成熟した株の時代であるかこその厳選型アクティブ投資

おはようございます。渋澤健です。

2019年が閉じて、これから新しい年を迎えます。
30年前の今日、新年早々に日経平均の4万円突破は確実であるという鼻息が荒かった時代でした。でも、そうならなかった。「プロ」の予測と言っても、そんなものです。
当時では60倍を超えるPER(Price Earnings Ratio/株価収益率)を正当化していましたから。


昨日(12/29日曜日)の日本経済新聞の一面記事「バブル30年 成熟した株」は、長期投資家にとって必須の読み物なので、是非、一読ください。ニッセイ基礎研究所の分析によると、PER60倍が正当化されていた30年前の日経平均は15倍が適正水準で、算出された株価と大きく乖離していました。

一方、現在の日経平均のPERは14倍なので、ほぼ適正水準であると言えます。2004年ぐらいから、日経平均株価指数は概ねPER15倍の適正水準に沿って推移してきました。

今後も長期投資家が見極めるべきことは、その「E」(=Earnings/企業の収益の水準)の行方です。ただ、景気の行方が曇り気味のところ、その「E」の成長エンジンは5Gへの期待など一部の業種に限られている側面があります。

また、2004年以降から実施されている超金融緩和政策が「E」を支えてきました。そういう意味では、「E」が超金融緩和依存症になっているかもしれないことも気にかかります。

一方、PBR(Price Book-value Ratio/株価純資産率)と10年後の騰落率で比較すると現在の1.17倍は「割安」の領域であり、「割安の時の長期投資は報われやすい」という分析は安心材料になります。

ただ、こちらも気をつけた方がよいことがあります。総額で算出されるPBRの水準だけでは、PBRが極端に低い銘柄と極端に高い銘柄が混在し二極化しているようなときも個別銘柄の状態が見えないということです。

要は、マクロ分析だけでは実態がしっかりと見えないのが株式市場の現状ではないでしょうか。運用コストが安いETFやインデックス型ファンドが注目を集めている昨今ですが、実は、「成熟した株」の時代では、「全体」に投資するのではなく、個別銘柄を吟味する厳選アクティブ型の長期投資の目利きが重要になります。また、現在の「プロ」達は、株式市場の何の状態を正当化しているのか。

このチャレンジにコモンズ投信は応えなければなりません。

本年は大変お世話になりました。
どうぞ素晴らしいお年をお迎えくださいませ。