Part 4 【最終回】コモンズの発足!

おはようございます。渋澤健です。

ちょっと肌寒いですが、さくらの満開を迎えると気持ち良いですね。



さて、いよいよ4月6日(土)10周年コモンズフェスタが開催されます。

ぜひ、お気楽にご参加ください!お待ちしています。



コモンズ30ファンドの10周年を迎えたことで、コモンズ投信の起源をミニ・シリーズで振り返ってきましたが、今回は最終回になります。前回まで「WISH投信」の構想により、

・「30年」目線という世代を超える長期投資

・「30社」に厳選投資

・「対話」を通じて一般個人の投資の体感を促す

長期ファンドを立ち上げる道筋が見えてきました。



ところが、2007年の年が明けて、そろそろ春が待ち遠しい季節に衝撃的なことが起こりました。当時、日記のように書いていた自分のブログのエントリーで振り返ってみましょう。


March 11, 2007

unbelievable

今、こんな気持ちです。

でも、明日が、まだあるから、、、

上を向いて歩こう



自分にとって長期投資の独立系投信会社を立ち上げるきっかけをつくってくれたミスターXが事情により、「ごめん、独立できない」と告げてきたのです。途方に暮れました。



投信会社ではなく助言業の投資顧問会社へ転身するなど色々と模索しましたが、どうもすっきりしません。目標を失い、WISHがフェードアウトし始めました。



そんなとき、WISH三人と一緒に長期投資のファンド設立の構想づくりに入ってもらっていたバリュークリエイトの佐藤明さんが提案しました。「自分がもっともリスペクトしている長期投資のファンド・マネージャーが定年退職した。手伝ってくれるかもしれない。」



June 22, 2007

今朝は、朝食会から医療関係の会合。それから

外国大使館のレセプション。そして、児童関係の

NPO代表と面談。その次は、国政関係者と金融

がらみについて対談。で、その次は中小建設業界の

再生・金融プロジェクト。最後の〆は、個人の長期

投資のプロジェクトについて夕食会。

ちぐはぐした一日に見えるかもしれませんが、どこかで

共通する軸があるはずです。



この夕食会で、吉野永之助さんと初めてお会いしたのです。世界的優良な資産運用会社のキャピタルグループでファンド・マネジャーとして長年の実績を誇る大ベテランです。そういう意味で、ご自身の運用スタイルが確定しているはずで、私たちのコテコテな構想にご賛同いただけるか、少々心配しました。ただ、吉野さんは、私たちの話をしっかりと受け止めていただき、「面白いね、お手伝いしましょう」と即断していただきました。



このタイミングで吉野さんとの出会いがなければ、今のコモンズ投信が10周年を迎えることはありませんでした。コモンズ30ファンドの初期のポートフォリオ構築に吉野さんはリーダーシップを取っていただき、そのときにファンドに組み入れた会社の半分ぐらいが現在も残っています。コモンズにとって、吉野さんは本当に貴重な存在です。



吉野さんのおかげで独立系投信会社への設立のエネルギーが充電し、新たなメンバーを加わるようになり、吉野さんの別荘をお借りしてオフサイトも実施しました。



September 05, 2007

30年後のいまを考えるために仲間達と

山梨の大泉に集合。「生活者の運用会社2.0」

(と、勝手に位置づけている)わくわくプロジェクト

への想いの共有しました。

半年間ぐらいマドル・スルーしていましたが、

同じ志を持つ新たなメンバーの参画により、

また動きが出てきました。



そのときの資料の一部です。





このように独立系投信会社の設立は再び良いピッチで動き始めたのですが、ミスターXが不在では「WISH投信」という社名は使えない。どのような名前が良いかと悶々と考えながら、暇潰しに東京駅前の丸善丸の内本社に入って、デザイン・アートのセクションにヒントがないかとブラブラしていました。



そのとき、ある本のタイトルが目に入りました。「COMMMONS」



坂本龍一さんなどミュージシャンの共同音楽プロジェクトで、Musicの“M”も入っていて三つのMのCOMMMONSでした。



「これだ!」とひらめきました。



「Common Ground」は米国のNPOなどソーシャルセクターでよく聞いていた言葉で、目標に共感する人々が集まってくる共有地のことを示します。長期投資を通じて「今日よりもよい明日」を目指す人々が集まるイメージと一致しています。



普通の一般個人であるCommon Peopleが

普通株式であるCommon Stockに長期投資するという

当たり前のことを当たり前にやる常識であるCommon Senseに

共感するCommon Valueで集まってくる共有地です。

(また、おまけに投資のアドバイザー→「顧問」→「コモン」です!)



