<9周年イベントレポート>        2020年、その先へトークセッション    「本格的なキャッシュレス時代の到来を背景に何倍もの成長を目指す」

<トークセッション>
瀧俊雄(株式会社マネーフォワード取締役)
伊井哲朗(コモンズ投信代表取締役社長&CIO)
鎌田聡(コモンズ投信シニアアナリスト兼ポートフォリオマネジャー)
「本格的なキャッシュレス時代の到来を背景に何倍もの成長を目指す」

右からマネーフォワード瀧さま、鎌田、伊井


伊井   先ほどのプレゼンテーションを聞かれて、なぜ2020ビジョンがマネーフォワードに投資しているか、お分かりいただけたと思います。IPOして間がない若い企業は、社員が楽しそうに働いています。本当に忙しそうですが、ニコニコしている。正直、マネーフォワードの方にお会いするたびに(ザ・2020ビジョンで投資する)持ち株が増えております(笑)。

鎌田   まず、10年後の資産運用業はどうなっているのでしょうか。AIは専門分野のコスト下げるとすれば、ファンドマネジャーやアナリストの価値は相対的に下がるはずです。瀧さんとしては、これをどう見ていますか。


瀧さま    投資ってわかるようでわからないものですよね。人間は、放っておいて投資家になるケースはないと思うのですが、資本主義の時代に生きていて、投資家になれるのにならない人は大勢いらっしゃいます。そこに漸進的にでも連れていくための投資導入業は、今後も十分にニーズはあると思っています。
ただ、アルファ(超過収益)を得るための資産運用業に関していえば、今後はAIが、非常に高度な頭脳を持った、アルファを取りに行く人たちの頭脳をコピーするわけですし、加えてAIは眠りませんから、この分野は厳しくなるものの、資本主義が大きくなれば、この分野の規模そのものは拡大していくと考えています。


鎌田   昔は100人いないとできなかったサービスが、AIをはじめとするテクノロジーの進化によって、1人か2人で出来るようになりました。
結果、ベンチャー企業の立ち上げが増える。この時、社員がフリーになって新しい会社を立ち上げた時、大企業のノウハウが流出して抜け殻になる恐れはないのでしょうか。



瀧さま    製造業のように大きな資本が必要で、それに対して細かいメンテナンスが必要なものに人類が払う価格は、減っていると思います。
たとえばコマツは無人ダンプを運用していますよね。あの巨大な機材が遠隔操作で動いているわけですが、いずれその操作自体もAIで行うようになるでしょう。
こうして大規模資本のメンテナンスの必要性が低くなった時、大企業の規模感が変わる可能性があります。その最も激しい事例が銀行です。
銀行が、責任ある形で情報を右から左に加工して渡す仕事がロボティクスの対象になるとしたら、3万人の行員が1万人になることも十分に起こりえます。
こうして細かいメンテナンスが不要になれば、そこに払っていたお金が浮くわけで、それを新しいサービスに転用できるかどうかが、ポイントになります。
その変化に気付いている人が、新しい産業に移っていくのでしょう。

伊井   つみたてNISAで、若い人たちの資産形成を進めていく必要性が言われていますが、結局、個人金融資産の60%は60代以上の人が持っていますが、高齢者はAIについていけません。
一方で金融機関が対面で行っていたサービスをAIに置き換えたら、ますます高齢者はどうしたら良いのか途方に暮れてしまうでしょう。その辺をどうお考えですか。

瀧さま    1つはソフトウェアやデータを綺麗にすることでAIが機能してきましたが、今は、それがIoT(モノのインターネット)などがモノを動かすことに応用され、人手が無くてもなんとかなるようになりました。
従来の人間がオペレーショナルにやってきたことをカバーする部分の付加価値は、相対的に減っていくでしょう。ただ、人が人たらんとする部分は、非合理性が商品になる面があるので、残る可能性はあります。
マッキンゼーが昨年出したレポートによると、日本は観察された50数か国の一番上で、29%の仕事が15年以内に無くなると書かれています。肝心なのは、それによって浮いた時間、付加価値があるはずだということで、自分が欲しいものは何かということを表明したり、時間を割いたりすることが大事だと思います。

伊井   高齢者向け金融サービスのイメージはどうですか。

瀧さま    たとえば野村証券が直面している最大の課題の一つは、お客様に高齢者が多いことだと思います。80代の人に複雑な債券を売るのはもはや制度上大変困難なことですが、一方でそれを買いたい人もいます。2025年になると、日本で認知症に罹る人が700万人くらいになると言われています。その方々に対しては、周りの人が意思決定する必要があります。
息子や娘が父親の口座を使って、いずれ口座のお金は遺産になるわけですから、子供がプロのアドバイスを受けて資産運用する世界があるのではないかと考えています。
もうひとつは、もうGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人:日本の公的年金のうち、厚生年金と国民年金の積立金の管理・運用を行う機関)だけでは頑張り切れない部分があって、公的年金制度だけでは高齢社会を乗り切れないのは自明です。
なので、運用しながら適切に取り崩すことを97歳目標に行い、それ以降は公的な保険を利用できるようにするといった形に変えていくことが必要ではないかと思います。
そもそも年金は、うっかり長生きしてしまった時の備えとして考えられたものですから、誰もが受け取れる制度設計ではありませんでした。それを改めて考える必要があるでしょう。

鎌田   キャッシュレス時代で現金が無くなり、かつシェアリング経済でさほどお金を持たなくても、充実した生活が出来るようになると、お金を稼ごうという動機で働く意識が薄くなり、貨幣経済が無くなり、株価や資産運用が別なものになるのではないかと考えることがあるのですが、どう思いますか。


瀧さま    キャッシュレスになったとしても、デジタル日本円がそのまま流通するだけだと思います。スウェーデンやデンマークのように、ほとんどの取引が銀行口座から携帯電話番号を知るだけで他人に送金できたりするわけですが、それで良いのではないかと考えています。早くそういう時代が来て欲しいですね。
それによってマネーフォワード利用者は、まだあと何倍くらいにも伸びる予定なので。
日本から現金をなくしていきたいと思います。たとえば時計の中に電子マネーのスイカ入れたり、ANAや新幹線のチケットを入れたりできますが、地方の金融機関に出張行った時など、「今日、僕これだけで来たんです」と言って(時計を)見せると、普段アプリに関心のない人でも、興味を示してくれます。それが当たり前の時代になるでしょう。

伊井   中国はインターネットにつながっている人口が8億人。スマートフォンでキャッシュレス決済する人が7億人というように、物凄くキャッシュレス化が進みました。

瀧さま    中国はシェアリングエコノミーの進み方がとても速いですね。所有にお金を払わず、サービスに払う。従来、自動車を所有するには大きなストックが必要でしたが、これからは乗れれば良いという時代になるでしょう。その時、決済をいちいち現金でするのは面倒極まりないので、やはりキャッシュレス化はどんどん進んでいくと思います。
恐らく2、3年後には、日本にも現金を必要としない社会が広まっているかも知れません。

伊井   本日はありがとうございました。
企業との対話でのブースの様子

マネーフォワードのアプリを示しながらご説明される様子

瀧さまのプレゼンテーション抄訳はこちら