レジリエンスあるエコシステムを

おはようございます。渋澤健です。

外出自粛でZoomなどでWeb会議で仕事を進めたり、家族や友達と交流している方が増えていると思います。結構、便利ですよね。もし、このテクノロジーがないところにパンデミックが世界を襲ったら、経済社会の打撃はもっと大きなものになっていたでしょう。

昨日は、中国の経営者向けに予定されていたセミナーがWEB配信で実施しました。


「義利合一」とは、渋沢栄一の「論語と算盤」のことですが、関心を持っていただける中国の経営者は少なくなく、これまで何回もお話する機会をいただいています。

栄一は、日本の国力の向上の根源に民間力があるという信念でありました。そのため、利益の否定は無論ありませんでしたが、利益を生む何よりも重要な資本は「信用」であると考えていました。だから、武士だけではなく、商人も「義」が大切と唱えたのです。

私は「論語と算盤」の現代意義はサステナビリティ、持続可能性であると解釈しています。持続可能性には経済的な要素(算盤)はもちろんのこと、社会的な要素(論語)が両輪のように存在することが大切です。

中国の方が歴史が長く、人口も圧倒的に多く、経済の規模や成長も日本と比べて勝っていますが、100年+の長寿企業というサステナビリティについては日本に軍配が上がります。これが、中国人経営者の日本企業への関心の理由だと思っています。

国境が閉じられた状況でグローバル社会のサプライチェーンが分断され、どのように経済社会が再び見込められるのか。V型回復を望む声が多いと思いますが、新型コロナウイルスの感染が終息しても、元に戻ることはないと思います。むしろ、元に戻すべきではないという考えの方が正解です。

今までの経済社会において「バリューチェーン」は効率性を高めました。ただ、チェーンは切断されてしまうと全体が止まってしまいます。

これから世の中でつくるべきは「バリューエコシステム」ではないでしょうか。色々なプレイヤーが様々なつながりを持つことは、効率的ではないかもしれません。ただ、ひとつのつながりが切断されても、他のつながりが残っているのでレジリエンスがある。つまり、チェーンと比べて、エコシステムの方が持続可能性が高いのです。

不確実性がある「見えない未来」であるからこそ、目前の課題は将来の機会になる可能性があります。未来を信じる力を持っていれば。2020年を起点に、色々なことが起こりそうですね。