今の株価は「割安」か?
おはようございます。渋澤健です。4日(金)に、晴天に恵まれコモンズ投信は今年の事業を開始しました。今年は、影がちょっと忍び寄っている感じもしていますが、寒い季節もあれば、暑い季節もある。雲に覆われて、雨が降っても、その雲の上には必ず青空が広がっています。今年もコモンズ投信の「未来を信じる力」である長期投資にお付き合いください。どうぞよろしくお願いいたします。
さて、9月から現在まで日本の株式市場(TOPIX=東証一部)は20%ぐらい下落していて、純資産倍率(PBR)=1.10倍、株価収益率(PER)=11.4%まで調整しています。PBR=1.0倍は企業の解散価値と言われ、日本株式市場のPERの適切な水準は14~16倍、より広くみて13~17倍と言われています。
平均配当利回り(予想)は加重ベースで2.57%であり、時価総額が大きい企業ーNTTドコモ(4.46%)、三菱UFJ(4.09%)、三井住友フィナンシャルグループ(4.64%)、東京海上(4.79%)、武田製品工業(4.85%)、三菱商事(4.19%)などーであっても4%超です。ゼロ%金利時代では魅力的な水準です。
株式市場が大幅に下落したので、現在はかなり「割安」な状態になっているということが言えます。つまり、企業価値と比べて売られ過ぎという状態です。
また、米連邦準備理事会(FRB)パウエル議長が「迅速かつ柔軟に政策を見直す用意がある」という発言で利上げ一時停止を示唆したことが株式市場の底入れ感へつながるとも言えます。
言えます、が、気を配る必要もあります。「金融緩和」は「燃料」かもしれません。しかし「エンジン」つまり株式市場の上昇の源泉は「各企業の収益」であり、上記の数値で示してある収益の全てが予測であるということです。
その収益の予測が正しければ、現在の株価は割安です。一方、株価の方がが適正であり、予測の方が高すぎて実際は下方修正されるという見方もあります。
株式市場とは企業の収益を源泉とする価値の「斥候兵(せっこうへい)」、スカウトみたいな存在です。これから生じる企業価値(収益)を先読みしてさまよう役目を果たしていて、常にウロチョロします。今年の夏までは、企業の収益性が向上し続けると先読みしていましたが、現在は逆に、これから軟調になると先読みをしています。
したがって、現状の株価が「割安」なのか、「適正」なのか、あるいは、まだ「割高」なのかは企業の今後の収益の展開によります。
そういう意味で、今月中下旬から来月中旬までに米国の12月決算の発表の予定なので、それを見極めながら市場は落ち着くかもしれません。ただ、2月中下旬から日本企業の年度末決算が注目され、日本勢の機関投資家の決算がらみのポジション調整もありえるでしょう。
通常、株式市場が企業の将来価値について「斥候(せっこう)」しているのは、四半期先や年度先という短期的な視野での数値化できる経済的価値です。数値化が難しい社会的価値を株式市場が織り込むことは難しいです。また、その企業の長期的な持続的な価値創造も、株式市場は価格に織り込むことは得意ではありません。「見えない未来」であり、なかなか数値で確定できないからです。
コモンズ投信の長期的なアクティブ運用が目指しているところは、ここがポイントです。
株式市場の「斥候」のさまよいは重要な価格発見機能でありますが、長期的なアクティブ運用者にとってはノイズに過ぎません。我々が投資しているのは企業の価格(株価)ではなく、長期的な企業の価値ですから。その将来の価値が向上すると判断すれば、現状の株価は常に「割安」であり、そのときそのときのエントリーポイントです。
株価だけを見ていると乗り物酔いしそうな一年になりそうです。じっくりと、気持ちの余裕を持ちながら、コツコツとその企業価値に長期的に投資する。今年は、つみたて投資の本番です!