他のメンバーも「コモンズ投信」という社名に賛同したので、2007年11月にシブサワ・アンド・カンパニー内に準備会社である「コモンズ株式会社」を設立して、私が代表取締役として登記を済ませました。



ここでコモンズが法人として、やっと設立に至りました。しかし、投信会社として事業開始するには準備がまだたくさん残っていました。そして、背景に「サブプライム問題」が燻っていました。



2007年は平穏に年末を迎えましたが、年明けの1月から様子が変わっていました。世界の株式市場は暴落。「今年の様子は、ちょっと違うなぁ」と不安な気持ちが過りました。

しかし、準備は着々と進み、2月にはコモンズ株式会社を投信会社として登録する手続きに入るために関東財務局に面談に向かいました。



February 13, 2008

今日は、お役所巡りの一日。

午前中は、準備中の「金融ベンチャー」の設立に

関する打ち合わせ。いろいろなハードルが残って

いますが、やっとスタートラインに立てた感じがします。



そして3月。2001年に自分が独立して設立したシブサワ・アンド・カンパニーがオフィスを構えていた丸の内仲通りから、(これから人数が増えるので家賃が半減する)皇居の反対側の平河町へ移転します。そのときの引っ越しにシブサワ・アンド・カンパニーの社員と、まだ前職に勤めていた伊井さんもお手伝いに来てくれました。(二人とも若い!)



March 08, 2008

ガランとしていた空間が、箱で埋まってしまいましたが、

徐々にオフィスぽっく変身して行きます。まさに、ベンチャー

って感じがしますね!





そして、夏に朗報が入ります。



August 01, 2008

Kくんから携帯で連絡有り。

無事に「登録申請」を関東財務局が受理してくれた

という報告がありました。二年半以上前から多々の

希望、難関、失望、調整を経て今日を向かえました。

登録が正式に完了するまで原則2ヶ月間はかかり

ますし、これからも多くの難関や調整があるでしょう。

ただ、今日は、新たな独立系投信会社設立へのひとつ

の重要なマイルストーンであることは確かなので、Kくん

を始め、多くの方々のご労力、ご協力、応援をいただいた

ことに心より感謝の意を表したいです。



登録のために「コモンズ株式会社」も「コモンズ投信株式会社」と改名し、伊井さんが代表取締役社長に就任しました。登録が完了するまでオフィス環境を整えるために9月の連休には内装工事も入りました。



September 16, 2008

新事業に備えて、連休の内装工事でオフィスがイメチェンしました。





この連休、世界で衝撃的なことが起こりました。リーマン・ブラザーズが破綻し、リーマン・ショックという「100年に1回」という金融危機が始まるのです。市場が悲鳴を上げている中、コモンズ投信の登録は延期になるかもしれないと心の準備をしました。



ただ、心配は無用で、受理されてから概ね予定どおりに登録が完了しました。



October 16, 2008

ガードを固めることができても、連発を食らい続けると

元気が削がれますが、遠い北極星に向かって、小さく

前進できたことが確認できると、朝、出社している自分

のステップが軽くなっていることに気づきます。

3年間ほど暖めた事業計画に、多くの方々からの応援

を経て、仲間たちと準備体操をしていましたが、やっと

正式にスタートラインに立てたという知らせが届きました。

天候は、めちゃくちゃ荒れていて、面に向かって体験した

ことがないほどの強烈な逆風が吹いていますが、今日は、

心が穏やかで、わくわくしています。



しかしながら、シブサワ・アンド・カンパニーの「オルタナティブ投資」(ヘッジファンド、ベンチャーキャピタルファンド、バイアウトファンド等)のアドバイザリー事業は衝撃を食らっていました。(長文なので読み飛ばしていただいても結構ですが)11月中旬の二日連続のブログのエントリーが当時の私の心境を表しています。



November 13, 2008

今日は、妻の誕生日。



子供たちのプールで、夕食がちょっと遅めになる日なので、

簡単に外食と僕のパスタ料理とどちら良い?と聞いたら

「パスタ!」でした。ちょっと、うれしいですね。。。


定番のあさりのパスタですが、プチトマトとの相性が我ながら抜群!

