未来予想図 20:2050年に向けたエネルギー転換・脱炭素化への挑戦
未来予想図20:2050年に向けたエネルギー転換・脱炭素化への挑戦
2018-7-6-TUE
7月3日、日本政府は第5次エネルギー基本計画を閣議決定しました。
今回の計画は、「2050年に向けたエネルギー転換・脱炭素化への挑戦」とし、長期的な展望まで盛り込んでいる点が特徴です。
主な施策として、再生エネルギーの拡大、原子力の依存を可能な限り低減する、高高率な火力発電の有効活用、省エネの徹底、水素/蓄電/分散型エネルギーの推進、などが示され盛りだくさんな内容となっています。
エネルギー・電力問題は、2011年の東日本大震災後によく議論された日本の産業が抱える「六重苦」(超円高、高い法人税率、自由貿易協定の遅れ、電力価格問題、厳しい労働規制、厳しい環境規制)問題の1つで、いまだに解決されていません。
昨年来の動きとして、再生エネルギー事業に取り組む企業の高い売電価格を保証するため、そのコストが家庭向け料金などに上乗せされ電力料金が上昇していることや、今年1月から2月にかけての厳しい寒さで首都圏の暖房需要が膨らみ電力需給が逼迫するなど、電力に関わる課題が顕在化しています。
私の日々の企業などへの取材活動でも、エネルギー・電力問題について多くの企業は高い関心を持っています。
今後は、再生エネルギーの主要電源化、蓄電技術の向上、水素社会に向けた取り組み、などがこの問題を解決する大きなテーマになってくると思われます。
水素は、無尽蔵なエネルギー(化合物として地球上に多数存在し、水の電気分解からも取り出し可能)、ハイパワー、クリーン、電気エネルギーを大容量かつ長期間貯蔵することが可能、などにより次世代エネルギーとしての期待が高まっています。
再生可能エネルギーの電源開発や売電をする新しい成長企業が出てくる一方、潜在的な成長性が高い水素社会に向けた取り組みを強化する企業も見受けられます。
引き続き注目していきたいと思います。
運用部シニア・アナリスト 上野 武昭