トランプ次期大統領の影響について

おはようございます。渋澤健です。週末は、気持ち良い秋晴れに恵まれた地域が多かったと思います。そう考えると、例え、信じ難い米大統領選挙の結末であっても、世の中がひっくり返ることない。ちょっと落ち着いて考えてみると、そんなシーンが見えてきます。ほっとするひとときや空間が我々から奪われた訳ではないのです。トランプ次期大統領の影響について、ちょっと考えてみました。



経済は、常に新しい環境に対応する底力を持っています。そして、その経済の新陳代謝を促進するのは世の中の優良企業です。大中小と事業規模に問わず、世の中に価値創造を提供する存在です。

また、今回の米大統領選挙によって現状の秩序がかき回されることが新陳代謝へつながれば、経済の側面では悪いことではないとも言えます。

トランプ次期大統領も、候補のときに暴言を吐くことは選挙の戦略だったと思います。何も失うこともなく、むしろ、メディアの注目を集めることは(仮に炎上しようと)自分の名を米国各地(いや世界)に売る手段です。

元々、不動産王ですから、トランプ氏はレバレッジの効果のことを良くわかっていると思います。

一方、候補ではなく、実際に大統領になってしまうと、事が変わります。失うものが多くなってしまいますから。

また、経済的に、「再び米国が偉大になる」ことは、日本の優良企業にとって悪い話ではありません。多くの輸出企業は米国現地生産の拠点を持っていますから、米国社会の地元で雇用をつくっています。雇用をつくっている存在に、悪影響を与えるような政策へのかじ取りはしないでしょう。

トランプ氏の経済政策の詳細はまだ見えてきませんが、居場所を失われたと危機感を感じている白人中産階級の要求に応えるには、金融政策だけでは不十分であるということが明らかです。そういう意味では、財政政策のレバーを引くのではないでしょうか。

もちろん、その場合、連邦政府の借金は増えます。従って長期金利上昇を支える政策になるのではないでしょうか。これは、短期的にはドル高を支えることになりますが、市場が政府負債が過剰だと判断するようであれば長期的にはドル安へ転換する可能性があります。

また、FRB(連邦準備銀行)のイエレン議長の再任シナリオも乏しくなったので、任期中に適度に短期金利の正常化したいという思惑も高まるかもしれません。これも、短期的にドル高を支える要因になります。(クリントン政権が生まれた場合、今度、FRBが利上げしたら当面に再利上げがないという思惑でドル売りに転じるのではないかというシナリオを抱いていましたが、トランプ政権の誕生で、自分のシナリオがちょっと変わってきました。)

このように、マクロ経済のシナリオに不確実性が高まることは確かです。また、米経済(および世界経済)については概ね心配していませんが、それは平時のシナリオです。安全保障においてトランプ氏は経験未知のため、有事のときはリスク・シナリオが高まると思います。世界最強の軍のCommander in Chiefが素人になる訳ですから。これは怖いシナリオです。

いずれにしても、コモンズ30ファンドは、環境が著しく変化しても、いずれ、その変化に対応あるいは先導して進化できる可能性が高い企業に長期投資することに努めます。持続的な価値創造が可能な会社であれば、ショックの時などに価格(株価)が下がるのであれば、そのときは買い場のオポチュニティーになります。

いままで「適温相場」と言われてきましたが、どちらかというと生温い相場が続いてきました。これから、ちょっと面白くなりそうですね。