原点回帰による維新のとき

おはようございます。渋澤健です。

昨日販売の日経ヴェリタスに掲載されたコラムで今年への想いを書きました。


今年は「明治150年」。そして、「つみたてNISA」が始まります。

今までの金融業界の常識とは「お金が余っている人」と「お金が必要とする人」をつないで手数料を稼ぐフロー・ビジネスになっていました。一方、「つみたて投資」が示唆しているのは、業界の常識の原点回帰です。

つなげて手数料を頂くことに意味がないわけではありませんが、それだけを重視して依存するビジネス・モデルは、特に地域と密着する金融機関の原点でしょうか。

日本初の銀行をつくった渋沢栄一は「銀行は大きな河のようなものだ。銀行に集まってこない金は溝に溜まっている水やポタポタ垂れている滴と変わらない。せっかく人を利し国を富ませる能力があっても、その効果はあらわれない」と当時のスタートアップ・ベンチャーであった「銀行」の存在感を示しました。

特に地域金融機関は、「一滴一滴の滴から大河となる」地域と共に繁栄するストック・ビジネスが原点にあるはずです。そして、そのストックは時間をじっくりとかけて積み上げるものです。

今年を「銀行維新」という意気込みで積極的に「つみたてNISA」に取り組んで将来へのストックを構築した銀行と、仕方なく形だけつくっている銀行の20年後の差は歴然としているに間違いありません。

そのストック・ビジネスの再構築に、コモンズ投信はステークホルダーとしてお役に立ちたいと考えています。つみたて投資を全国に広めることはコモンズ投信の設立理念です。そういう意味で、「つみたてNISA」をきっかけに地域金融機関がコモンズ30ファンドの取り扱いを始めていただいている傾向に大変うれしく思います。

ただ、気になっていた経営課題もありました。「つみたてNISA」対象ファンドになるためには、設定5年以上で資金流出の月が1/3以内であるという条件があります。コモンズ30ファンドは問題なくクリアしていた条件でしたが、2013年12月に設定したザ・2020ビジョンが設定5年に向けて、条件を満たすことが難しくなってきたことです。

資金が月次に流出し続けるということは、色々な理由があると思います。
ただ、平たく言えば、少なくない受益者、つまり、「今日よりもよい明日」を共に創るステークホルダー、コモンズ投信の「お仲間」たちからの信頼が失せているという客観的な現実に尽きます。

コモンズ投信の取締役会では、この予兆が見えていた1年ぐらい前から重大な経営課題として議論が繰り返されました。半年ぐらいのレビュー期間を経て、経営が下した決断は木曜日(2018/1/11)のプレス・リリースおよび金曜日(2018/1/12)の本ブログで伊井からのメッセージでお伝えした内容のとおりです。

原点回帰によって「銀行維新」を期待するのであれば、コモンズ投信の原点回帰も、「つみたてNISA」が発足する「明治150年」のタイミングで不可欠です。

「コモンズらしさ」とは何か。
それをしっかりと、わかりやすく表現するために、今回のザ・2020ビジョンの再構築に手掛けることにいたしました。

ザ・2020ビジョンは「変化」に投資するファンドという位置付けです。これから、ザ・2020ビジョンは原点回帰による維新を経て「変化」して新しい時代を拓くことに努めます。
どうぞ、ご期待ください。