投資には、やはり求めたい+α(アルファ)

おはようございます。 渋澤健です。

日曜日の日経ヴェリタスは「ここが変だよ 日本株」という特集を組みました。日本企業の稼ぐ力は向上しているのに、上場企業のPBR(株価純資産倍率)が解散価値(1.0倍)を若干上回る1.4倍に留まっています。米国上場企業は3倍強で、ブラジルの1.8倍より見劣りするという結果になっています。

脱・万年割安へ向けて、日経ヴェリタスは3つの処方箋を提案しています。つまり、下記の三つの「変」を是正すべきということです。

・投資家編(変)
・企業編(変)
・制度編(変)

日本株式のホームマーケットを形成する母国の投資家が短期志向、および、パッシブ運用(インデックス型、ETF)に偏っていることがひとつの「変」です。

しかし、コツコツと長期的に積み立てる長期投資は、物静かに、確実に増えている感じがしています。土曜日には横浜銀行の横浜駅前支店で開催されたセミナーの講師を務めましたが、「つみたてNISA」が始まったことで、若手・現役世代の参加者が多く、また半分ぐらいを女性が占めていました。

数年前の銀行支店が開催する投資セミナーと比べて、あきらかに聴講者の層が広まっているのです。まだ市場規模と比べると「微力」な存在です。しかしながら、「微力」な存在が積み上がれば、市場の原動となる「勢力」になることに間違いありません。

一方、長期投資の運用コストが安いことだけに着眼する投資家が、ETFやインデックスファンドばかりを好む傾向があります。運用コストが安いことは投資家にとってメリットであることに全く異論ありませんが、結果的に、「よい」会社にも、「よくない」会社にも、「悪い」会社にも、全てに投資していることを認識していただきたいです。

会社の良し悪しを選別しない投資家は、市場の役目の一つである価値発見機能に参加していないことになります。メリハリが効かない資本市場で、ただただ時価総額が大きい会社へ多めに投資金が投入されることになります。

そもそも「よくない」「悪い」会社に自分の大切なお金が使われていることが構わないのでしょうか。私だったら、気持ち悪いです。

また、ETF・インデックスファンドの+α(アルファ)はゼロであるということも理解していただきたいです。α(アルファ)の重要性について、投資信託の選別ではあまり一般的に取り上げていられませんが、私が20年前に勤めていたヘッジファンド業界ではファンドを選考する際では常識でした。

α(アルファ)とは超過リターンのことを示します。つまり、市場が±0%の時に、分析対象となっているファンドの運用パフォーマンスにはどれくらいの超過リターンがあるかを示す数値です。

究極のアクティブ型ファンドとは、市場の感度の数値であるβ(ベータ)が0(無いという状態)で、α(アルファ)がしっかりと取れていることです。このようなファンドは、市場全体の動きに関わらず、絶対的なリターンが期待できるファンドとなるので、ヘッジファンドがもともと目指すところであります。(でも、実際は、それが出来ていない場合がほとんど。)

ETF・インデックス型ファンドのβ(ベータ)は1.0です。市場が1%上昇すれば、ETF・インデックスは1%上昇し、市場が1%下落すれば1%下落するという関係です。β(ベータ)が1.0から0.0に向かうほど、市場の感度が下がるということはリスクが減っているということになります。一方、1.0以上になると市場の感度が高まり、つまり、レバッレジがかかっている状態でリスクが高まっている状態を示します。

つまり、ETF・インデックス型ファンドの安価な信託報酬が買っているものは、αが0で、βが1.0のファンドです。一方、アクティブ型ファンドが目指すのは+α(超過リターン)があること、そして、そのリターンの源泉は市場上昇の動きではなく、むしろ、リスクを控えている、βが1.0より低いことです。そのために、アクティブ型ファンドの信託報酬を支払っているのです。

もし、アクティブ型ファンドにα(アルファ)がなくて、β(ベータ)も1.0以上であれば、ETF・インデックス型ファンドと比べて高い信託報酬の価値がない。そのような判断になります。

ちなみに、信託報酬を差し引いた後のコモンズ30ファンド(分配金再投資)の運用パフォーマンスをTOPIX(配当込み)と比較した場合、ファンド設定来の9年間のα(アルファ)は約4%でβ(ベータ)は約0.8です。市場と比べてリスクを控えながらも、しっかりと超過リターンの実績があります。

これは、将来の実績を保証するものではありません。ただ、そのような過去の実績があるということは、今までコモンズの「お仲間」から頂戴した信託報酬に値する仕事をしてきたことになります。

企業編(変)や制度編(変)についても言いたいことありますが、ここでは今日は、これまで。

ご関心があるようでしたら、日経CNBCの火曜日21時30分(水曜日20時30分に再放送)から放送される日経ヴェリタストークをご覧ください。私がコメンテーターとして登壇する予定で、たぶん、このあたりについても質問があるはずです!