<トークセッション>株式会社デンソー「アライアンスに必要なすり合わせの考え方」
2019年2月20日水曜日
コモンズ30塾「企業との対話」~統合レポートを読み解く~株式会社デンソー セミナーレポート【トークセッション】
杉浦正則さん(株式会社デンソー グローバル戦略部長)
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渋澤健(コモンズ投信株式会社取締役会長)
「アライアンスに必要なすり合わせの考え方」
コモンズ投信会長渋澤健 |
と言いますのも、まさに今日の日本経済新聞で統合レポートを取り上げた記事があり、企業の非財務的な価値に目を向けることの重要性が高まっていると書かれていました。今後、さまざまな国際機関が、非財務的な価値に関するスタンダードを作っていくことになるでしょう。
また、それと同時に今、デンソーとアイシン精機、アドヴィックス、ジェイテクトの自動車部品4社が、自動運転の統合制御ソフトウェアを開発する会社を、共同出資で立ち上げます。そのニュースを聞いた時に思ったのは、財務的な価値のところでさえ、違う会社が一緒になるのは結構大変なことではあるのですが、非財務的な価値は数値化できないだけに、さらに大変なのではないかと察するわけです。たとえば企業文化なんてその典型例でしょう。そこをどうすり合わせていくのか。一緒に仕事をしていく以上、そこは絶対に避けては通れないわけです。
そこで伺いたいのが、このように企業文化が異なる複数社のアライアンスをする時、特に非財務的な価値のすり合わせは、どのように行うのでしょうか。
杉浦 弊社はここ数年、アライアンスという観点では出資や提携を急激に増やしてきましたが、まだ具体的な成果が出ているものは多くはありません。まさに今は、成果を出すために一所懸命に取り組んでいる真最中です。
ただ、実際にアライアンスを行っていて思うのは、目的を共有しなければならないということです。決して、自社のことだけを考えていたのでは、決してアライアンスは成功しません。これは3社アライアンスでも、4社アライアンスでも同じことで、皆がウインウインウインにならなければならない。
どうしても議論していると、自分たちの目標を達成するために、自分たちの利益のためにと考えてしまいがちですが、これではうまくいくのもうまくいかなくなります。シナジー効果とよく言いますが、一緒になることで、すべての会社が成長していくという視点がないと、アライアンスは成功しません。
トークセッションの様子 |
杉浦 そうですね。先ほど申し上げましたように、弊社の技術だけで自動運転に必要な技術要素を全部カバーすることは出来ませんし、ソフトやAIの領域においては、次から次へとスピードを持って、新しい技術を必要としていますので、アライアンスを組むことが必要になってきます。
そうなると、企業文化も自分のところに固執するのではなく、やはり少し変えながら、他のアライアンスを組む企業とすり合わせていかなければなりません。良いところは残しつつも、新たな時代に対応するために会社を変えていくという刺激も必要だと思います。
渋澤 これまでの自動車は内燃機関で、ガソリンや軽油で走るというイメージでしたが、これからは電気自動車もどんどん出てくると思います。さらに運転も自動化されていきます。そのなかで、デンソーはどのように変わっていくのでしょうか。
質問に答えるデンソー杉浦さま |
なんというか、ソフトが全てを決めていくとでも言うのでしょうか。すり合わせの工程を省いて、ある時、突然としてポンと新しいものが組み立てられていくイメージですね。そうなると、これまでのように4年、6年という時間をかけて新しいものを開発しているのでは、世の中のスピードについていけなくなります。
iPhoneなんて毎年、新しいモデルが登場しています。もちろん、自動車の場合、そこまで頻繁にモデルチェンジをするわけにはいきませんが、そのくらい変化が早くなっていることは意識しなければならないでしょう。
ただ、スマートフォンが壊れても、恐らくそうそう使っている人の命に関わるような問題にはならないと思うのですが、自動車の場合、走っていたのが急に停止してしまうとか、別な方向に行ってしまうということが起こった時、下手をすると乗っている人の命に関わる重大な事故を引き起こす恐れがあります。なので、開発スピードはもちろん大事なことですが、同時に品質をいかに引き上げていくかということも、重視していく必要があると認識しています。
渋澤 おっしゃる通りだと思います。今日はどうもありがとうございました。
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