(1)2013年に見ていた「2020年」
2020年、その先へ~あの頃の未来に僕らはたっているのだろうか~
■2013年に見ていた「2020年」
― 約3年前に書かれた「株・投信で2020年までに資産を倍にする法」の中で、2020年までの大局観を示されていますよね。
2013年は2020年の東京オリンピックが決まった年でした。戦後、1964年の東京オリンピックは大きな飛躍を日本にもたらしました。また、パラリンピックという言葉が使われたのも1964年の東京大会が初めて。2020年の大会も、高齢化が世界一進む日本にとって、高齢者に優しい都市づくりが進む契機となり、新たなサービスや企業も生まれると考えました。
― 単にオリンピックが景気の下支え要因になるということではなく、大きな変革が起きると予想されていましたよね?
明治維新以上の転換点になると予想していました。というのも、第2次世界大戦後、急速な発展を経てバブル崩壊も経験した日本は、失われた20年と言われたようにその後永らく低迷が続いています。急速に進展する少子高齢化や財政の問題等、大きく改革しなければいけない時期を迎えていました。そこにオリンピック・パラリンピックの開催が決まったわけですが、それが、失われた20年で傷んだ財政や経済を立て直し、日本が政治・経済、そして文化面においても世界の中でプレゼンス(存在感)を高めていく契機となるだろうと考えたのです。
― 具体的にお聞きしていきますね。まずはちょうど2014年ごろから2020年にかけては、大小の景気循環の波がすべて上向くと予想されていました。(詳細は本書のP30参照)
戦後過去5回しかない、大小の景気循環の波がすべて上向く局面がまさにこのタイミングに来ると予想されていました。実際、現在「適温経済」とも称されるように世界景気は緩やかな拡大が続いています。輸出、設備投資、消費がバランスよく拡大する一方、主要国のインフレは抑制される中で、株価上昇など資産効果が出ているのです。
― 明治維新の現代版こそ、アベノミクスであるとも書かれていましたね。
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第1章で述べたように、日本はいま瀬戸際、「超悲惨な将来」に向けてギリギリの状況にあります。2020年東京オリンピック・パラリンピックの開催が決まり、国民のマインドが変わりつつあるとはいえ、超悲惨な将来を食い止め、日本が新たな成長を実現するには、適切な目標と確かな政策が不可欠です。その目標と政策を担うのが、安倍政権が掲げるアベノミクスであると筆者は考えています(P34)
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第1の矢である大胆な金融緩和、第2の矢である機動的な財政政策、この辺りは着々と実行されてきました。第3の矢である民間投資を喚起する成長戦略についても、着実に実行されているという実感があります。
その中の一つである①稼ぐ力を取り戻す具体例として、企業統治の指針であるコーポレートガバナンス・コードの実施、機関投資家の行動指針である「スチュワードシップ・コード」の整備が着実に進みました。
― 担い手を生み出す施策として出された、女性の活動促進や外国人労働者の活用についてはいかがでしょう?
この数年来で「女性の活躍」は進展しましたよね。保育所の問題などまだまだ解決すべき課題はあるものの、企業でも女性の管理職を増やす取り組みが進むなどしていると思います。また、外国人労働者についてもずいぶんと増えてきているというのは実感としてあるのではないでしょうか。
― 雇用・医療・農業分野での規制改革はどうでしょう?
これはまだ道半ばでしょうね。ただ、雇用については、「働き方改革」が叫ばれるようになっていることからも変化は出ています。ちょうど今、政府が3%の賃上げを経済界に要求していますが、これは、働き方改革によって総賃金が下がる人が出てきているわけで、そうした人たちにも賃上げによって総所得が減らないよう働きかけているのです。総所得が減ってしまえば、当然、消費も減ります。それが景気に影響することを避けるためです。
― まだまだ具体的な所得が上向いてきたとまでは言えませんが、人不足があらゆるところで叫ばれ、消費マインドもかつてないほど高まっているのは実感しますよね。
そうですね。そこにさらに規制改革を推し進めることが出来れば、よりアベノミクスは効果を発揮することができると考えています。
― 総括すると、ここまでの流れは想定通りと言えますか?
思った以上といっても過言ではないかもしれません。特に企業の稼ぐ力を取り戻す取組は着実に成果が表れていると考えています。
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