人事を尽して天命を待つ
おはようございます。渋澤健です。
今週のビックイベントは、英国の国民投票です。英国がEUから離脱する可能性ということは英国とヨーロッパ大陸の間のモノ、カネ、ヒトの移動を抑制する現象に限られず、ヨーロッパ全体の核心的な問題を可視化していることだと思います。
英国は自国の通貨を維持しました。自分たちは他の欧州諸国と異なるという自負があるのでしょう。ということは、欧州のように比較的に狭い領域に多能な文化・国民性が混在していて、ひとつの通貨と金融政策という設計にそもそも無理があるのかもしれません。
統一されたマネーから欧州内で経済的格差が生じました。この格差の社会的不満を埋めるために欧州国政府が頼ったのはマネーの量を増やすことでした。しかし、マネーを統一して、マネーをいくら緩和しても、それだけでは格差が埋まることなく、持続的な成長は万全になりません。これは、欧州に限ったことではなく、日米欧という世界の先進国が抱えている共通の問題です。
こういうときに市場の見通しの不確実性が高まります。そのような世界的な環境において一般個人の長期投資に、どのような心構えが必要でしょうか。
先週の火曜日に私が主宰している「論語と算盤」経営塾の第八期で「天命」と「道理ある行動」についてディスカッションしました。
「人事を尽して天命を待つ」という有名な儒学の教えがあります。
私は中国古典の専門家ではありませんが、イメージとして「天命」とは大自然のような存在であると考えています。人の行動(経済や社会)に拘らず、自然の季節は変わります。冬から春になり、春が夏になり、夏が秋になり、秋が冬になり、そして、また秋が春になる・・・
大自然に鉄則があるとすれば、それは周期性だと思います。その周期性は人間の行動によって変えることができません。
では、人間はどうすれば良いのか。
人事を尽す、つまり、道理ある行動で大自然の周期性を待つということではないでしょうか。
将来が不安になるからとジタバタすることなく、こつこつとやるべきことをやる。長期投資の場合、これは、こつこつと積み立て投資を続けて日常の生活に務めるということだと思います。
定期定額の積み立て投資であれば、「冬」が深まる(市場が下落)する側面では、購入する口数が増えます。これは、次の春・夏に向けて多くの種をまいておくということだと思っています。「夏」になって市場が上昇する場面では購入する口数が減ります。積み立て投資は、まさに、道理ある行動です。
焦ることありません。いずれ季節は変わります。それまで力尽きしない程度、毎月必ず種をまくことが次の季節の収穫のカギだと思います。