ストックとフロー
こんにちは。横山です。今年も社会起業家フォーラムで色々な社会起業家の話を聴くことができました。(動画もあります)
渋澤が7月の個人ブログに長期に活動を継続し続けるための知恵として「ストックとフロー」について書いていましたので是非読んでみてください。
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日本の非営利セクターの財務はフローというマインドセットに支配されていることを私は課題だと思っています。つまり、入ってくるお金を全て期中に使い切るということです。税制度もそのように設計されていて、内部留保することは「悪」と見なされています。予算は使いすぎても、残してもダメ。政府予算と同じ感覚ですね。
アメリカと日本の非営利セクターの根本的に違うところは、アメリカの場合「ストック」という概念が根付いていることです。たとえば、5%ペイアウト・ルールという税制度があります。基金などの団体が資産の5%を社会的活動に拠出するのであれば、非営利団体と見なされ、税が免除されるのです。ということは、残った95%を投資に回して、5%以上の年率で長期的に運用できれば、その基金は永久的に存在できます。ストックとフローによって、社会的活動に永久的に運転資金を供給するだけでなく、資本市場に、良質で長期的なリスクマネーも供給できるWin-Winのエコシステムを作りあげています。寄付・補助金というフローに頼るだけだと、そのフローが枯れてしまうと、大事な社会活動を継続することができません。
日本のようなマイナス金利の状態で、5%以上の利回りを確保することは無理と思われるかもしれません。でも、日本でも、例えばコモンズ30ファンドの設定来の長期的リターンは年率で二桁です。もちろん、リスクマネーになりますが、適切なリスクを取れば、長期的に適切なリターンを得られると思います。
コモンズ30ファンドの「SEEDCap」は、このストックの考えを参考に、社会起業家を応援する資金を拠出しています。お仲間(受益者)の長期投資の運用を託されたコモンズは年間1.15%(税前)の信託報酬を頂戴しています。その公募ファンドからの信託報酬の約1%に相当する額をSEEDCapに寄付しています。つまり、ファンドの預かり資産(ストック)が増えれば増えるほど、社会への拠出が増える。そのようなエコシステムをつくることに努めています。
大事なことは、このフローとストックの話は非営利NPOの世界の課題だけではないということ。これも是非、理解していただきたいです。
日本の現役世代の個人のほとんどが給料というフローで日々生活をしています。もちろん決して悪いことではなく、当たり前のことです。しかしながら、長期的な視野で自分の将来を考えたとき、自分のフロー(給与)はいずれ枯れます。そのとき、フローだけに頼っているようでは自分の生活が成り立たないことはあきらかです。
つまり、長期的な視野では、フローに頼るだけではなく、自分自身のストックをつくることが必須であることが見えてきます。そのとき役立つのが、私が「年金サプリ」とネーミングしているつみたて投資です。
これまでの私のセミナーでこの「年金サプリ」の必要性について話しましたが、多くの皆さんに高い関心を示していただきました。人生の時間軸で考える長期的な視野により、もっともっと多くの現役日本人に「年金サプリ」(つみたて投資)というストックづくりの重要性に気づいて行動していただきたいと思います。
--July 03, 2016 フローだけに頼らず、ストックをつくろう「渋澤健のナナメな視点」
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1年や2年では世の中は変わりません。人々の考え方や社会の仕組みが変わるのに10年や20年はざらにかかってくるものだと思います。100年かかるような課題に取り組んでいる人たちもいます。長い時間にわたって、世の中に働きかけ続けなければなりません。
人が生きるのも同じで、日本の平均寿命は男性80.79歳、女性87.05歳だそうです。経済活動と無関係な「生」などなく、生きている間ずっとお金がかかり続けます。
こうして改めて書くと、なんと大変なことなのだろうと遠くを見つめたくもなりますが、でもそれは実はひとりひとりが普段何気なくつみ重ねている毎日でもあります。
自分の人生にも世の中にも責任感を持って生きてくには、お金のこともしっかり向き合っていかなければなりません。当たり前のことですが、つい苦手意識が先に出て後回しにしがちです。立場度外視で言えば、コモンズ投信のファンドのつみたてである必要もありません。でも、お金のことともちゃんと向き合って、そして自分の意思でストックを作る行動をおこすことはものすごく重要なことです。そのことをひとりでも多くの人に伝えられるようになりたいな、と思う次第です。