「トルコ・ショック」で思うこと

おはようございます。渋澤健です。

この数週間、グローバル金融市場を最も騒がせているトルコ・リラ。5年間の対円では6割以上下落しています。高金利に惹かれてトルコ・リラ建ての投資信託や債券を購入している投資家は痛い傷を舐めているでしょう。


私はトルコの専門家ではないので一般論になりますが、為替は交換レートなので絶対的な価値ではなく、相対的な価値を示します。つまり、いくらトルコ・リラが「安く」なってもゼロにはならないということと、為替市場は特に周期的に変動する傾向があります。

(ただ、これは一般論です。戦後の日本は新円への切り替え、預金封鎖によって旧円の価値はほぼゼロになりました。)

また、5年前にトルコ国債が「高金利」だと思っていたようならば、びっくり。
現在のトルコ国債は20%ぐらいの利回り(人気が低下すると価格が下がり利回りが上がる)です。

思わず手を出したくなるレベルですが、この金利水準はトルコ国債の不履行の可能性がかなりあるという市場の判断です。なので、トルコ政府の信用リスクを取ることはお薦めできません。

でも、現在の水準が異次元であることは確かなので、いつになるかわかりませんが、正常化の時代が訪れば、リラは戻して、金利も現在より低くなるでしょう。

そういう意味で、私が気になっているのは「トルコ」そのものではなく、むしろ、その状況の背景です。政治が過剰に介入することによって国境を超える交易の壁が立ちはだかっている世界情勢。これは、トルコに限ったことではなく、米国、中国、欧州、そして、日本のビジネスの展開の弊害となっています。世界の経済にとってボディブローになっているという懸念があります。

これが株式市場にどのような影響を与えるかは予測が難しいです。業績がしっかりと株価を支えている企業は少なくありません。一方、将来の業績拡大への期待というプレミアムが付きにくくなっていることは確かだと思います。株価を支えるのは業績の実態と将来へのプレミアムです。

長期投資家は、このような現状のときは目先の収穫への期待は控えるべきでしょう。むしろ、これからは、仕込む時期に入っているという心構えが必要だと思います。コツコツと積み立てる投資を継続させることです。価格が下がるようであれば、同じ金額で仕込める口数(量)が増えます。

長期的な視野では、ショックがいずれ訪れることは想定内です。そして、ショックの後こそ、一番美味しい仕込みのタイミングということは長期投資家は知っています。ただ、ショックとは、いつ、どの程度のものが起こるかわからない。だから、「ショック」と言います。

タイミングを図っていたら、ショックの後に投資することはほぼ不可能だと思います。もっと下がるかもしれないという恐怖に縛られてしまうからです。あるいは、底値で買えたとしても、また下がるかもしれないと思って、ちょっと値上がりしたら売却してしまうかもしれません。

でも、つみたて投資を実践していたら、必ず、そのショックの後はしっかりと買えています。コツコツと積み立て投資を継続すること。時間は、ショックを和らげてくれる戦友です。

その時間をこれからも有効に使いましょう。コツコツ、コツコツと。