いつから始める・・? いま、でしょう!
おはようございます、渋澤健です。先週の木金は久しぶりのバンコク。渋沢栄一の経営思想である「合本主義」を新興国の持続的な資本主義の構築に応用できるかという学会プロジェクトに参加しました。二日目にはTo Give =To Get ?The Role of.Business in Societyという公開セミナーのパネルディスカッションに登壇しました。
質疑応答では「CSRは企業規模を計って実施」すべきかという問いかけが会場からパネルに向けられました。
これは、「いつから長期投資を始めるべきか」という質問と似ていますね。
ある程度の企業規模になってからCSRに取り組むべきだ、ある程度お金が溜まってから投資すべきだ、という考えが普通だと思います。
CSRも長期投資も政府が定める法律ではないので、それぞれの考え方があっても結構だと思います。
で、私は、このように考えます。
コモンズ投信を設立した理由は社会的インパクトを与えたいという望みがあったからです。そのインパクトとは、個々の日本人のエンパワーメントです。そのために、将来の蓄えのサプリメントを提供するだけではなく、気づきの場、学びの場を提供することも不可欠だと思っています。
コモンズ投信の場合は、一銭も収入がないときから、収入のおよそ1%は社会起業家を応援するプログラム(コモンズSEEDCap)の財源とすることを決めていました。彼らたちは「今日よりも、よい明日」というコモンズが掲げるビジョンに向けて協働してくれるパートナーです。彼らを応援する出資は、形式上では「寄付」ですが、実質上、「社会貢献」ではなく、コモンズ投信の「本業」であると考えています。つまり、「と」の力に努めているのです。
その本業の選考プロセスで重要なイベントである「社会起業家フォーラム」が今度の土曜日(1日)の午後に開催されますので、ぜひ、ご参加ください! 懇親会も、設けています!
いやいや、こういうことは運用会社がやるべき領域ではない。あるいは、それなりの規模になってから実践すべきだ。このような考えもあるかと思います。それでも、結構です。それぞれが大事にしている価値観がありますから。
その役割とは、長期投資にとって重要な資源について日本人に気づてもらうことです。その資源とは「お金」だけではなく、実は「時間」です。これも、「と」の力への気づきですね。
失ったお金は、いずれ増やすことは可能です。
ところが、失った時間は、二度と増やすことができません。
金融工学のオプション理論では「時間的価値」と言います。この価値は、毎日、必ず、一日失われる「劣化する資産」なのです。
だったら、与えられた時間を、その時に有効的に活用することが「時間的価値」を高めることへとつながります。
(*理論的にはボラティリティ(変動率)が高まることが時間的価値を高めることになります。ボラティリティ=リスク=避けるものと考えがちですが、実はその考えは正確ではありません。リスク=不確実性という考えが正解です。不確実性ということはダウンサイドだけでなく、アップサイドも含みます。リスクがなければ、リターンはありません。)
時間的価値の観点から社会的インパクトを与えたいと思うのであれば、待つということより、微力でも今から実践した方が有効的になるということになります。微力が「足し算」「掛け算」によって勢力になるということが、そもそも「合本主義」の考えですから。
そういう意味で、長期投資も同じことです。
長期投資とは時間があるときから、早めに実践すべきです。自分が20代~30代のときから、長期投資の考えに触れることがなく、本当に自分自身はもったいないことしたなァと思っています。でも、その時の時間を自分が取り戻せません。
我々それぞれの時間が限られていることは明らかです。しかし、その限られた時間を次世代(自分の子供・孫への長期投資、あるいは社会全体への寄付)に使ってつなげることは、自分の時間の「無限化」にもなりえる。こんな考えもできると思います。
だから、いつから始めるべきか・・・?
私の答えは、今でしょう!