのできる世界で唯一のロボット、それが「HAL」の凄さです。
2016年11月27日、 受益者限定「CYBERDYNE(サイバーダイン)スタジオ訪問ツアー」を開催しました。同社は新規公開時(2014年3月)から投資している主力企業なので、その理由を受益者の皆様と共有する目的でツアーを企画しました。ツアーでは、スタジオのスタッフの方からのご説明を頂き、参加者は実際に「HAL」を装着して動作を体験しました。そして、メインイベントである同社取締役CFOの宇賀様より足元の業績動向と 、中長期的な取り組みの説明を頂きました。
実は、機関投資家が参加する決算説明会では、足元の業績動向など短期的な株価動向に関わることに質問が集中する ことがよくあります 。同社であれば、「いつ米FDAによる承認が取得できるのか」や、「日本においての医療用HALの稼働状況はどうか」などの質問です 。しかし、我々が運用する「ザ・2020ビジョン」は、5~10年の中長期的な視点での企業価値の変化に着目しているため、足元の業績動向も重要ですが、同時に中長期的な取り組みも極めて重要です。
宇賀CFOから説明のあった同社の主な中長期的な取り組みとは、HALをはじめとするサイバニクス技術を活用した革新的な製品(医療用・福祉用、介護作業用、バイタルセンサーなど)を創出して「重介護ゼロ®社会」を実現すること、そしてそれらから生み出されたビッグデータを自ら開発するスーパーコンピューターで解析することで、政府が10年後の実現を目指す「Society 5.0(超スマート社会)」においてサービスプラットフォーマーとしての地位を確立することです。
超高齢社会に突入した我が国は、プライマリーバランスの均衡化のため、膨れ上がる介護・医療費を抑制する手立てを早急に打たなくてはなりません。こうした状況において、同社が果たす役割は、短期的にも中長期的にも必要不可欠な存在であると考えています。引き続き、同社の取り組みに注目していきたいと思います。
運用部 シニアアナリスト
鎌田 聡