未来予想図 12:長期政権によって実現できること
未来予想図12:長期政権によって実現できること
2017-11-07-TUE
10月22日第回衆議院選挙が実施され、安倍政権の継続を掲げた自民党が単独で280超の議席を得て圧勝しました。連立を組む公明党と合わせ、安倍晋三首相(自民党総裁)の第4次政権は、憲法改正の国会発議に必要な3分の2の310議席を上回る313議席となりました。立憲民主党は躍進し野党第1党となった一方、希望の党は議席獲得数が伸び悩み、「安倍1強」状態が継続されることになりました。
さて、佐藤栄作内閣以降に3年間以上持続した政権は、「佐藤栄作政権2798日間」、「中曽根康弘政権1806日間」、「小泉純一郎政権1980日間」、その後に「安倍晋三政権1777日間(2017年11月6日時点)」が続きます。仮に2018年9月に実施される自民党総裁選で安倍自民党総裁が再任され、任期満了まで総理大臣を努めた場合、在職日数3201日となり、佐藤政権を上回ることになります。
長期政権を維持するには、衆議院での盤石な与党議席数を獲得することに加えて、内閣支持率も相対的に高位を維持することが必要となります。それを実現してようやく、安定した政権運営が可能となり、既得権益に反する構造改革などの思い切った政策を実現することができるのです。例えば、中曽根政権においては、専売公社や電電公社、及び国鉄の民営化、そして小泉政権下では道路公団や郵政民営化などが有名です。
これまで安倍政権は、アベノミクス「3本の矢」における「金融緩和」、「財政政策」、「成長戦略」によって持続的な経済成長の実現を掲げ政策運営を行ってきました。そして日本企業の「稼ぐ力」強化の重要施策として、スチュワードシップ・コードやコーポレートガバナンス・コードの適用、GPIF改革などが実施され、株式市場には好評価を得ているようです。結果的に、就任日(2012年12月26日)から直近(2017年11月6日)まで日経平均株価は約120%上昇しています。11月1日、安倍首相は「人づくり革命」と「生産性革命」を車の両輪として税や予算などの政策を総動員していくことを表明しました。任期後半にかけて憲法改正を集大成にしたいかは不明ですが、前向きに考えているようです。前述の長期政権(佐藤政権、中曽根政権、小泉政権)において、首相退任直前に実施された衆議院選挙投票日から退任日までの日経平均株価の平均騰落率は、36.3%上昇でした。過去の事例に倣えば、最後の選挙から首相退任までも株価上昇を期待できるのかもしれません。
シニアアナリスト兼ポートフォリオマネジャー
鎌田 聡