世界情勢の不確実性が高まるときの心構え

おはようございます。 渋澤健です。 週末はあいにくな天気の中、さくら開花前線も北上してきたので、満開を楽しまれた方々も多かったと思います。我が家ベランダでも、5年ぐらい前に鉢に埋めたサクランボの種から細長く伸びている木から今年も花がポッと咲いてくれました。


このようなホッとするひとときから世界情勢へと目を向けると。。。。

シリア政府が化学兵器を使用したという疑いで、トランプ大統領がシリアの軍事拠点へミサイル攻撃を指令しました。その攻撃を、中国の習近平の自分のフロリダの別荘に招いているタイミングとまるで合わせて意図的にメッセージを示しているように。また、米海軍の空母を朝鮮半島に向けて航行しているというニュースも週末に流れました。そして、ストックホルム、エジプトなど世界各地でテロ事件が勃発しています。心地がよくないです。



金曜日の段階では、株式市場や為替市場はそれほど動揺していないように見えます。景気や企業業績が堅調の中、安全保障にかかわる事態に対してどのように反応して良いのかわからないのかもしれません。

しかしながら、不確実性が高まっていることは確かだと思います。

では、このような時に長期投資家は、どのように対応すべきか良いのか。

本日、掲載された日本電子版のコラムでも書きましたが、私は「価値」に着目すべきだと思います。「価格」(市場)だけを見てると変動に惑わされてしまうからです。

逆説に聞こえますが、長期投資家の心構えとして大事なのは、市場が上がることではなく、下がることを前提にすることだと思います。だから、「価値」がある会社に投資対象として着目するのです。

でも、投資の成功率を高めるには、不確実性が高まっているときであれば投資ポジションを清算して現金化すべきでは?

このような考えもあると思います。短期的な収益を狙っているトレーダーであれば。

トレーダーであれば、一旦現金化しても、状況に応じてすぐに再投資することができます。それが、彼らの仕事であり、本業ですから。

でも、トレーダーという本業(プロ)であっても、相場観を外すことが多々あります。不安が高まったので、現金化したら、その後、逆に市場が上昇して高値で買い戻す。こんなことはトレーダーの日常でよくあることです。

こつこつと積み立てて長期投資する皆さんの立場は異なります。他の本業が合って、日々そちらの方へ注力するということが普通です。片手で相場を見ながらでは、本来の仕事がはかどるわけないですね。

だったら、コモンズ30ファンドのように「価値」がある会社に投資しているのであれば、仮に「価格」(株価)が下落しても嘆くことありません。だって、「価値」があるものを安く買えるのであればうれしいはずです。長期投資にコミットされているのであれば、「山あり、谷あり」は当然のこととわかっているので、谷に落ちたとしても、心が動揺することなく、次回の山を楽しみにこつこつと買い続けられます。

成敗は短期ではわかりません。


人生の行路は様々で時に善人が悪人に敗けたごとく見えることもあるが、長い間の善悪の差別は確然とつくものである。

ゆえに成敗に関する是非善悪を論ずるよりも先ず誠実に努力すれば公平無私なる天は必ずその人に幸いし運命を開拓するように仕向けてくれるのである。」

一時の成敗は長い人生、価値の多い障害における泡沫のごときものである。

これは、渋沢栄一の代表作である「論語と算盤」の「成敗は身に残る糟粕」という節からの引用です。

目先の良し悪しで成敗をわからない。しかし、長期的な成果も当然、現在から見えない。だったら、誠実に努力するしかない。

およそ100年前からの教えであり、その後、日本と世界には色々なことがありました。だからこそ、長期投資にぴったりな教えだと思います。

未来へ期待の得て種を埋めて、寒くなっても、強風が吹いても、水を与え、日に浴びさせ続ければ、いずれ成長を実感できる時が訪れるのです。