日本経済が黄金期に入った
おはようございます。渋澤健です。二週間連続で連休があると、ちょっとゆとりを感じますね。皆さま、いかがお過ごしでしょうか。
さて、UCLA大のMBA時代の一年先輩でいつもお世話(授業の勉強より、どちらかというと芝生の読み方の勉強w)になっていた塚崎公義さんの新刊をご紹介させていただきます。
「日本経済が黄金期に入った これだけの理由」
良いタイトルですね!日本には「輝かしい未来」が待ち受けているという前向きなスタンスを経済学者が解くという視点が面白いです。(なぜなら、日本にはミクロ的な取り組みでワクワクすることはたくさんありますが、マクロ的にはそのような感情を覚えないからです。)
コモンズ投信の長期投資「未来を信じる力」とシンクロしている内容が多い本だと思いました。
日本の経済社会のデフレ問題の根源には日本人の「心のデフレ」があるとずっと思っていたので、そこから解かれる処方や考え方は大事です。
長年のお付き合いから、塚崎さんはめちゃくちゃ頭が良くて合理的な方であることを知っていますが、経済学の初心者であっても理解できるように平たく執筆されますので、お薦めです。
いくつか、自分の「頭の体操」になったところをご紹介します。
まず、塚崎さんは「日本政府の財政は破綻しない」と断言されます。また、「財政破綻の定義をしないと議論にならない」と主張されます。
私が財政破綻について思うところは、仮に「破綻」しても、その手前の財政危機に陥ったとしても、国の領土が減る訳でもなく、政府が無くなる訳でもなく、国民の生活が無くなるわけでもない。けれども、国民の資産価値が著しく棄損することが最大なリスクです。
現金の価値が著しく下落する(政府の信用orハイパーインフレによって)ので、現金保有率が高い国民が一番「損」することになります。
では、どうすべきか。塚崎さんは「財産税を課せば良い」と提言されます。
そうですね。私も「お金持ち」に増税すべきだと思っています。でも、それは、まさに「お金」、現預貯金を課税すべきだと思っています。970兆円ぐらい国民は持っていますから!
パターン①(暴論):一定の金額(1千万円?)以上は相続税100%。でも、他の資産はゼロ。こうすれば、停滞しているお金が社会に循環するでしょう。(このお金の循環を促すことが、そもそも「異次元の金融政策」が目指していたところ。でも、家計の現金保有は増え続けるばかりです。この側面では、政策設計に誤りがあったことは明らかだと思います。)
パターン②(やや暴論):生活費のために維持する銀行残高(1千万円?)以上の現預金に年率3%(2%のインフレ目標より高く設定)を課税する。タンス預金や壺に入れて埋めている現金保有者は脱税者と見なす。(ので、タンス預金等をあぶりだす)これも、徐々に、お金の循環を促す策です。
また、塚崎さんは「日本の労働者は勤勉で素晴らしいが、管理職以上はまちまち」と指摘されます。
私も、その通りだと感じています。でも、これは労働者(現場力)が素晴らしいので、管理職以上がまちまちで、今までは、何とかなったということかもしれませんね。
そして、塚崎さんは「終身雇用制は日本向きの制度」「年功序列賃金制が合理的である理由」と評価されています。ただ、終身雇用・年功序列制度があったからこそ、管理職以上になるとまちまちになるという原因もあるかもしれませんね。
ぜひ塚崎さんの新刊を一読ください。きっと良い「頭の体操」になると思います。