未来予想図 8:国民の3割が65歳以上「2025 年問題」を技術革新で乗り越える
未来予想図8:国民の3割が65歳以上「2025 年問題」を技術革新で乗り越える
2017-07-05-WED
「国策に売りなし」という相場格言は、国の政策に関連した業種や銘柄は値上がりしやすいという意味ですが、6月9日に投資銘柄の発掘チャンスになりうる「国策」が2つ発表されました。今回はそのひとつ「未来投資戦略2017-Society5.0の実現に向けた改革-(以下、同戦略)」から、「ザ・2020ビジョン」における注目領域を紹介します。
そもそも同戦略の背景には、我が国の団塊世代が75 歳を迎える「2025 年問題」をこのまま迎えると、医療・介護の負担が過度に重くなるため国の活力が失われるという危機感があります。厚労省によると2025年には、65歳以上が総人口の30.0%(2016年27.3%)に達し、そのうち約5人に1人の割合で認知症患者になると言われています。こうした近未来に対し、同戦略では、ビッグデータ・AI など技術革新を最大限活用した「新しい健康・医療・介護システム」を確立させることで、健康寿命を更に延伸し、世界に先駆けて生涯現役社会の実現を目指しています。
注目領域はいくつもありますが、AIなどの新技術を健康・医療・介護に活用した事業や、働き方改革にも関連して医療・介護現場の生産性向上をサポートする事業には特に注目しています。
上場企業が既に事業化を目指している事例として、医師の診療を AI で的確に支援し質を飛躍的に向上させることを目的として開発された精神疾患などの客観評価デバイスがあります。
また認知症領域においては、IoTの仕組みを使った認知症高齢者の見守りサービスや、サイバニクス技術やロボット技術を用いた医療機器と薬剤との併用療法などがあります。
健康・医療・介護データの一体的な利活用については、実現すれば非常に大きなインパクトになり得るので関連する企業群などの動向を特に注視したいと思います。
シニアアナリスト兼ポートフォリオマネジャー
鎌田 聡