コモンズ30塾 コモンズ30ファンド投資先企業【株式会社 資生堂】から学ぶ その②:資生堂ショック

その①はこちらからご覧ください。


この日の登壇者は、 コモンズ30ファンド 投資先企業のひとつ株式会社 資生堂の執行役員の副島美記子さんでした。




副島さんは美容部員【ビューティーコンサルタント 以下BC】から実績を積み上げ、本社の商品開発部や子会社「ディシラ」の社長などを経て、2016年1月に現職に就任、全世界約2万2千人のBCを統括する美容部門のトップとして活躍されています。


そんな副島さんがBCのことを冒頭、こう語りました。

「資生堂の商品のブランドや価値を200パーセントに引き上げる力をBCは持っています。

わたしたちの事業において、BCは「コスト」と考えず「投資」と考えて、彼女たちに対する様々な取り組みを行っています」。

「わたしたち資生堂は、様々な価値を提供することによって、もっとお客様が美しくなるもっとお客様が豊かになれるよう、努めています。
そして、お客様の一生に寄り添うライフパートナーを目指いしています」

社員構成83パーセントが女性、そしてお客様の9割も女性であることから、資生堂は早くから女性の活躍の場となって成長してきました。

結婚、出産を期に辞める社員が多かった第一ステージから、育児をしながら仕事を継続する第2ステージに四半世紀も前から移行した企業です。

これまで、女性活躍のための社内インフラにかなり力を注いできた資生堂。
1990年には既に、こどもが3歳になるまで育児休業が認められており、 小学校入学までの時期、2時間の時短制度も認めらていたところ、2008年には小3までに延長されました。
そして男性にも短期ですが育児休業が認められています。

ユニークな取り組みとしては、カンガルースタッフ体制があります。。
お客様が最も多く来店する時間帯である夕方と土日祝日は、育児中の身には働きにくい時間帯でもあります。そこに、時短で退社するスタッフに代わってヘルプに入るスタッフ制度ができました。
カンガルースタッフ体制は時短制度をとりやすくし、BCたちの育児と仕事の両立を可能にしました。

資生堂は、今では、こどもが生まれて辞めるという人はほとんどいないという驚くべき企業に成長。
望まない退職が生まれないよう、セーフティネットを張り巡らせた成果によるものです。




しかし資生堂は、ここにとどまらず、新たなるステージにチャレンジします。

このチャレンジが昨年ちまたで「資生堂ショック」として注目された制度改革です。

第2ステージにとどまるのではなく、しっかりとキャリアップできる第3ステージに踏み出したのです。


「資生堂ショック」

第2ステージにおいて、資生堂で働く多くのBCは辞めずにも仕事を続けられる環境となりました。

しかし、家事と育児、仕事も全部女性がやって、、、という環境では、キャリアップはできません。

仕事を免除してもらって助けられてしか続けられないのでは、キャリアアップに繋がりません。

第3ステージへの以降は、まずBCの働き方改革から始まりました。

よりお客様重視の働き方に移行することに。

お客様が来店しやすい夕方土日祝日の勤務を、一部の事情があるBC以外受けるようにという制度変更が行われたのです。

平日の早番が慣習化していたBCから反発がなかったわけではないようですが、資生堂は企業としてひとりひとりの社員に働きかけました。

自分自身の成長できるチャンスを逃さないように。

繁忙の時間帯の対応は、BCとして成長に繋がる経験ができる時間帯でもあります。
このチャンスを逃さないように働きかけたところ、時短を取得していたBCのほとんどが、夕方日祝日の出勤があることを受け入れたそうです。


この第3ステージへの取り組みは「資生堂がやさしくなくなった」という風に、「資生堂ショック」と表現されました。誤解をうけるような報道もありました。

副島さんは言います。
「この時、問題になった理由は、働き方の変更を強制的にやらせたととらえられらたからなんです。
女性活躍というのは、仕事を継続するだけではだめで、キャリア形成にいかに取り組むかが必要。
資生堂が挑戦したのは働きやすい会社から、働きがいのある会社へとシフトすることだったんです」。

資生堂ショックが議論された時の論点のほとんどが「仕事と育児の両立の話」だったと語る副島さん。キャリア構築の必要性に関してはほとんど語られず、その傾向からは「女性が育児をやるべき」という概念がまだまだ日本社会にあることを反映していたように感じました。

第3ステージへシフトを図る中で、BCのみなさんからはこんな声も聞こえてきたそうです。
「実は子育てしながらキャリアをどう積み上げていったらいいか不安だった」
「これを機に自分のキャリアについて考えたり、夫と真剣に話し合うきっかけができて、サポートを得られるようになった」。

キャリアってなに?
さて、資生堂がBCに求めたキャリアアップはどういったものなのでしょうか?
副島さんはBCの方々に次のように伝えているそうです。

「キャリアというのは、「貢献」。
社会、お客様、同僚にいかに貢献していくかとうこと。
だれかの役に立つのがわたしたちの仕事です。
キャリアアップは、仕事に取り組む上で、経験をつんで成長し、貢献度をあげていくことです」

BCたちに、キャリアビジョンを持つようにと指導する副島さん。
そして、ひとりひとりがどうやってこうした貢献を実現していけるのか。
会社はそれぞれのビジョンをしっかりサポートし、評価していきます、とBCたちに伝えられているそうです。

第3ステージへの以降は、両立支援に真摯に取り組んでいる企業が必ずぶつかる課題。
対象は女性だけにとどまらず男性もそうです。
高齢化社会を迎えるにあたって老人介護も出てきます。
これからの社会は、制約なく働ける社員ばかりでなくなります。

企業は、介護、育児があってもしっかりとキャリアップができる制度、ひとりひとりのキャリア意識の形成や、キャリアップ制度の醸成を見ていく必要があると資生堂は考えます。

目指す姿は、世界で勝てるグローバルビューティーカンパニー




イノベーションとグローバル化、これらは、ほとんどの企業が今後求められていくものでしょう。
それにはダイバーシティー(多様性)の実現が欠かせません。

副島さんは明言されていました。

「男性だけ、女性だけという役割や職に違和感を感じる風土を実現していきたい。
多様性をもつことは、異なる意見を受け入れることに等しい。
これが実現すれば、もっと多様な人材が自分の能力を発揮できる世の中になる」と。

2020年には資生堂を最もダイバーシティーが進んでいる、日本全体をリードする会社に!
そのためのチャレンジを果敢に続けるリーダーの存在を、副島さんから感じた参加者の方々は少なくなかったようです。

第3部では参加者から副島さんにセミナー後半に寄せられた数々の質問、そして副島さんがどう答えられたのか?をご紹介します!

どうぞお楽しみに!

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参加者の方が素晴らしくご自身のブログにて当日の内容をご紹介くださっています。
ぜひこちらも併せてご覧ください。

セルフ・リライアンスという生き方
コモンズ投信・コモンズ30塾「女性の活躍セミナー」(資生堂執行役員・副島三記子さん)