(3)ここから2020年、そしてそれ以降

2020年、その先へ
~あの頃の未来に僕らはたっているのだろうか~

■ここから2020年、そしてそれ以降

―  ここまで、過去を振り返ってきましたが、ここから2020年まで、そしてそれ以降をどのように見ているのかも聞かせてください。

2013年12月に「ザ・2020ビジョン」の運用をスタートして以来、一貫してマーケットは2020年までに日経平均で3万円を目指すとお話してきました。もちろん、ファンドは日経平均やTOPIXと比較していませんし、絶対リターンを目指しています。
が、さきほどまでお話してきたような日本が新たなステージに立ち、企業も稼ぐ力を高めることで、日本株には上昇余地が大きいと考えてきたのです。

―  現時点でも2020年までに日経平均で3万円という見方は変わりませんか?

はい、変わりません。日本企業の稼ぐ力はいよいよ花開く時期にようやく来ているところですが、ROE(株主資本利益率※)が上昇することで、株価にはまだまだ上昇余地があると思います。

―  世界の景気拡大も引き続き続くのでしょうか。

目先、2018年の世界経済の成長は少し鈍化するかもしれません。ただ、大きく崩れる感じはありません。もちろん、円高リスク、地政学リスク、また景気に配慮した金利コントロールがうまくいかない場合の金利上昇リスクなどはありますが、これもファンドの運営においては、引き続き株式組入れ比率をコントロールすることで吸収していきたいと思っています。

―  では、2020年以降についてはいかがですか?

コーポレートガバナンス改革についても一定の成果が出て、次のステージに入っているでしょうね。具体的には競争力を高められる企業が残り、それ以外は淘汰が進むと思っています。そういった意味では、生き残った企業はすべて成長株に変わっているといっても過言ではないかもしれません。

―  まだまだ株価の上昇余地があるということでしょうか?

引き続きROEを高め続ける動きは続くでしょう。今、日本企業には解散価値(PBR1倍以下)にも満たない株価に甘んじている企業がたくさんあります。こうした企業が、コーポレートガバナンス改革によって少なくとも解散価値まで上げていくフェーズが2020年までとすると、それ以降はそれをより高めるステージです。先ほども話したように、その間は競争も激化し、淘汰も進むかもしれませんが、生き残った企業のPBRは上昇していくと予想します。結果、資本効率を高める経営が進展し、ROEも上昇するという流れです。

―  そうした流れの中でポイントになるのはどんなことなのでしょうか?

マネジメントでしょうね。経営陣が柔軟に環境変化に応じた経営ができるか、それは、M&Aなども含め、買われたほうが有利という場合には躊躇無くそれを選べるような、そんなマネジメント力が問われる時代になると思います。

―  産業面での変化というのはありますか?

この産業が無くなる、この産業が伸びるといったような話ではないでしょうね。
もちろんデジタル化は進展するというのはありますが、それぞれの分野で競争力を高めた企業への収斂が進むということなのではないでしょうか。
さらにその先には、AIやブロックチェーンの活用で成功した会社が出てくるといったことはあると思います。そういった変化を常に捉え、ファンドに体現していきたいと考えています。2020年以降もまだまだ企業の変化によって日本企業の価値が高まっていくと考えています。

(※)株主資本利益率・・・株主が投資した金額で、企業がどのくらい利益をあげているのかがわかる指標。ROEが高い銘柄ほど、効率的に株主資本を活用できているといえる。


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