未来予想図 18:日本の創薬型ベンチャーへの期待

未来予想図
18:日本の創薬型ベンチャーへの期待
2018-5-9-TUE

経済産業省は2018年4月27日に「バイオベンチャーと投資家の対話促進研究会(バイオ対話研究会)」の報告書として、伊藤レポート2.0「バイオメディカル産業版(本ガイダンス)」を発表しました。

弊社が運用する「ザ・2020ビジョン」では、積極的に創薬型ベンチャーへの投資を行っているため、日本の創薬型ベンチャーの成長を後押しする本ガイダンスの発表をポジティブに評価しています。

本ガイダンスが策定された背景には、日本の創薬型ベンチャーを取り巻く環境が米国のみならず世界標準に比べて、金融市場制度・資金調達面において劣後しており、結果的に国内上場バイオ企業の時価総額合計が1兆円程度とアジア諸国の中でも小さい水準に留まっていることが挙げられます。

日本政府としては、今後拡大が予想される創薬型ベンチャーを育成するため、バイオ対話研究会の立ち上げや、「未来投資戦略2017」の中でバイオ分野への投資加速を盛り込むなど、バイオ産業の育成に向けた取り組みを打ち出しました。

本ガイダンスは2部構成となっており、第Ⅰ部では創薬型ベンチャーの経営者が経営理念やビジネスモデルなどを投資家へ適切に伝えるための手引きとすること、及び機関投資家(クロスオーバー投資家※も含む)が中長期的な観点で創薬型ベンチャーを評価・投資判断するための手引きとすることが示され、両者間における対話の質を向上させる「共通言語」として機能させることが重要であるとされています。

第Ⅱ部では、創薬型ベンチャーの成功が次の投資を加速させるという米国などで見られる好循環を生み出すために、解決すべき課題が提起されています。

日本の創薬型ベンチャーを取り巻く環境が少しでも改善し、欧米諸国に見劣りしない成長産業となるために、本ガイダンスの果たす役割は重要であると考えています。

創薬型ベンチャーへの投資を積極的に行っている当ファンドにおいて、追い風になってくれることを期待しています。

※プライベート投資(期限の定めのある投資)とパブリック投資(期限の定めのない投資)を両方行う投資家


シニアアナリスト兼ポートフォリオマネジャー
鎌田 聡