と、今日は、良い日でありましたが、ちょっとさみしい日でもありました。。



2001年に知り合って、ビジネスをコツコツと造り上げてきたビジネス

パートナーでヘッジファンドのファンド・オフ・ファンズを運営している

クリスが今週来日しています。



いつもとおり、投資家周りしましたが、今日は、ちょっと気が重い

ミーティングでした。30年ぐらいのヘッジファンド投資暦を誇る

クリスとパートナーのライルですが、今年の投資環境には苦心して、

運用パフォーマンスがいままで見たことないような最悪な状態に

陥りました。



投資してくださった皆様は、機関投資家であり、リスクマネジメント

の内部規定により、全員が解約。今日は、その解約の「交通整理」

のために皆様のところにお伺いしました。



2003年にファンドを立ち上げ、そのときから投資してくださった皆様

に長年、良いパフォーマンスを還元し、すばらしい関係を築くことが

できたと自負していただけに、今年のパフォーマンスには本当に、

本当に申し訳なく思っています。



そして、解約される皆様には色々とご配慮を頂戴し、言葉にならない

ほど感謝しております。



しかし、今日、クリスと一緒に回っていて感じたことがあります。

彼らとこのように一緒に仕事ができて本当に良かった、と。



この数ヶ月、クリスとライルのような「ブティック」なファンド・オフ・

ファンズより、もっと「売りやすい」ファンドとお付き合いしていれば

良かったかも、という思いがふと自分の心によぎったことも確かです。

そして、彼らも、今回のように解約によって急激に運用資産が減る

ことに、今まで体験したことないほど辛い思いをしていると思います。



ただ、今回の解約に関して、クリスとライルのIntegrityには本当に

感銘を受けました。



自分たちの過ちを素直に認め、決して逃げることないスタンス。

自分たちが投資先のマネジャーから得られる情報を、自分たちの

投資家への透明度を高く維持して伝えようとするスタンス。これが、

本当の意味の「説明責任」でありましょう。



解約する投資家、継続する投資家に両方にとっていかにフェアに対

応できるかという姿勢は立派です。



妻の誕生日祝いには、ライルとクリスから以前にもらったワインを

空けました。Williams SelyemのPinot Noir。たまたま彼らと知り合った

2001年のビンテージでした。とてもおいしかったです。



ライルとクリス、どうもありがとう!



November 14, 2008

"The future's so bright, I gotta wear shades!"

【将来が明るすぎるので、サングラスが必要!】

クリスから映画のせりふと聞きましたが、発端は、80年代の曲

のようですね。



解約の内容を打ち合わせする重いミーティングが相次ぎましたが、

移動中は、晴れ日だったのでクリスはスーツ姿にサングラス。

丸の内・大手町のど真ん中に南カリフォルニアを感じるひとときでした。



こういうときでも冗談や笑いが途切れないことは大切だなぁ。



Everything happens for a reason

【何かのために逆境に直面する】

と僕は信じている、と。 



これも大事な姿勢ですね。



自分は何のために逆境に直面しているだろうか。これは、今まで自分がシブサワ・アンド・カンパニーの事業として発展させていたオルタナティブ投資ではなく、コモンズ投信へ力を注ぐべきという天からのメッセージなのかとも感じました。


順調に回っていたように見えたシブサワ・アンド・カンパニーの事業エンジンで、片方のコモンズ投信の事業エンジンがきちんと回り始めるまで支えようと自分が描いていたビジネス・モデルが離陸寸前で緊急事態になったという気持ちでした。ただ、これは、やるしかないと感じました。



月末のロイター通信では初めてコモンズ投信がメディアで顔を出しました。(その後にブルームバーグも報道してくれましたが、日本のエスタブリッシュメント系のメディアの報道は、ずっと後でしたね。)



2008年11月28日

独立系のコモンズ投信が旗揚げ、「コモンズ30ファンド」を09年1月19日設定



対話を重視することで立ち上がっただけに、ファンド設定の前からも既にセミナーを開催しました。



December 20, 2008

コモンズ投信の初セミナーを開催しましたが、年末の

お忙しいところ、大勢の方々のご出席で感謝の気持ち

でいっぱいです。どうもありがとうございました!

