<10周年イベントレポート> -講演抄録- 株式会社マネーフォワード代表取締役社長CEO 辻 庸介 氏「お金の心配が無くなる世界を創る」

<基調講演>
辻 庸介 氏(株式会社マネーフォワード代表取締役社長CEO) 
「お金の心配が無くなる世界を創る」

マネーフォワード代表取締役社長CEO
辻 庸介 氏
私はソニー、マネックス証券を経て、2年ほどアメリカのペンシルバニア大学ウォートン校で学び、MBAを取得しました。帰国してからは再びマネックス証券で働き、その後、起業しました。
私が証券会社にいた時、コモンズ投信が立ち上がったのですが、当時、独立系投資信託会社なんてほとんどありませんでしたから、いよいよ必要とされているものが出てきたということで、とても印象深かったことを覚えています。
マネーフォワードの創業は2012年ですから、かれこれ7年が経ちました。その前、9年間マネックス証券にお世話になっていた時、たくさんの投資信託が取り扱われていて、情報もたくさんあり、かつ手数料も割安になったのですが、それでも投資で損をする人が後を絶ちませんでした。「これは、やっぱりお金のことで悩む人は多いだろうな」と思い、こうした問題をテクノロジーの力で解決できないかと考えて立ち上げたのが、マネーフォワードだったのです。

会社を立ち上げた当初、会社は、Mission/Vision/Valueが大事だと思ったのですが、これはソニーやマネックスで学んだことです。なので、まずはそれをしっかり決めようと思い、創業メンバー6人で議論して決めました。

Missionは「お金を前へ。人生をもっと前へ」
私たちのサービスを通して、お金をポジティブに使っていただけるようになり、人生がポジティブになることに少しでもお役に立てたらという想いです。

Visionは、すべての人の「お金のプラットフォーム」になる。

Valueは、私たちが大事にする3つの価値として、User Focus、Technology Driven、 Fairnessとしました。
とにかくユーザーにとって価値あるサービスを愚直に作る。それもワクワクするようなテクノロジーを活用するということでTechnology Drivenで行く。そして会社は、ユーザー、社員、株主、社会、取引先など、いろいろな方のおかげで成り立っていますから、そうした方々に対して、できるだけフェアでありたいということです。新入社員にも、常にこの3つを大事にしようと浸透させています。

講演会場の様子
創業当時のエピソードですが、当時、お金の課題をテクノロジーで解決しようと思って、食べログやクックパッドのお金版を作ろうとしました。創業メンバーといろいろアイデアを出し合ったのですが、アイデアだけでは価値が生まれないということに気付き、とにかくプロトタイプを作ろうということになりました。世の中に出せば、誰かが使ってくれて、そこに価値が生まれると思ったのです。

講演の様子
その頃、「オープンにすればすべては良くなる」という、フェイスブックのザッカーバーグの言葉に感銘を受けまして、お金についても上手に運用している人、上手に家計をやりくりしている人、節約している人の手法を皆が真似すれば、きっと皆、お金の達人になれるのではないかと考えました。それに基づいたサービスを開発したのですが、
結果は大失敗、大惨敗でした。1日のユーザー数が10人、20人だったのです。これはダメだねということで、このサービスはすぐにやめて、今のビジネスモデルに移行しました。自分のお金を簡単に見える化する『Money Forward ME』 というサービスです。今750万人ぐらいの方に使っていただいています。

それと共に、確定申告も簡単に出来るようにしてほしいというニーズがあったので、確定申告と会計関連のサービスを作りました。ここから発展して、給与、請求書、マイナンバー、経費、勤怠など、会社のバックオフィスを効率化させるサービスも提供しています。『Money Forward クラウドシリーズ』で、数十万社以上の方に使っていただいております。
こういった2つのメインサービスに加え、金融機関からの要望でサービスを開発するビジネスを展開したり、今後は会計のデータを活用してAI融資が行えるようなサービス展開も視野に入れつつ、サービス開発を行っています。
業績は、売上高が順調に伸びており、昨年が前年比で58%伸び、今期も55%~65%伸ばそうと頑張っております。世の中全体が今、パッケージソフトからクラウドサービスにどんどん変わりつつあります。クラウドサービスは解約が非常に少ないので、右肩上がりで着実に伸びている次第です。
講演の様子
一方で、売上は伸びているのですが、まだまだ投資が必要なので、赤字が続いています。
マネーフォワードのサービスは、最近話題になっているSaaSモデルと言われる、サブスクリプションモデルです。ユーザーが、自分の使いたい分だけ使えて、少額で始めることができ、いつでも解約できるというサービスです。私達の場合、週に2回、新しい機能を次々にアップデートして、提供します。ユーザーとしては、例えば消費税率が変わる時、パッケージソフトを買わずとも、アップデートしていくので手間がかかりません。初期手数料も無料なので、簡単に使うことができます。こちらに入る収入は少額ですが、大勢の人たちが使い続けてくれれば、ライフタイムバリューが上がっていくので、収益の予測可能性が立ちやすいビジネスモデルです。

将来のビジョンについては、マネーフォワードを使っていればお金の心配がなくなるという世界を創りたいと考えています。皆さんお忙しいので、なるべくお金のことを考えずに任せておけばお金はだんだん増えていくし、最適なソリューションも教えてくれる。結果的に、単なるツールにすぎないお金に振り回されずに、自分のやりたいこと、家族のやりたいことができるような世界に、少しでも近づければいいなと思っています。

 -マネーフォワード・トークセッション- 「長期投資家が支える企業の成長」