<講演抄録2>デンソー「ステークホルダーとの対話を重視」
株式会社デンソー広報部担当課長 粕谷 知恵子 様
■ステークホルダーとの対話を重視
統合レポートのなかで特に注力した部分は3つあります。
第一に、「提供する社会的価値/解決する社会的課題の明確化」ということ。単純に経営方針を示すのではなく、現在、会社を取り巻く環境はこうなので、会社としての強み、経営戦略などを駆使して、問題点をどう解決するか、つまり会社として社会にどのような価値を提供でき、社会の課題を解決できるかということを示しています。
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第三は、ESG情報の中でも特に、投資家の関心が高いテーマや、弊社として大切だと思っているテーマを選定し、掲載していることです。具体的には、投資家にとって最も関心が高いと思われるガバナンスについて、社外取締役の方に対談をお願いしていますし、最高の品質、安全な製品を提供するために社員一人ひとりが最大限の能力を発揮している点を強調し、それに必要なものとして、ダイバーシティや健康経営に力を入れている点を説明しています。
さらに、環境経営についても触れています。それは素材から自動車が出来、それを廃棄するまでのところを、すべて環境に配慮したうえで経営を行っていこうという考え方を、「エコビジョン2025」という形でまとめました。
以上3点に、あえて付け加えるとしたら、それは社会との対話を重視していることです。ステークホルダーと良好な関係を構築することが、企業価値の向上につながると考えています。
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例えば取引先に対しては、仕入先総会で対話する場を年に一回必ず開き、そこで意見交換をしたり、社員と経営陣との労使懇談会も開いたりしています。会社経営は経営陣だけでなく、社員も一緒に考えることが大事だというのが、デンソーのスタイルです。
さらに地域においては、昨年から社員がプロボノ活動を行っています。自分が持っている、仕事で培った技術を活かして、社会に貢献しています。そして、株主総会の場で、株主との対話の場をつくっています。このように、さまざまなステークホルダーとの対話を大切にしながら進めています。
■ESG重視の企業社会に
弊社を取り巻く事業環境は、特に2015年から大きく変わりました。というのも、グローバルにおいては、国連が「持続可能な開発目標(SDGs)」を出したことによって、各国が2030年に向けて、その目標を達成するべく、さまざまな問題の解決を迫られています。その中で、企業はイノベーションを通じて問題解決にあたるという社会的責任を負っています。日本政府も積極的に関わっていますし、弊社が所属している経団連でも、一所懸命やっていこうと話し合われているところです。
さらに言えば、弊社の売上の半分以上を占める、トヨタグループ以外の自動車メーカーの中には、サスティナビリティに対する意識の高い欧米メーカーも多く含まれており、彼らからその取り組みについて、かなり厳しく言われています。こうしたことから、弊社としても、より積極的にESGに取り組む姿勢を見せていく必要があります。
このように、企業が取り組むべき社会的責任が明確になってきたことで、企業価値を高めるのに、ESGの考えがこれまで以上に重視される時代になったと思います。そのなかで、統合レポートを通じてさまざまなステークホルダーとコミュニケーションを取っていくことが、これからの企業には一層、求められるのではないでしょうか。 <終>
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<パネルディスカッション>社内のコンセンサスづくりに統合報告書を活用する
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