お帰りのときのお見送りに、ニコニコされていた方々が

多いことが印象的でした。ちょっと一味違う投資セミナー

を演出できたようで、とてもうれしいです。





私たちの30年投資の運用を仕切る、チーフ・インベストメント・

オフィサーの吉野永之介。恐らく日本一の長い(40年の)

実績を誇る現役ファンドマネジャーです。(その内、20年間は、

米国の著名長期投資の運用会社の日本代表でした。)

この大先輩の語りが素晴らしいのです。長年の経験から、

たくさんの「引き出し」を持っていながら、少年のように目を

キラキラさせながら話しをしてくれます。





また、投資セミナーとしては日本初の試み、マッサージ・サービスも

会場に設けました。日本の社会起業家の代表格である、田辺大さん

が代表の「手がたり」が、特別の無料サービスを行ってくださいました。

マッサージ師の渡辺さんは、国家資格を持っている、「ゴッドハンド」です。

今回のように、コモンズ投信は社会起業家とのコラボレーションを図り

たいと思っています。



12月22日(月)からコモンズ投信の募集期間が開始します。

設定日は、1月19日(月)です。

間違いなく、現在は「冬」の季節。冬は、収穫の時ではなく、

仕込む時です。30年目線で、コツコツ仕込むことにご関心が

ある方は、ぜひご一緒しましょう! 

どうぞよろしくお願いします!



このように、コモンズ投信の恒例の「コモンズ社会起業家フォーラム」の前から、社会起業家との共創を取り組んでいたんですね。



また、コモンズ投信は会社を立ち上げるときから会社のメンバーの顔を見せることが大切だと思っていました。顔ぶれは、当初からかなり変わりました。ただ、その当初の想いは不変だと思っています。



December 20, 2008

こういう仲間たちと一緒にコモンズ投信を立ち上げています。





明日(12月22日)から募集期間が始まります。

ファンドの設定日は(1月19日)。

どうぞよろしくお願いします。

(詳細は、目論見書をご覧ください。。。!)



これから立ち上がる新しいファンドに期待を膨らませながら、激動な2008年は笑顔で年を終えることができました。



December 30, 2008

今日は、今年の仕事納め



仲間たちと一緒の大納会。来年も、どうぞよろしく。







そして、やっと、いよいよ、コモンズ30ファンドが設定されました!長かったような、短かったような、道でした。



でも、ここからが、スタートです。



January 19, 2009





今日は、小さな種を地面に埋めることができました。

コモンズ30ファンドの設定です。

この種を埋める下準備のために三年間の時間が必要でした。

この小粒な種に、多くの方々の応援とご支援、

想いや期待が、たくさん、たくさん詰まっています。

空気は冷たく、地面は硬い真冬です。

しかし、今日、大勢の方々から暖かく見守っていただいて


大地に埋めた小さな種から、いずれ芽が育ち、幹から枝が、

枝から葉がたくさん茂り、大樹となって様々な生き物が宿る

生態系になる日が楽しみです。

明るい、豊かな30年後のために、今日から、一日一日

を仲間たちとがんばります。これから、この「コモン・バリュー」

に共感し、「コモン・グランド」に集まっていただく皆様と

大勢出会えることをとても楽しみにしています。

どうもありがとうございます!

これからも、くれぐれもよろしくお願いいたします。



今回のコモンズ投信の起源のミニ・シリーズにお付き合いいただき、どうもありがとうございました。最終回が、ちょっと長文になって申し訳なかったですが、当時の言葉(想い)をそのままブログから転用して正確にお伝えしたいと思いました。



4月6日(土)。コモンズ10周年フェスタで、大勢の方々とご一緒できることを、本当に楽しみにしています。まだ、お申込みをいただいていないようでしたら、是非とも、お越しくださいませ。コモンズの「お仲間」として長年支えていただいた方でも、最近コモンズの存在を知った方でも、大歓迎です。楽しみにしています!



最後に、当時のブログを読み返していたら、懐かしい手紙も見つかりました。



March 06, 2008

ミーティングの合間に、今週末の引越しの準備で

持ち物の整理をしていたら、こんなものも発見しました。



7年前に、それまで勤めていた大手ヘッジファンド

から独立した際に、大ボスのルイス・ベーコンからの

手紙です。

I think it is good that you take the next step

in your career,,, ,,, Which Asian language is it

that has 'change' and 'opportunity' being the

same word? Japan needs the opportunity you

can make use of - good luck



ルイスは「機」のことを示していたのではないかと思います。

ものごとが起こるきっかけです。

これからも、ものごとが起こるきっかけをつくり続けます。