リテラシー向上が急務です

おはようございます。渋澤健です。

先週の金曜日に東京証券取引所で日本銀行の雨宮正佳副総裁とご一緒に登壇するという貴重な機会をいただきました。とても気さくなお人柄で、控室の談話も楽しく、第三部の対談のキャッチボールがしやすかったです。テーマは「日本人の金融リテラシーの現状と向上」でした。


雨宮副総裁が講演でご紹介された日銀のアンケート結果に衝撃を受けました。

①インフレ:「高インフレの時には、生活に使うものやサービスの値段全般が急速に上昇する」

答えは当然「正しい」と思いますね。ただ、日本の正答率は62%… (ちなみに、香港97%、カナダ92%)

②複利:「100万円を年率2%の利子がつく預金口座に預けられました。それ以外、この口座への入金や出金がなかった場合、5年後の残高はいくらになっているでしょうか(税金)は考慮しない」

選択肢は「110万円より多い」「ちょうど110万円」「110万円より少ない」「上記の条件だけでは答えらない」「わからない」

複利とは利益を再投資する「雪だるま」ですから、正解は「110万円より多い」ですね。答えられたでしょうか。

日本の正答率は44%…(米国75%、ノルウェー65%)

③分散投資:次の文章が正しいかどうかをご回答ください。「1社の株を買うことは、通常、株式投資信託(何社かの株式に投資する金融商品)を買うよりも安全な投資である」

日本では正解の「間違っている」を選択したのは47%で同程度が「わからない」を選択しています。(韓国84%、ヨルダン80%)

全部で11問あるようですが、OECD共通比較で日本人はなんと22位…



唖然とするショッキングな結果です。しかし、これが1864兆円の金融資産(2019年9月時点)を誇る日本人の金融リテラシーの実態です。金融資産の過半数以上(986兆円)を、まるで守銭奴のように現預金として抱え込んでいることと無関係ではないでしょう。

雨宮副総裁との対談で私は日本人には「時間」という概念が乏しいことが金融リテラシーの欠落と関係があるのかもしれないと指摘しました。

日本人は神社に行くと「チャリ~ン、ジャラジャラ、ポンポン」と願い事しますね。これは「神様オンデマンド」です。それまでの日々の行いに関係なく。一方、西洋諸国の宗教観では人間の日々行いは神から見られていて、その積み重ねで天国か地獄にいく、という時間軸に沿った「行い」と「結果」に因果関係があります。

時間軸という概念が無ければ、将来のインフレ(物価が上がり=貨幣価値が下がる)はピンとこないでしょう。複利の雪だるま効果もわからない。そして、見えない分散より、目の前に見える1つの株式の方が良い。

時間軸の感覚を養うこと=金融リテラシーの向上という意識を高める必要があると改めて痛感しました。

ただ、良い傾向もあります。この急上昇しているチャートを見てください!


これは、日本銀行システム情報局が公開している「知るぽると」という暮らしの役立つお金の知恵・知識情報サイトです。アクセス数が去年の「年金2000万円問題」以降に上昇に転じ、それが2020年年初まで続いているというトレンドが見えます。これは良いですね!

金融リテラシーに加え、昨今では感染症リテラシーの向上も必須です。こちらでは、入念な手洗いとうがい、マスク着用、そして何よりもしっかりと休んで体調を整えることがポイントのようですね。どうぞお大事に!