元ヘッジファンドの伝道師からの提案

おはようございます。渋澤健です。インフルエンザ推定患者数が過去10年で最大の228万人という報道がありましたが、皆様、いかがでしょうか。どうぞご自愛ください。インフルエンザ・バリアを張りたいですね。

さて、土曜日の日経新聞のトップ記事に、ちょっとびっくりしました。このようなニュースを大きく取り上げた意図は何だったのか。


カネ余りに「敗北」 膨らむリスクのマグマ

おそらく、その意図とはヘッジファンドそのものではなく、「カネ余り」の悪現象として捉えていることでしょう。つまり、超金融緩和により、全体が押し上げられ、市場の「価格発見機能」が失われているパッシブ化です。それには、リスクがあるということの警戒です。

私は、今では長期的なつみたて投資のメッセージを伝えるために日本全国へ巡回していますが、実は2000年代の前半まで「ヘッジファンドの伝道師」と呼ばれていたこと、ご存知でしたでしょうかw
1980年代のバブル崩壊で日本の機関投資家の存在感が薄れる中、ヘッジファンドの存在感が増してきて自分が最初にヘッジファンドと接点を持ったのは1991年ぐらいでした。その後、彼らの存在に魅了され、自分もヘッジファンドで働きたいという希望が叶ったのは1996年。大手のグローバルマクロのヘッジファンドでトレーディングの仕事に携わり、翌年には東京駐在員事務所の代表を務めました。
それまで自分が経験した米系インベストメントバンクとは違う世界が広がってました。少数精鋭でも、金融市場で大きな仕事ができることがわかりました。ヘッジファンドで仕事をしなかったら、コモンズ投信という少数精鋭の運用会社を立ち上げるという発想は芽生えなかったと思います。

元々、ヘッジファンドは金融業界のベンチャーです。小資本で、実勢もない。だから、儲かったら成功報酬を与えようという考えです。また、ボリュームを増やして稼ぐのではなく、運用パフォーマンスを重視する顧客と目線を合わせるという意味でも成功報酬制は合理的でした。
2001年に独立して、ヘッジファンドなど「オルタナティブ投資」を日本の機関投資家にご案内するアドバイザリー事業を始めました。しかし、少々気になる傾向がありました。ヘッジファンドが雨の後のタケノコように増えて、「なんちゃってヘッジファンド」も目にするようになりました。目当てが高報酬であったことは間違いありません。
数が増えると収益チャンスが減る。市場の非効率性を収益源泉としているヘッジファンドでは特に、これは当たり前のことです。

外交官・ジャーナリストであったAlfred Winslow Jonesが世界初のヘッジファンドを設立したのは1949年です。1966年のフォーチュン誌に、その前の10年間、Jones氏のヘッジファンドの運用実績は670%であり、同期間のミューチュアル・ファンド(投資信託)の358%を多く上回ったという記事が掲載されました。その後、それまで一般的に知られていなかったヘッジファンドの設立が増えるようになり、数が増えて、運用実績が伸び悩み、多くのヘッジファンドが1970年代には黄昏を迎えました。しかし、淘汰されることなく生き延びたヘッジファンド・マネジャーもいました。伝説的なGeorge Soros氏です。

とうことは、これから多くのヘッジファンドが閉鎖される可能性がありますが、その淘汰を生き残るヘッジファンド・マネジャーもいるということでしょう。

コモンズ投信が投資信託会社として発足したのは2008年。その前後に多くの独立系投信会社が設立されました。「価格発見機能」や「市場の非効率性」という意味ではヘッジファンドと同じと言えるかもしれません。

しかし、ヘッジファンドの存在意義とは、年次のマネジメント・フィーおよび成功報酬を差し引いた後の「ネット・リターン」の絶対的収益、つまり、株式市場の動きにかかわらず毎年プラスになっていることです。
そういう意味で、単年度、(上昇している)株式指数よりヘッジファンドが下回っているということは本質的ではなく、マイナスにならない、つまり、リスク・フリー・レート+リスク・プレミアム(ハードル・レート)より高いことが本来の目的です。株式指数との比較ではないのです。リスク・フリー・レートが下がっているのであれば、ヘッジファンドのリターンも下がるのは当たり前と正当化できます。
そのリスク・フリー・レートがゼロ(か、マイナス!)の場合、高いマネジメント・フィーおよび成功報酬を支払う意味があるのか。この疑問にヘッジファンドは応えなければなりません。

一方、コモンズ30ファンドの場合はマネジメント・フィー(=信託報酬)は税引前0.98%で、成功報酬はありません。そして、我々が目指す投資とは、単年度の絶対的収益ではなく、長期的な絶対的収益です。
つまり、「価格発見機能」や「市場の非効率性」に加え、「持続的な価値創造」が収益の源泉となります。価格発見機能が失われたとしても、持続的な価値創造する企業は残るであろうという考えです。
長期的な年率化した運用実績が(信託報酬後)7%以上であれば、それなりの仕事をしていると思って、ファンドを立ち上げました。十年を経て、コモンズ30ファンドの年率化した運用実績は11%台です。もちろん、これは、これからの10年の実績を保証している訳ではありません。カネ余り現象、価格発見機能が失われていく株式市場のパッシブ化は、コモンズ投信にとっても気になることです。
しかし、持続的な価値創造が可能なよい企業に長期投資を託すこととは、『黄昏になっても、夜明けは再び訪れる』という「未来を信じる力」を用いて前進することです。是非とも、ご一緒にどうぞ!