心配と思うのか、チャンスと思うのか
おはようございます。渋澤健です。今週の日経ヴェリタスの特集「マイナス金利の波紋」でコメントが掲載されました。マイナス金利が常となる世の中で私たちは未来の資産形成について何を心得ば良いのでしょうか。
平たく言えば、マイナス金利とは日銀がマッチで火をつけたお札をばらまいていることです。つまり、お札を抱え込むだけでは、ジリジリと燃え尽きてしまう恐れが高まっていて、将来への資産形成には適切とは言えません。
やはり、持続的な成長に投資することが、資産形成の王道です。
ただ、最近の株式市場の下落を見ると心配になる人々が世の中に多いでしょう。でも、長期投資が腹落ちしている方々は違います。将来の資産形成への種まきのチャンスが訪れていると思うからです。
20代~30代の自分は常に市場と向き合って短期的な切った張ったの仕事に就いていました。その自分が長期投資に目覚めたときはちょうど40歳のときでした。2000年の年初には2万円ぐらいを推移していた日経平均はITバブルが崩壊して夏頃には1万6000円ぐらいに推移してました。そんな時に、長男の誕生に恵まれました。
年が明けた2001年3月にシブサワ・アンド・カンパニーという会社を創業して独立しました。新しい会社、幼い赤ちゃんを抱えながら未来へ志向してふと思ったこと。そうだ、子どもと自分の将来のために積み立て投資を始めよう。
口座を開設された5月には日経平均が1万3000円でした。2万円と比べると値ごろ感があったことも確かです。でも、積み立て投資を開始してから2003年、日経平均は8000円まで下落してしまいます。未来志向の長期投資でも、かなり気持ちが凹む水準です。
でも、気持ちは楽でした。毎月定額を積み立てるので価格が下がると購入する口数が増えます。未来への種をよりたくさん蒔くことができるのです。むしろ、下がってくれてありがとう!という気持ちでした。
世の中に、こんな気持ちの余裕がある投資ってあるんだ。
自分にとって目が覚めるような体験でした。
だったら、これは自分だけではない。日本全国に自分や家族の将来のためにこつこつと積み立てることに関心を持ってくれる方々が多いはずだ。自分の気づきと喜びを他とシェアしたいという想いがコモンズ投信への設立へとつながりました。
そのタイミングが2008年。リーマン・ショックの真っ最中でした。それまで真夏であった株式市場が一気に氷河時代に突入した如きの環境でした。
しかし、その数年後、アベノミクスによって市場の季節感が変わり、それまで蒔いた種から沢山の芽が順調に育ちました。
そして、再び季節が変わりました。また、種をたくさん蒔ける時期が訪れたのです。
この季節は寒いからと手を止めて家に引きこもってしまうのか。それとも、せっせと種を蒔くのか。
成果の違いは、次の季節になったときに見えてくるものです。それまで、楽しみを増やせる。こんな気持ち良い投資があるとは!もっと多くの方々に知ってほしいです。