長期投資に通じる農耕民族のリスク・テイク

おはようございます。渋澤健です。超大型台風の上陸により、交通網が乱れて予定が狂ったり、災害を被っている地域もあると察しますが、どうかお気をつけてくださいませ。


土曜日は一年ぶりに北海道の十勝を訪れました。前回は大型台風が通過した直後で、自然の大きな力による被害の爪痕が生々しい状態でした。今回は、台風の影響で吹雪の予報もあるようです。まだ、現地では農作物の収穫が終わっていないタイミングなので心配の声も聞こえてきました。

しかし、そこには笑顔もありました。

日本人は「農耕民族」だからリスクが取れない。一方、欧米人は「狩猟民族」だからリスクが取れる。こんなことを、耳にすることがあります。

けれども、農耕民族がリスクを取らないということはウソです。

種をまいて、苗を植えて、丁寧に育てる農産物ですが、日が照らないかもしれません。全然、雨が降らない場合もあります。また、雨が多すぎる場合もあります。農産物は根が張って動けませんから、日照や水を求めて、遊牧民のように他の土地へと動くこともできません。

農耕民族は不確実な天候というリスクをもろに受けています。

汗を流した成果である果実をやっと収穫できるというタイミングを目の前にして、台風などが急に迫ってきて、大切に育てた農産物が目の前で台無しになってしまうときもあります。

そんな大きなリスクを抱えているのに、なぜ笑顔でいられるか。

それは、次の季節がいずれ訪れるということがわかっているからだと思います。今年がダメでも来年があるさ、と希望を保つことができるのです。周期性があるということがわかって、大自然の季節と共に生きるのが農耕民族の特長です。

これは、長期投資にとって大切な姿勢です。

良いときもあれば、悪いときもある。収穫のときもあれば、種をまくときもある。

コツコツとつみたて投資して、市場が上昇している側面では果実を楽しみ、市場が下落しているときにはしっかりと種まきをする。相場の目先の動きに有頂天になることもなく、落胆することなく、時勢と共に生きる。そして、常に笑顔が絶えないようにする。

これが、日本人の感性や慣習にあった投資だと思います。