未来予想図 11:量子コンピュータが人工知能を加速させる

未来予想図
11:量子コンピュータが人工知能を加速させる
2017-10-04-WED

昨今、次世代高速計算機「量子コンピュータ」がニュースなどで取り上げられ、株式市場でも関連銘柄の株価が急騰する場面がありました。
既存のコンピュータより計算速度が1億倍速いと言われる「量子コンピュータ」とは、量子力学的な重ね合わせを用いて並列性を実現するコンピュータです。カナダのD-WAVE社が2011年に世界で初めて「量子アニーリング方式」による量子コンピュータの商用化に成功しました。既に同社製品は米ロッキード・マーチンや米グーグル、日本企業でもリクルートやデンソー、ソフトバンクが自社での利用を表明、フィックスターズはD-WAVE社と提携して同マシンの導入支援を行っています。

ところで、「量子力学的な重ね合わせ」「量子アニーリング」と聞いて、ピンと来る方はかなりの強者だと私は思います。高校や大学で物理(量子力学)を学んでいれば、量子は親しみのある存在かもしれませんが、私は量子という言葉の意味を全く知りませんでした。なぜ量子を用いると速く計算できるのか分からないことだらけです。ここで深入りすることは文量的に危険なので控えますが、技術的な仕組みに興味のある方は、東北大学大学院情報科学研究科応用情報科学専攻准教授の大関真之先生が書かれたコラムや、著書「量子コンピュータが人工知能を加速する」「先生、それって「量子」の仕業ですか?」がお薦めです。難解な量子や量子アニーリングのことがとてもわかりやすく解説されています。

さて、アカデミックで難解なことは大関先生にお任せすることにして、量子コンピュータの登場は、具体的な形として我々の生活にも恩恵がありそうです。量子コンピュータ(量子アニーリング方式)の凄さを一言で言えば、既存のスーパーコンピュータでは数千年もかかる複雑な「組み合わせ最適化問題」が短時間で解けることです。これは超重要な技術革命であり、人工知能の発展だけでなく、今後の革新的なサービスや素材開発などに活用されることになります。

例えば、デンソーや独VWでは、それぞれ目的地の異なる数百台の自動車ごとに最適ルートを瞬時に導き出すことで、都市渋滞を解消する取り組みを始めています。
創薬分野においては、以前からスーパーコンピュータを活用した病気の原因分子と結合する化合物を探索するバーチャル・スクリーニングが普及していましたが、この種の問題は量子コンピュータが最も得意とするもので、計算速度の飛躍的な向上によって画期的な新薬開発の期待が高まります。

今ひとつ量子コンピュータの「凄さ」をお伝えできていないように思いますが、極めて重要な調査分野であると確信しており、今後も深く調査してまいります。

シニアアナリスト兼ポートフォリオマネジャー
鎌田 聡